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環境に配慮した国内循環型リサイクルビジネス-山形化成工業社長のあゆみ-Vol.2

山形化成工業株式会社 代表取締役社長 後藤 拓也さん

経済学部 経済学科 1995年3月卒業(日本大学山形高等学校 出身)

2022/09/16

経済学部を1995年に卒業し、山形化成工業株式会社の代表取締役社長を務める後藤拓也さんにインタビューを行いました。Vol.2となる今回は、敬愛大学を卒業後、会社に就職してから現在に至るまでのご経験を中心に紹介します。

 

山形化成工業株式会社は、1966年(昭和41年)に発泡スチロールの製造・販売を主な事業として山形市で創業された企業です。発泡スチロールの特性を活かし、環境に配慮した国内循環型社会への貢献を目指すことを事業目標の一つにしています。その取り組みが、経済産業省が主催する「中小企業のカーボンニュートラルに向けた支援機関ネットワーク会議」で紹介されるなど、業界で注目を集めています。

学生時代のご経験を紹介したVol.1はこちら

敬愛大学を卒業して社会へ。3年間の海外勤務を経験

1995年3月に敬愛大学を卒業し、エムテックスマツムラ株式会社に入社しました。山形県天童市に本社があり、ベトナムのホーチミン市にも現地法人があります。社員は連結で1,000人ほどおり、半導体デバイスや半導体製造装置、自動車部品を製造している会社です。国内外の大手電機メーカーや自動車部品メーカーを取引先に持つ地元の優良企業です。私は経理部に配属され、入社から15年間は原価計算や財務・会計を担当しました。決算や税務申告書の作成、国税局の税務調査への対応などの実務面で最前線に立ちました。

 

この企業で2001年から2004年の3年間、海外勤務を経験することになります。ベトナムの現地法人(エムテックスベトナム社)に出向し、経理の責任者を務めました。ベトナム駐在中は、現地の経理担当者と英語で意思疎通をします。大学時代の海外研修がきっかけで語学学習の必要性を感じ、社会人になってからも英語の勉強を続けていたことがこの時に役に立ちましたが、日常会話とビジネス会話には大きな違いがあり、経理における専門用語との戦いが始まりました。この戦いは半年~1年程度続きましたが、経理の基礎である「借方」「貸方」「貸借対照表」「損益計算書」の考え方は、国が違っても大きく異なりません。「会計は経営の言語だ」と感じて仕事をするようになってから、海外での仕事が面白くなりました。

 

山形化成工業株式会社 後藤 拓也 代表取締役社長

不正防止の仕組みを作るために協力企業の日本人と交流し、参考になることを積極的に自分の仕事に取り入れました。ベトナム公認会計士の資格を持つ日本人の方と知り合って顧問契約を結び、そこから学んだことを仕事の仕組みに落とし込んでいきました。日本企業は当時、会社のメンバーになった人に対して仕事を配置する「メンバーシップ型雇用」がほとんどでしたが、ベトナムは「ジョブ型雇用」の考えが色濃いです。業務に対して人を配置する形で、業務内容や役割が明確に定められています。規定外のことをやってもらうため稀に給与交渉が必要になるなど、日本企業との制度の違いにも苦労しました。この3年間の海外勤務経験は、様々な気づきを与えてくれました。

日本へ帰国して管理職に。人との関わりの重要性を学ぶ

2004年に帰国し、2011年から総務課に異動して課長になりました。初めて管理職になった時です。会社側の実務責任者として、労働組合との交渉を担当しました。東日本大震災の直後で経済も日常生活も混乱している最中です。会社自体は無事でしたが前例の無い自然災害でした。計画停電や物流の混乱、お客様が被災する中で、思うように工場稼働ができず労務の取り扱いをどうするかなど、正解の無い問題が次々に襲い掛かり、労働組合の要望等に耳を傾けながらも最終的に経営層の方針に沿うよう、その解決や調整に奔走しました。解決策が出ず困った時は、普段にも増して工場内を見て回り、業績や管理係数の数字を見ると、厳しい解の時もありましたが、不思議とその時点で最善の策が出てくることが何度もありました。

 

これまで社会人の大半を経理畑で過ごし数字と向き合ってきましたが、総務という不慣れな仕事の中、改めて人との関わりの重要性を学びました。現在社長をしている山形化成工業は製造業ですが、技術や人、数字と人については、サラリーマン時代に多くの学びを得ることができ、大変役に立っています。

山形化成工業株式会社の代表取締役社長に就任

2016年から、父が経営している山形化成工業株式会社に移り、2018年に代表取締役社長に就任しました。就任してまず感じたことは、会社設立以来、退職された方も含めて、これまで社業に尽力してくださった方々への深い感謝です。社員の皆さん、創業者である祖父や先代の父の努力の上に、自分が存在していることを改めて実感しました。これは、「天を敬い、人を愛す」という敬愛大学の建学の精神「敬天愛人」の教えに通じるものです。在籍している社員の皆さんには、当社で活躍の機会を広げ、責任の大きい仕事を担ってもらいたいです。そうあることで物心両面で豊かになってもらいたいと思っています。

山形化成工業株式会社 社屋

Vol.3に続く

Vol.2では、後藤社長が敬愛大学を卒業後、企業に就職してから現在に至るまでのあゆみを中心に紹介しました。海外勤務で直面した語学や文化の壁、初めての管理職経験で感じた人との関わりの大切さ、社長に就任して感じた周囲の人への感謝の気持ちなど、働く上で大切なエッセンスの詰まった体験談でした。最終回となるVol.3では、山形化成工業株式会社の事業内容やリサイクルへの取り組み、SDGsと深く関係する国内循環型社会への貢献についてご紹介します。

環境に配慮した国内循環型リサイクルビジネス-山形化成工業社長のあゆみ-Vol.1