敬愛人

敬愛大学で輝く「人」「学び」を紹介

TEACHERS/STUDY/LABO

教員・学び・ゼミ

教師になるために演劇を学ぶ??
~教育学部生がオリジナルの劇で表現力を高める~

2024/01/09

教員という仕事は、時に子供達の前で演じてみせる力も必要です。声や身体表現で、分かりやすく教えることが求められます。教育学部の1・2年合同ゼミでは、演劇活動を通じてこれらのスキルを磨いています。今年度も「劇団うりんこ」の協力のもと、演劇について学びました。

劇団員から演劇を教わるワークショップを実施

10月5日(木)に実施された「演劇ワークショップ」では、身体を使って表現することを学びました。コミュニケーションは声だけでなく表情や動作を交えることで、より豊かになります。将来、教員として児童・生徒に適切な指導をするには、このようなコミュニケーション手法を身につけることが重要です。

劇団うりんこのメンバーの指導のもと、ユニークな演習を行いました。学生たちは2人1組になり、一方が身体中に糸が付けられた「操り人形」、もう一方が糸を操る「人形遣い」を演じます。操り人形役の学生は人形遣いが引っ張る想像上の糸に従って身体を動かし、人形遣い役の学生は声を出さずに自分が思い描くポーズを作っていきます。身体だけを使ってお互いの意図を理解しすり合わせる練習です。

  • 劇団員がお手本を見せる

  • おかしなポーズを作られてしまう

また、与えられたお題を2人1組で即座に演じる練習も行いました。写真は、お題の「はさみ」と「釣り」を演じた学生たちです。演劇を学びながら大いに楽しみ、笑顔が絶えることがない様子でした。

  • お題「はさみ」

  • お題「釣り」

最後は与えられたテーマで2人1組の寸劇を作りました。ただし声を出さずに観衆に内容を伝えるという大変高度な課題です。作った劇を発表したいペアを募ると、次々と手が挙がり、全員の前で披露していました。中には観衆を笑わせようと工夫したペアもあり、演劇への熱意の高まりが伝わってきました。

本番は学生自身で一から作り上げた演劇をステージで披露

12月21日(木)は「演劇ワークショップ」で学んだことを踏まえて、表現劇に挑戦しました。「演劇ワークショップ」以降、各ゼミでは「多文化共生社会の実現に向けて」というテーマで劇を制作してきました。いよいよ本日がその発表会です。敬愛アリーナの舞台で、自ら作成した脚本を基に演技を披露しました。審査員は「劇団うりんこ」で俳優や企画制作プロデューサーとして活躍する小原ひろみ氏です。

 

発表チームの1つ「豆とピーナッツ」は、小学校における外国文化との衝突を題材にした演劇を発表しました。アメリカからの留学生が日本の小学校に転入し、名前をからかわれたり、学校生活上の慣習の違いから日本の児童ともめたりする場面から物語は始まります。主人公「ナツ」は自由に振る舞うアメリカ人留学生を見て多様性の尊重に疑問を抱きますが、その後、親の海外赴任によりアメリカの小学校に転校することになります。そこで自身が以前行っていた行動と似た状況に直面し、内省と成長を経験する物語です。

 

 

  • 主人公の「ナツ」と転校生の「オニ・ワトソン」

  • さっそく「オニ・ワトソン」を「鬼は外」とはやし立ててしまう

  • 教室の掃除は「清掃員の仕事だ」とワトソン。手伝ってもらえず、不満顔の「ナツ」

  • 「ナツ」がアメリカに転校すると反対に「nuts」と呼ばれ、教室の掃除をしようとすると「冗談やめてくれよ」と笑われる

「豆とピーナッツ」はこの劇で見事優勝を勝ち取りました。小原氏の講評では、海外からの転校生を受け入れた学級の情景を描くのみならず、そのクラスの一員であった児童自身がアメリカに転校した場面も描いたことで、多様な立場を追体験させる内容に仕上がっていると評価されました。自分自身が集団の中で異質な存在になるという経験を通して、過去に転校生に対して自分がどのような態度を取っていたのか、その時、転校生はどう感じていたのかを振り返る場面を描いたところが高評価でした。

 

他方、非常に斬新な演出を取り入れたチームもありました。観客を登場人物として扱い、その心の声を代弁させる演出や、「演技をする人」と「心の声を発する人」を分けて一人の人間を二人で演じる方法など、小原氏や教員一同を驚かせていました。

 

ワークショップと表現劇の発表会は、教育学部の学生たちにとってたいへん意義深い学びの場となりました。演劇を通じて、コミュニケーション能力の向上や創造性の発揮、そして多文化理解の深化を図ることができました。これらの経験が、きっと教育現場での豊かな表現力につながっていくことでしょう。

 

報告:IR・広報室

教育学部の学びを見てみよう!