敬愛大学では、学生が将来のキャリアを築くために、インターンシップを積極的に推進しています。夏休みを利用して、学生たちは民間企業や自治体、経済団体で実際の仕事を体験し、職場の現実を学びます。この経験を通じて、自分の課題を明確にし、大学での学びをさらに深めることができます。
特に、自治体職員を目指す学生に人気があるのが「公務員インターンシップ」です。これまで多くの学生が自治体での経験を通じてスキルを磨き、実際に自治体職員として活躍しています。今年度は、長柄町、大多喜町、長生村、九十九里町、栄町の5つの自治体に、1年生から4年生までの14名が参加しました。
千葉県印旛郡の栄町役場のインターンシップに参加した経済学科3年生のHさん。所属する矢口ゼミでは、公共経済を学び政策分析を行っています。市役所に勤めている卒業生の講話を聴き、自治体職員に興味を持つようになったといいます。矢口ゼミでは公務員試験対策講座が開かれ、サポート体制も充実していることも後押しになり、自治体職員を目指すため、今回の公務員インターンシップに参加しました。
インターンシップ4日目の様子
インターンシップの4日目、Hさんたちは栄町経済環境課がブランド化を進めている高級黒豆「どらまめ」の生産農家を訪れ、その現状と課題を聞きました。「どらまめ」は芳醇なコクと独特の甘みで人気がですが、日持ちが悪く地元でなければなかなか販売できないという課題があります。また、生産者の高齢化と後継者不足、温暖化による発芽率の低下などの問題もあります。Hさんは特産品を1つ生み出すにも簡単にはいかず、地域の発展のためには何度も話し合いを重ねることが重要だと学びました。役場の仕事が単なる事務作業ではないことを実感し、より強いやりがいを感じたと話しています。
午後には栄町を盛り上げる観光政策について学ぶため、実際に観光施設を巡りました。栄町は成田市の隣にあり、成田国際空港から来る海外からの観光客を呼び込むことができます。町内にある千葉県立房総のむらは江戸時代の街並みの中で伝統工芸などを体験できる人気の体験博物館です。年間20万人を超える房総のむらへの来場者をいかに栄町独自の観光施設に結び付けるかが重要なポイントです。
栄町は房総のむらの隣に「ドラムの里」を作り、レストランや町の特産品を販売する土産物店を運営しています。中でも人気なのが「コスプレの館」で、侍や忍者など300点を超える和装のコスプレ衣装を貸し出しています。和装で江戸時代の街並みを散策できるとして、外国人に人気の施設です。Hさんは観光施設を巡りながら、栄町の観光にはまだ多くの可能性があると感じ、若者を引きつけるためのアイディアをいくつも提案しました。
インターンシップに参加して
現在、栄町は消滅する可能性がある自治体に分類され、2050年には現在の人口の約半分になると予測されています。そのため、栄町の総務政策課では地方創生を掲げ、特産品の開発や観光地化を目指しています。Hさんは総務政策課の職員と意見を交わす中で、自らのキャリアビジョンが明確になり行政職員として町の創生に携わってみたいと考えるようになりました。
また、インターンシップを通じて、Hさんは役場での仕事が想像以上にチームプレイが求められ、また多くの関係者と直接対話し、課題解決に取り組むものだと気付きました。「課題に注目することは重要ですが、時には様々な情報を考慮して広い視点で物事を捉えることの大切です。インターンシップを通じて成長できたと思います」と振り返っています。
報告:IR・広報室