敬愛人

敬愛大学で輝く「人」「学び」を紹介

STUDENTS&GRADUATES

敬愛大学の先輩たち

環境に配慮した国内循環型リサイクルビジネス-山形化成工業社長のあゆみ-Vol.1

山形化成工業株式会社 代表取締役社長 後藤 拓也さん

経済学部 経済学科 1995年3月卒業(日本大学山形高等学校 出身)

2022/09/09

経済学部を1995年に卒業し、山形化成工業株式会社の代表取締役社長を務める後藤拓也さんにインタビューを行いました。山形化成工業株式会社は、1966年(昭和41年)に発泡スチロールの製造・販売を主な事業として山形市で創業された企業です。発泡スチロールの特性を活かし、環境に配慮した国内循環型社会への貢献を目指すことを事業目標の一つにしています。その取り組みが、経済産業省が主催する「中小企業のカーボンニュートラルに向けた支援機関ネットワーク会議」で紹介されるなど、業界で注目を集めています。後藤社長は現在に至るまでに、どのような経験をされたのでしょうか。Vol.1では、学生時代のご経験などを紹介します。

吹奏楽に打ち込んだ中学・高校時代。部長を務めて気づいたリーダーのあり方

私は1971年に山形市で生まれました。中学校、高校の6年間を通して打ち込んだのは吹奏楽です。中学と高校を通して東北大会に6年連続で出場し、金賞及び銀賞を獲得したことは良い思い出です。私はそこでトランペットを担当し、吹奏楽の楽しさを知りました。母校の山形市立第六中学校は吹奏楽の強豪校で、今年(2022)で3大会連続全国大会に出場します(2021年は全国大会金賞受賞)。高校でも強豪校で吹奏楽を続けたいと思い、日本大学山形高等学校に進学しました。

 

高校では吹奏楽学部の部長を務めることになったのですが、振り返ればこの経験が「リーダーとして自分はどうあるべきか」を考えるきっかけになったように思います。部員をまとめるために、自分の振る舞いがどのような影響を皆に与えるかを考えました。そこで、誰よりも熱心にトランペットの練習に励み、練習量に見合うだけの実力を身につけました。「日本大学山形高等学校の吹奏楽部長の演奏は上手だ」と他校の吹奏楽部員に言ってもらえるようになれば、皆が部長を認めてついていきたいと思うようになるのではと考えたのです。この考え方は、今も活きています。努力をすることに加えて、成果を生み出すこともビジネスでは大切だからです。

山形化成工業株式会社 後藤 拓也 代表取締役社長

敬愛大学入学後、3年次にアメリカでホームステイを経験

都会でのキャンパスライフに憧れていたこともあり、首都圏の大学で学ぶことを視野に入れて進学先を探しました。私は「団塊世代ジュニア」と呼ばれる世代で、当時は首都圏の大学の受験倍率が30倍を超えることもありました。現在、大学への入学を志している皆さんには考えられないかもしれませんが、予備校にも浪人生があふれ、大学入試に合格することが大変な時代でした。

 

敬愛大学の経済学部に進学し、3年生の時に海外研修に参加しました。アメリカ合衆国カリフォルニア州のノバト・シティ(Novato City)で3週間のホームステイを経験し、ロサンゼルスなどを観光しました。当時は語学力が全くなかったので、渡米の10か月前から英会話スクールに通って英会話の基礎を身につけました。おかげで現地である程度の意思疎通ができ、先に備えて学んでおくことは無駄にならないことを実感しました。

 

ホームステイをして3週間になる頃には、簡単な会話でも英語を英語で考えないと意思疎通が難しくなると気づきました。これは、現地での生活で得た大きな成果でした。英語は日本語に比べて、ポジティブな言語だと思います。例えば、日本語で感謝を伝えるときに「ありがとう」のほかに「すみません」を使う方が多くいます。英語での「ありがとう」は「Thank you」であり、「Sorry」とは言いません。また、自分の意志(食べたい、買いたい、行きたいなど)は、「どちらでもよい」ではなく、「はい」か「いいえ」で答えます。自分の意見を明確にすることの大切さを学び、質問された時には自分の意見をしっかりと言えるようにしました。

 

これから日本の人口が減少し、国内市場は縮小することが予想されます。日本企業が海外へ進出する機会が増えれば、英語力があることは武器となり、自分の可能性を広げてくれます。私は後に仕事で海外に駐在することになるのですが、ここでの海外体験が大変役に立ちました。

経済学部での学びは、社会に出て働く時に必ず活きる

社会人になると、仕事の成果を数字で振り返ることのできる力が必要とされます。行動が会社の利益につながったのか、成果を数字で確認することで判断の正しさを検証することができるからです。企業に就職した場合、例えば営業、総務、人事、経理などの職種に属する人が多いと思いますが、いずれの場合でも数字で仕事の成果を計ることが多いです。事業への投資が必要な場合、成果の大きさを上司に説明するには、会計の知識があるかどうかで差が出ます。特に重要な立場に昇進すれば必要性が増しますし、経営者になれば自分が決裁者になるので、数字の意味や重要性を理解しておくことが求められます。その判断が経営の明暗を分けるので、会計に関わる分野は学ぶ意義が大きいです。

 

社会人になってからは仕事に追われ、次々とライフイベント(引っ越しや結婚、出産など)があるので、じっくり学ぶ時間を確保するのは難しいです。私は会計学をもっと深く学べばよかったと痛感しました。経済学部を卒業して企業への就職を希望するのであれば、数字に強くなることをお勧めします。敬愛大学には、副専攻にAI・データサイエンスがあると知りました。データを形作るものの一つが数字です。データの扱い方を正しく学ぶことも、社会に出た際に大変役に立つと思います。

Vol.2に続く

今回は、中学校、高校、大学までのあゆみを中心に紹介しました。部活動でのリーダー経験や海外での生活など、学生時代の様々な経験や学びが、社会に出て仕事をする上での基盤になったことが伺えました。Vol.2では、後藤社長が山形化成工業株式会社の社長に就任されるまでの社会人生活で学んだことを中心にご紹介します。

環境に配慮した国内循環型リサイクルビジネス-山形化成工業社長のあゆみ-Vol.2