- 敬愛大学の卒業論文報告会で、経済学科4年生が「書店数減少」の実態を報告し最優秀賞を受賞
- 書店減少の原因を出版流通の構造と消費者ニーズの変化から読み解く研究
- 学生へのアンケート調査では、書店で本を買う学生が今も多く、実店舗ならではの魅力が支持されていることがわかった
- 小型書店、地域密着型書店、シェア型書店など、書店の新たな可能性にも着目
2月9日(月)、2025年度「経済学科卒業論文報告会」がオンラインで開かれ、経済学部経済学科4年のH・Sさんが矢口 和宏 教授のゼミの代表報告者として研究成果を発表しました。テーマは「書店数減少現象の実態について」。出版流通の構造や消費者ニーズの変化、学生アンケートの結果をもとに書店を取り巻く現状を多角的に分析した内容が高く評価され、H・Sさんは最優秀賞を受賞しました(写真:表彰式は卒業式当日に行われました)。
20秒でわかるこの記事のポイント
卒業研究について
本好きのHさんは在学中、書店でアルバイトをしていました。本に親しむ中で、「活字離れ」「本離れ」といった言葉をニュースで見聞きするたびに、書店を取り巻く状況に関心を持つようになったといいます。
Hさんは、書店数が減少している背景を、出版社・取次・物流など出版流通の仕組みと、読者側の需要の変化の両面から整理しました。統計データの分析に加え、学生へのアンケートも取り入れ、書店を取り巻く現状を多角的に考察しました。
経済学部の学生を対象とした独自のアンケートでは、書店に足を運ぶ頻度について「数ヶ月に1、2回程度」が最も多い一方で、「全く行かない」という回答も一定数あり、学生の間でも書店との距離感に幅があることが示されました。
また、書籍を購入する場所について尋ねたところ、多くの学生が「書店での購入の方が多い」と回答し、オンライン購入や電子書籍が広がる中でも、書店が依然として重要な入手先となっていることがうかがえました。
さらに、書店で購入する理由としては「実際に手に取って内容を確認したい」という声が最も多く、また、店内を見て回りながら本を選ぶ体験そのものが支持されていることが明らかになりました。一方で、書店以外で購入する理由としては「簡単に購入できるから」といった利便性が挙げられ、また、電子出版の手軽さを評価する回答も見られました。
Hさん自身は、書店以外での購入がもっと多いと予想していたため、書店以外では購入しないとする学生が想像以上に多かった点を「予想外だった」と振り返りました。調査結果からは、学生たちがニーズに応じて購入手段を使い分けており、利便性を重視する場面ではネット通販や電子書籍を選びつつ、内容を吟味したいときや新たな本との出会いを求める場面では書店を選ぶ傾向が見えてきたといいます。
また、発表後、教員からの質問に答える形で、書籍の売り上げは減少傾向ではあるものの、書籍そのものの魅力は失われていないとの見方も示しました。書店と読者の距離を縮めるイベント「ブックフェア」の盛況ぶりをふまえると、よりコアなファン層を獲得しているようにも見えます。また、シェア型書店や地域に根差した書店など、地域のコミュニティを活かした小型書店の可能性も示されました。
Hさんは卒業後、3年次のインターンシップ先でお世話になった千葉県栄町役場に自治体職員(行政職)として勤務します。卒業論文では自治体が運営に関わる書店のあり方にも触れており、「自治体が書店を経営している事例はありますが、簡単な道ではないと思っています。取り組むのであれば、相当な準備が必要です。栄町や行政の現状をしっかり見つめたうえで、いつかは提案につなげていきたいです」と、卒業後の展望を語りました。
就職に結びつく「公務員インターンシップ」
H・Sさんが3年次に参加した敬愛大学独自の「公務員インターンシップ」は、自治体職員を目指す学生に人気のプログラムです。Hさんは、栄町役場で特産品や観光政策についての課題を現場から学び、行政の仕事のやりがいを実感したと言います。経験を通じてキャリアビジョンが明確になり、町の創生に携わりたいという思いが強まりました。





