敬愛人

敬愛大学で輝く「人」「学び」を紹介

TEACHERS/STUDY/LABO

教員・学び・ゼミ

企業と教育をつなげる仕事を知る(「こどものキャリア教育と企業」)

教育学部 阿部学 准教授&NPO法人企業教育研究会

2022/07/04

阿部学准教授(教育学部)の授業「こどものキャリア教育と企業」では、学校現場でのキャリア教育(職業調べや職場体験など)のあり方について学んでいます。第11回となる今回は、「企業と教育とつなげる仕事」について、阿部准教授が副理事を務めるNPO法人「企業教育研究会」から特別講師をお招きして理解を深めました。

講師紹介

講師を務める竹内正樹氏は、NPO法人 企業教育研究会の事務局長を務めています。企業教育研究会は、企業と連携して授業づくりを行い、学校の教室に届けていくことを専門としています。学校の中だけでは学べない最先端の技術や多様な大人との出会いを子どもたちが体感できる授業コンテンツの開発を行い、その実施校を募集し、授業実施までをサポートしています。

 

※「Non-Profit Organization」の略称で、企業のように利益追求を目的としない「非営利組織」「特定非営利活動法人」とも言う。

竹内正樹氏(NPO法人 企業教育研究会 事務局長)

企業と教育現場とのコラボレーションが盛んな理由

いま、教育現場では「社会に開かれた教育課程」が重要視されています。学校という場だけで教育を実施するのではなく、様々な地域や企業が関わることで、これまで得られなかった経験や知識を幅広く身につけようという動きです。企業が人材教育に投資する動きは、どんどん活発になってきており、児童や生徒に社会のリアルな学びを提供しています。
このように「企業」×「学校教育」の動きが活発になってきた背景のひとつとして、企業のCSR活動があります。社員が積極的に学校教育に参加することで、社会貢献の一端を担っていることを自覚でき、自社への帰属意識の向上にもつながるそうです。自分たちの強みを活かした授業を社員自らが行うことで、仕事の意義を再発見する社員の方もおり、教育を社会課題と認識し、貢献すべきミッションとして事業計画に盛り込む企業も増えています。

 

※「Corporate Social Responsibility」の略語で、「企業の社会的責任」を表す。利益を求めるだけなく、環境活動やボランティア、教育活動など、企業として社会に貢献する活動を言う。

子供の学びと実社会をつなげる企業教育研究会の活動

学校で扱わなければならない教育内容は、教科以外にもキャリア教育、情報モラル教育、食育など様々なものがあります。それらの学習内容の中には、外部講師や社会で活躍する方の力を借りる方がより効果的なものも多くあります。企業教育研究会は誰もが教育に貢献できる社会を作ることを理念とし、「企業」×「学校教育」の活動を様々な側面からサポートしています。企業の技術や強み、社会的意義などにも着目し、様々な専門知識を持った企業とコラボレーションすることで、社会で活躍する方々と子供たちとの出会いを提供しているそうです。学生たちには、「実社会での学びの大切さを知った上で、教育現場で活躍してほしい」という説明がありました。

竹内正樹氏(左)と阿部准教授(右)

中学校数学の授業で使用した授業教材を体験

活動の一例として、大手IT企業と共同で制作した授業教材が紹介されました。ケーススタディ動画となっており、様々な場面で問いが出てきます。舞台はとある学園です。生徒会選挙で3名が生徒会長に立候補し、それぞれの公約を掲げており、あなたは選挙の状況を報じる新聞部の部員という立場です。様々な選挙データを活用し、立候補者のうちだれが生徒会長に当選するかを予測しながら授業が進みます。アニメテイストになっており、学ぶ側は視聴しながら自然とその場面設定に引き込まれていくような工夫がされています。学生たちは、過去の投票状況や投票者層など、様々な角度から提示されるデータを用いて生徒会選挙の行く末を予想していました。この教材は中学校数学の教育課程「データの活用」を基に制作されています。いま、世の中で活用されている様々なデータ分析の基礎となる考え方は中学校数学にあり、数学の学びがどのように実社会で活かされているのかがとてもよく理解できる構成でした。

  • ビッグデータは社会の様々な場面で活用されています

  • 過去の選挙結果グラフを活用して当選者を予想

教育の知識を活かしたキャリア

今回の授業では、教育現場で過去に使用した動画教材を用いて、「企業の専門的知識」×「教師が授業を面白くする工夫」を融合させて授業を展開した実例を学生も共に体験しながら学びました。同時に、教育学部で学んだ知識を活かして、様々なキャリアが拓けることも学べたのではないでしょうか。

 

教育学部の紹介 第1回 プロ野球からB to Bの仕事を知る 第2回 プログラミング的思考・卒業後のキャリアを考える(「こどものキャリア教育と企業」) NPO法人 企業教育研究会