1.山口先生の専門分野と担当科目について教えてください！
私の専門は大学院博士課程まで学んだ国語科教育と、附属小学校で多くの教育実習生を受け入れた経験に基づく教育実習です。
・初等国語科指導法……
国語科の授業づくりに基礎を学びます。教材をつくったり、模擬授業を行ったりします。
・教育実習指導……
教育実習とは何か、そこで何を学んでくるのか等を学びます。教育の具体的な場面を通して教師の仕事について理解を深めます。
・学級担任と読書……
小学校の学級担任を目指す学生を対象に、学生時代に読んでおきたい文献を講読します。
・1年次基礎研究……
人間関係づくりやニュースの要約、読書レポートの他いくつかの課題を通して、大学生に求められるアカデミックスキルを身に付けます。
・3年次専門研究……
国語科指導法の中から読書指導を中心に学んでいきます。実技面では朗読検定3級を取得し、近隣の小学校で実際に読み聞かせをします。
・4年次専門研究……
読書指導の中からブックトークに焦点をあてて取り組んでいます。自分の関心のあるテーマを設定して本を選び、シナリオを考えます。それを小学校で実演し、考察を加えてまとめる活動を卒業研究とします。
・教職実践演習……
4年生後期にある教職課程最後の授業です。
隔年開講の「学級担任と読書」。小学校の学級担任は読書人でなければなりません。
山口先生が企画した「海外スクーリング」。アムステルダム・アンネフランクの家の前で。
2.学生に期待することは何ですか？
授業で学ぶだけでなく、サークル活動で体を動かしたり、子供と接したりする。友達と映画を観たり、旅に出たりする。大人の社会科見学をする。また、一人の時は読書をしたり、趣味に没頭したりする。そんな経験を私は「良質な経験をコレクションしよう」と言っています。私のゼミ生の中には資格を取ったり、語学留学をしたりする人もいます。みなさんは4年間でどれだけコレクションできるでしょうか。
就活の時期が近づき、採用試験の願書やエントリーシートを書く時になって、何を書こうかと考えても遅いのです。1年生のうちから3年後を見据えて、願書やエントリーシートに書きたい経験を意図的に積んでおきましょう。
4年ゼミで大学のスポーツ大会に参加しました。
山口先生が顧問を務める教育ボランティアサークル「アイリス」で活動する学生。その多くが教員になっています。
3.これからの小学校教員には、どんなことが求められますか？
本が売れない時代になり、街の書店が少なくなりました。私が長く読んできた教育雑誌には廃刊になったものもあります。しかし、今も昔も小学校教員の仕事の一つに読書指導があります。学級担任は読書の素晴らしさを子供に伝えていくことが仕事です。そのためには担任自身が読書に親しんでいなければなりません。
次に、英語を学び続ける小学校教員でいてください。英語から離れていたら必ず忘れます。ご存じのように小学校の高学年で英語科が始まりました。これからの小学校教員は英語を避けることはできません。20年以上も昔、私がまだ小学校教員だった頃、すでに小学校で外国語活動が行われていました。当時の私は英語を忘れないよう、通勤の車の中で録音したＮＨＫのラジオ英会話を聴いていました。楽しく続けていくことが大切です。当時講師だった大杉先生やマーシャ先生の声は今でも耳に残っています。
最後に、自分の理想を追求していける大人になってください。小学校教員の仕事は子供の現状（学習・生活）を把握し、そこから理想像を描き出し、子供が理想像に近づく手伝いをすることです。授業づくりもそう、学級づくりもそうです。しかし、こうした仕事は教師生活を送っている間ずっと追求していくものです。
人形浄瑠璃の恵比須様とツーショット。教員は自分の趣味を楽しむことも大切です。
サラマンカ大学での文化交流。英語ができると活動範囲も広がります。
4.高校生のみなさんへ
漠然と「小学校の先生になりたい」というだけでは、それが本物かどうかわかりません。子供の目で見た先生の姿と、教職を目指す大学生の目で見た先生の姿は違ってきます。
自分はなぜ先生になりたいのかを自問しつつ、大学で学び、教育ボランティア等に参加していく中で、その答えを見つけてください。
「子供の頃から先生になることが夢でした」と言って入学し、小学校教員となって卒業していく先輩が毎年います。敬愛大学で教員になるという夢をかなえませんか。
千葉県の小学校教員として活躍中の卒業生が近況報告に来ました。
後輩に模擬授業をしているゼミ生。現在、千葉県の小学校教員として活躍中。