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国際学部「航空物流論」特別講義
-卒業生に聞く航空貨物の仕事、魅力とやりがい-

NCA Japan株式会社 柴田良夫講師

2024/02/01

「航空物流論」の授業では、国際航空物流の仕組みを学びます。科目を担当する柴田良夫先生は、貨物専門の航空会社であるNCAと、成田空港で輸出入貨物の取り扱い(インサイド業務)を行うNCA Japan株式会社で長くこの分野に携わられてきました。豊富な実務経験を基に空港現場における国際航空貨物取扱実務の基礎知識を講義していただいています。2024年1月18日(木)の14回目の授業では、NCA Japan のN. Sさんを招き、業務の内容や仕事の魅力とやりがいなどを講演していただきました。N. Sさんは、2022年3月に国際学部を卒業し、同社で働く2年目の若手社員です。

国際物流とは

国際物流とは、国をまたいだ物的流通の1つです。流通とは、生産者から消費者の間で商品・サービスを円滑に移転させることをいいます。島国である日本では、輸出入に伴う物の移動は船または飛行機が手段となります。飛行機による輸送は船と比較して迅速であることが利点ですが、その過程で貨物の積み降ろしや保管などの様々な作業が発生します。これらの作業には、実際に貨物を取り扱う現場の作業員と連携して正確かつ安定して機能させる役割が求められますが、それを支援するのがNCA Japanのような航空貨物取扱会社です。

航空貨物の実際

航空貨物として扱われる物には、そのスピードを活かした輸送が必要となるものが多く含まれます。具体的には、生鮮食品や医薬品、季節物の衣料品などです。競走馬などの動物や高級外車、ヘリコプターといった特殊な例もあります。新型コロナウイルス感染症の拡大期では、人の移動が制限され港湾労働者の不足が生じたため、船による海上輸送に混乱が生じました。ここで、迅速性や安定性に利点のある飛行機による輸送の重要性が見直されたといいます。

主な担当業務

N. Sさんは、成田国際空港内のオフィスに勤務し、主に輸入に関わる業務に携わっています。具体的には、貨物に付属する書類(航空貨物運送状, Air Way Bill)の処理をする業務、システムを使って到着した貨物の内容を税関へ報告する業務、現場の作業員に貨物の取り扱いを指示する業務を担当しています。航空貨物運送状とは、輸入者や貨物の内容、目的地などが書かれた重要な書類です。現場の作業員へ指示を出す際は、貨物の内容に合わせて飛行機から貨物を取り卸すときの注意事項などをお伝えします。その他にも輸入では様々な業務を行っています。成田国際空港に一時的に到着した飛行機から貨物を積み卸し、他の目的地に向けて再び積み込みを行う仮陸業務にも携わっています。

 

また、イレギュラーやアクシデントに対応するカスタマーサービス業務では、イレギュラーの原因調査や問題解決などに当たっています。予定個数と異なる貨物の到着や必要書類の不備、ダメージを受けた貨物などの様々なイレギュラーがあり、出発地とお客様の間に立ってこれらへの対応が必要となります。

 

輸入業務のほかにも、幅広い業務に対応しています。インチャージ業務では、チーム全体の作業を把握して、状況に応じた適切な処置を行います。現場で働く人や他の航空会社との調整を行う責任者の役割です。貨物の一時的な保管場所となる上屋(うわや)への搬入や搬出にも携わっています。

仕事の魅力とやりがい

飛行機が大好きなので、空港関連企業で働きたいと考えていました。大学に入学時は、航空旅客に関心がありましたが、コロナ禍により航空業界は先の見通せない状況となりました。そのような中、「航空物流論」の授業や成田プログラム、国際学部のゼミなどで貨物輸送の魅力や重要性を知り、この業界を志望するようになりました。現在は、毎日、飛行機を見ることができて、とても幸せです。

 

仕事は、チームで協力して行う必要があるため、チームワークやコミュニケーション力が大切です。また、海外から電話などで連絡があるため、英語力も鍛えられます。昨年は、国際郵便に関する打ち合わせのため、ロサンゼルスに出張をしました。現地の関係会社やスタッフとの英語でのミーティングは緊張しましたが、うまくこなすことができました。このような経験をすることができるのも仕事の魅力だと思います。

 

自分が取り扱った商品が店頭に並んでいるのを見ると、仕事の成果が実感でき、やりがいを感じます。貨物は目立たない存在ですが、経済を支える重要な役割を担っています。これからも縁の下から日本の経済に貢献したいと考えています。

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