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キラリ☆こども教育学科教員vol.7

教育学部 こども教育学科 小林 輝明 教授

2020/11/24

小林先生の専門分野と担当科目について教えてください!

専門は理科教育です。こども教育学科の科目では「理科」「初等理科指導法」「こどもと科学教育」ほか、各学年のゼミを担当しています。
私はこれまで、クリーンエネルギーとして注目されている燃料電池の教材化をテーマにして研究を重ね、世界で初めて授業で安全に簡単に実験できる燃料電池教材を開発しました。この電池教材は特許や実用新案等を取得せず、その成果を広く周知したことで中学校理科検定教科書に記載されました。
結果として燃料電池が全国的に広く社会に認知されることにも繋がり、平成9年に理科教育のノーベル賞とも称される「東レ理科教育賞」を受賞、その他理科教育への貢献も認められ、平成22年度には「第1回 理科の達人先生」としても表彰してもらいました。

こども教育学科「理科」の授業の様子。この日のテーマは「実物から学ぶ」。動物の頭骨標本を前に

ゼミではどのようなことに取り組んでいますか?

理科の授業で行う実験や観察、扱う教材について検討し、さらに使いやすいものはないか、どうすればもっと簡単に実験できるかなど、各自がテーマを決めて教材開発を行っています。
私は中学校理科検定教科書の著者として「どうしたらもっとよい教科書ができるか、理科を楽しくわかりやすく学べるか」というテーマと、20年近く向き合ってきました。JAXAの教材開発委員として宇宙教育にも20年近くかかわり、国際宇宙ステーションで宇宙飛行士が行う理科実験のアイデアを出したり、宇宙教育活動の普及や宇宙教育教材の作成に関わりました。ヒューストンで行われたNASAの宇宙教育セミナーに派遣されて発表したこともあります。
教員時代を振り返ると、教材開発の歴史と言っても過言ではありません。教材開発には、以下の3つが求められます。
・「どうしたらよくなるか」という問題意識を常に持っていること
・「何か新しいことはないか」という何にでもアンテナを高く過ごしていること
・「こうすればいい」というひらめきやアイデアを生み出す柔軟な思考性
私の研究テーマの燃料電池は「水の電気分解の逆の反応」ですので「逆転の発想」によって生み出されたと言えます。こうした豊かな発想力をゼミで身につけてもらい、社会に出てからも対応力のある人材として求められるような、実学的な人材育成を図っています。
昨年度まで東京都の小学校に勤務していたので、これまで得た知識と経験を生かして、学生の進路に応じた教採試験や公務員試験の支援も行っています。

心臓の解剖に取り組む学生

学生に期待することを教えてください!

社会に貢献する人材になってほしいということです。私たちは自分自身のために生まれてきたのではなく、誰かのために生まれてきたのであり、社会人としてそれを実現できる人材になってほしいです。
敬愛大学は経済学部、国際学部、教育学部(2021年4月開設)の3学部のため、それほど大きな大学ではありません。学生同士、学生と教員との距離が近く、とても家庭的な雰囲気を感じます。そして全体的に素直でのんびりとした学生が多いような気がします。こうした落ち着いた環境で、4年間学べることは人生において貴重な期間といえるでしょう。学生には教員として教育に携わる事の重みとやりがいをしっかりお伝えしますので、自分の力を信じて取り組めば、きっと考えている以上の能力を発揮できると思います。また、机上で学ぶだけではなく、現場に出て子供たちと触れあうことや、具体的に対応できる実践力を身につけてもらいたいです。

熱心に解説する小林先生

小学校教員を目指す方へ~これまでの教育現場での経験から~

私の経歴はおそらく多くの教員とは異なっていると思います。これまで勤務した地区は、下町や文教地区、繁華街、高層ビル群のあるビジネス街など多彩です。教育研究所で研究生活を送り、学校の新設にも2度関わりました。
特に、海外日本人学校(スペイン、マドリード)での3年間の勤務は、貴重な期間でした。日本の常識も言葉も通じないので、毎日新鮮な発見がありました。現地に溶け込み、現地のスペイン人や日系人とのつながりを太くして過ごし、日々の暮らしを豊かに過ごしている彼らから、多くのことを学びました。教務主任として当時の皇太子殿下(現天皇陛下)を学校でお迎えした経験もあります。
海外で教員として働くことや現地に住むことを希望している学生がいれば、もちろんアドバイスできます。海外の国の文化を知るためには数日間の旅行でなく、現地に住み生活しなければ、本当の意味ではわかりません。いつか学生をスペインへ連れていってあげたいとも考えています。

これまで勤務した学校では、幼稚園で園長、小学校で校長、中学校で副校長などの管理職も務めたので、どの校種にも精通しています。働きながら大学院で学び、環境共生学博士の学位も取得しました(当時、私は現職の中学校副校長でした)。このことは生涯学習を自ら叶えた事例として、読売新聞の全国紙で取り上げていただきました(平成24年11月8日朝刊)。
年齢を重ねても一生学び続けることや、多忙な管理職になっても自分の研究を高められることを示せたので、現職教員の目標となり、道しるべになりたいと考えています。また、こうした道のりは自分の努力だけでなく、自分を引っ張ってくれる先輩や支えてくれる人、人のつながりによって一つひとつ積み重なってできたことを、皆さんに伝えていきたいです。
敬愛大学を受験される皆様には、入学後お会いできることを楽しみにしています。

新型コロナウイルス感染防止のため、感染症に配慮した授業風景

小林先生のミニ講義「なぜ」に応える理科教育 ~燃料電池を作ってみた~ youtubeで公開中!

 

国際学部 こども教育学科は、2021年4月より「教育学部 こども教育学科」となります。詳しくはこちら