6日目はホテルから専用車を利用して、風車が並ぶ絶景が見えるコンスエグラに行きました。コンスエグラは、カスティーリャ・ラ・マンチャ(Castilla-La Mancha)州にある小さな町で、小高い丘の上に登れば、ドン・キホーテに出てくる乾いた大地と風車の風景に出会うことができます。マドリードから高速道路を車で1時間半走ると、真っ青な空と街並みが見え、その風景を目にして、言葉にできないほど心がきれいになった気がしました。私たちは朝早く行ったことで、観光客が少なく、辺りを自由に散策し、この空間を独り占めすることができました。遠くまで広がる乾いた大地と空、風を全身で感じていると、時間を忘れてしまいそうな感覚になる場所で、ぜひ皆さんにも人生に一度は足を運んでもらいたいです。
スペイン滞在も終盤に差し掛かり、学生たちは文学の舞台となったコンスエグラの風車から、世界遺産の街トレド、ピカソの傑作、伝統の闘牛、秀麗なお城のアルカサル、念願かなったサッカー観戦など、スペインの歴史と文化の粋を堪能しました。9日間の旅の締めくくりに、彼らは何を感じ、どのような思い出を胸に刻んで帰国の途についたのでしょうか。
6日目 ~トレドの日~
コンスエグラ(Consuegra)
トレド(Toledo)
「もしスペインに1日しかいられないなら、迷わずトレドに行け!」そう言われるほど魅力的な城塞都市トレドはカスティーリャ・ラ・マンチャ州に広がる平原地帯の丘の上にある古代都市です。かつての西ゴート王国の首都であり、中世時代に建てられたイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の歴史的建造物であふれるこの街は、街全体が博物館のようでした。周りをタホ川(el Tajo)で囲まれているので、その外側から旧市街全域を眺めた後、アルカンタラ橋(Puente de Alcántara)を渡って、トレド大聖堂(Catedral de Santa María de Toledo)を目指しました。ここから各自、地図を片手に自由行動となり、狭い路地を気ままに歩きました。どこを歩いても写真映えするところばかりで、街並みがとても綺麗なところでした。道をひとつ外れると、現地の方がのんびりと暮らしていたり、猫が歩いていたりと、のどかな雰囲気を感じることもできました。イスラム文化圏の伝統的なお菓子であるトレド名物のマサパン(Mazapán)を味わいながら、歩いた石畳の旧市街は、日本では味わうことのできない景色の連続でした。
ゲルニカ(Guernica)
マドリードに戻り、スペインの画家ピカソ(Pablo Ruiz Picasso)が制作した高さ3.5m、幅7.8mの巨大な絵画ゲルニカを見るために、ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía)に向かいました。ここはピカソやダリの作品を展示する最大規模の現代美術館で、無料で入ることができました。ただし閉館まで時間が無くピカソのゲルニカだけ見ておこうとなり、全員で一緒に作品を鑑賞しました。他の作品よりも断然大きく、 壁一面の絵画は迫力がありました。動物や人間の表情の意味を考察しながら鑑賞しました。短い時間でしたが、一度は見てみたかった作品を見ることができて感動しました。
闘牛(Toro)
闘牛場まで移動し、座席のチケットを購入しました。18時30分に始まるまでかなり時間があったので、牛の剝製が飾られているバルで食事をしました。
闘牛の行われる町や村は、春に南部アンダルシア地方から徐々に北上し、マドリードでは秋祭りの頃に行われます。闘牛は人が牛をいたぶって殺すショーではありません。牛を苦しませずに一瞬でトドメを刺すのが闘牛士の最高の美徳とされ、時には命を失いかねない闘牛士と牛との真剣勝負は、実際に目にしなければそれが文化であるとは理解できないでしょう。本物をその目で見て感じることの必要性が、ここに来るとわかります。私たちは、最も安い最上階の席で、突進する牛と人間が闘うのを初めて見ました。あまりの迫力に驚きました。生き物同士が戦うので生々しかったです。ですが、闘牛士の一つ一つの作法や牛の野生的本能が感じられ感動しました。
サッカー(Fútbol)
スペインと言えばハイレベルなサッカー!スペインリーグ(LaLiga)は日本でも有名になり、マドリードを本拠にしたレアル・マドリード(Real Madrid Club de Fútbol)や、アトレティコ・マドリード(Club Atlético de Madrid)は大変人気です。せっかく日本から遠いスペインにまで行くのですから、私は絶対にスペインのサッカーを見たいと思っていました。今回のスクーリングは、こうした一人一人の願いが叶うように小林先生が手配してくれました。私たちの滞在中にはレアル・マドリードの試合はなく、行われたのはアトレティコの試合だったので、サッカーが大好きなメンバーたちで、闘牛場から地下鉄に乗り、アトレティコのホームスタジアム、エスタディオ・メトロポリターノへ。駅に着いた所から多くのサポーターがいて、公式ショップでお買い物をした後、スタジアム内へ入りました。購入した席は、前から4列目で圧巻の迫力でした。スタジアムを埋め尽くした現地の熱狂的なファンとともに、強豪バレンシアとの伝統の一戦を、存分に楽しんできました。スペインのスポーツが人々に与える力、その迫力や雰囲気は、当たり前ですが日本にいたら絶対に経験できないものです。貴重な観戦をこのスクーリングで実現することができました。
7日目 ~セゴビアの日~
路線バスと高速バスを乗り継ぎセゴビアへ
セゴビアはマドリッドの北西約90kmに位置する丘陵に築かれた町です。町の歴史は古くローマ時代にまでさかのぼります。古代ローマからイスラムの支配、その後のカスティーリャ王国の中心都市となって栄えた栄光の歴史を中世の建造物が物語っています。
この日は朝8時にホテルを出て、路線バスと高速バスを使ってセゴビアへ行きました。ホテル近くのバス停で路線バスを待っていると、英語の話せる現地の大学生がいて、一緒に大学のことや日本のアニメのことなどを、終点のモンクロアMoncloa駅までずっと話していました。その後、高速バスに乗り換え目的地であるセゴビアまで行きました。高速バスの座席指定はなかったため、私はスペインの方と隣になりました。車内では一緒におしゃべりしている人や、景色を楽しんでいる人など、各々の楽しみ方で2時間ほどバスに揺られていました。スペイン人はフレンドリーな人が多く日常での交流がたくさんありました。
水道橋とアルカサル
ローマ時代に建造された水道橋は、全長818メートル、高さ29メートルもあり、全体をカメラの中に収めることは不可能なほどです。つなぎもなく切り抜いた石をそのまま組み合わせただけでできていることにも驚かされました。水道橋から世界遺産となっている旧市街の小道をたどって、スペインにおける最後のゴシック建築といわれる大聖堂、要塞として断崖に立つアルカサルへと向かいました。アルカサルはディズニーの「白雪姫」のお城のモデルとなったことで有名です。内部を見学した後に、その優美な姿を求めてわざわざ崖を降りて行きました。そのお城は、遠くから見ると、まさに白雪姫に出てくるお城でした。ディズニー好きな私は見られてとても感激でした。
その後の自由行動では、商店街を通り、お土産を買う人や景色の綺麗な道を通る人もいて、各々でセゴビアを満喫しました。私は記念コインを一枚買いました。その後の自由行動ではもう一個ネックレスを買いました。記念コインもネックレスも大切にしたいと思います。
街のテラスTerrazaでお茶
みんなで街のテラスでお茶をしました。というのも、スペインではテラス席がとても多いのです!青空の下でお酒を飲んだり、楽しく話をしたりするのが習慣のようで、私たちも存分に味わいました! 日本では、なかなかテラス席に座ることはないですが、スペインでは外で食べることが多かったです。スペイン最終日、天気が良くて綺麗な街並みの中、みんなで他愛もない話をする時間がとても楽しかったです。晴れていたこともあり、とても気持ちよくカフェ・コン・レチェ(ミルク入りコーヒー)を飲むことができました。みんなで楽しくワイワイと話せる空間が多いのもスペインの特徴だと感じました。
8,9日目 ~スペインに別れを告げ帰国へ~
スペイン最終日は朝早く出発するいつもの日とは違い少し遅めの出発だったのでゆっくり動き出す事ができ疲れを少し癒すことができました。帰りの支度をしてスーパーで最後の買い物を楽しみました。スペインのスーパーは食べ物や飲み物売り場の規模が大きく、雑貨もたくさん売っているため、歩いているだけでとても楽しかったです。日本で手に入りにくいワインや食べ物を買うことができて、スペイン最後の思い出作りになりました。事前に調べていた蜂蜜入りのカモミールティーを見つけ、買うこともできました。日本に帰ってからみんなに配るのが楽しみです。
買い物した荷物をしまい、忘れ物を確認して、チェックアウトをして、いざ電車へ。日本に帰ったら何食べようと考えながら、この景色やスペインとはさようならかと、寂しさもありつつ、思い出に浸りながら空港へ向かいました。
帰りもエミレーツ航空を利用し、スペインからドバイに向かいました。機内では一回食事があり、おいしくいただきました。記念にCAさんと写真を撮らせていただきました。ドバイから日本へは深夜に出発する便でしたが、ドバイの空港は眠ることを知らないぐらい明るく活気に溢れていました。この便では2回機内食が出され、焼きそばなど日本っぽい食事もありました。その後全員無事日本に到着し、荷物を受け取りました。日本語を聞いた時に「日本に帰ってきちゃったね」とみんなで話し、無事に着いたという安心と今までの夢のような期間が終わってしまったという悲しい気持ちがあり、少し寂しいねと話したのが印象に残っています。
さいごに
今回のスクーリングでは、誰一人体調を崩すことや荷物の紛失などもなく、無事にスペインの文化やそこで生活する人たちの考え方など、多くのことを体験し学ぶことができました。また、スペインの中に浸透している日本のものについても見ることができ、海外の良さそして日本を離れて感じる日本の良さを知ることができました。これらは、短い期間でありながら、多様な場面を見学・体験させていただけたから感じることができたことであり、こういったプランを考えてくださった小林先生に感謝しています。これらの経験は今後の人生において大きな財産であり、新しい自分を見つけるきっかけになりました。本当にありがとうございました。