- 教育学部の「こども学Ⅱ」で、パラスポーツを活用した授業づくりを学んだ
- 学生はボッチャ、シッティング鬼ごっこ、シッティングバレーボールを体験
- 肢体不自由のある子どもを想定し、ルールや環境づくりの工夫を考えた
- 障がいの有無や運動経験の違いにかかわらず、誰もが楽しめる体育授業の視点を身につけた
教育学部では、教員免許状の取得に必要な科目に加え、本学独自の必修科目を設定しています。その一つである「こども学Ⅱ」は、子どもへの理解や、子どもと社会のつながり、教師の役割について考える授業です。3人の教員がそれぞれの専門テーマを担当し、すべての人が自分らしく生きられる社会について、学生と教員がともに考えていきます。
5月22日(金)は、体育科教育学を専門とする小泉講師が、「パラスポーツを活用した授業づくり」をテーマに授業を担当しました。
20秒でわかるこの記事のポイント
パラスポーツを活用してインクルーシブな体育授業を考える
パラスポーツは、小学校の現場でも障がいのある人への理解を深める学習として取り入れられています。一方で、近年は障がいのある児童と障がいのない児童が共に学ぶインクルーシブ教育の考え方が広がっています。教育学部の学生たちは将来、教員として障がいをもった児童を受け持つ可能性もあるでしょう。これからの学校教員には、障がいについて理解を促すだけでなく、すべての子どもが同じ場で体育を学び、運動を楽しめる環境をつくる視点が求められます。
今回の授業では、学生たちは肢体不自由のある子どもを想定し、ボッチャやシッティング鬼ごっこ、シッティングバレーボールに挑戦し、インクルーシブな体育授業のあり方について考えました。
ボッチャで体感する、体の動きに制限がある状況での工夫
授業の前半では、まずボッチャに取り組みました。ボッチャは、2つのチームがボールを投げたり転がしたりし、目標となる白いボールにどれだけ近づけられるかを競うスポーツです。
はじめに椅子に座った状態で各々がやりやすい方法でボールを投げると、多くの学生が、目標に近い位置へボールを投げることができていました。小泉講師が「背もたれに背中をつけ、両足を上げた姿勢で投球するように」とルールを追加すると、途端に体幹が使いにくくなり、ボールを安定して投げることが難しくなります。学生たちは、上半身を動かしにくい人や、下肢に制限がある人にとって、何気ない動作にも工夫が必要になることを体感しました。

健常者は足で踏ん張って、全身を使って投げることができる

背中をつけて、足を浮かせると難易度が上がる
体の動きに制約をかしてもスポーツは楽しめる
続いて、シッティング鬼ごっこに挑戦しました。スポーツ鬼ごっこは、相手陣地にある「宝」を取りに行きながら、自分の陣地を守るチームスポーツです。今回は、座った姿勢のまま移動するルールで実施しました。自由に走れない分、学生たちは仲間と声をかけ合い、移動する方向や役割を工夫しながらプレーしました。体の動かし方に制約があっても、仲間と連携しスポーツを楽しめることを体験しました。座ったまま体を動かす感覚をつかんだところで、次はシッティングバレーボールに挑戦です。

仲間と連携するスポーツは楽しい!

「宝」を奪取した学生と、守り切れなかった学生
ルールを変えれば、参加のしやすさも変わる
シッティングバレーボールは、床に座った状態でプレーするバレーボールです。移動できる範囲や体の使い方が限られるため、ボールをレシーブすることにも一苦労です。
この日の授業では、バレーボール、ソフトバレーボール、風船の3種類のボールが用意されました。学生たちは、どのボールを使うか、コートの広さをどうするか、ネットの高さをどう調整するか、ボールに触れる回数を何回まで認めるかを、自分たちで話し合って決めました。
学生たちは、チーム人数に合わせてコートを広げたり、ネットを高くして強いスパイクを打ちにくくしたり、ソフトバレーボールを使ってレシーブしやすくしたりしながら、全員が参加しやすいルールを考えました。

早い移動ができないため、難しい

ネットを高くして、強いスパイクを打てないように工夫
誰もが「できた」と感じられる体育授業へ
パラスポーツの体験を通して、学生たちは障がいのある人の困難さを知るだけでなく、「どうすれば同じ活動を一緒に楽しめるか」を考えました。将来、教員として子どもたちを指導する際には、障がいの有無や運動経験の違いにかかわらず、すべての子どもたちが「自分もできた」「仲間と一緒に楽しめた」と感じられる授業づくりが求められます。今回の授業は、インクルーシブな体育授業を構想するための実践的な学びとなりました。
次回は、聴覚障がいに関するパラスポーツに取り組みます。耳栓とイヤーマフを着用し、音が聞こえにくい状況を体験しながら、指示の伝え方や周囲との関わり方について考えていきます。
