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OPEN CAMPUS REPORTS

オープンキャンパスレポート

なぜそこにコンビニがある?身近な街から経済学を学ぶミニ体験授業(6/21オープンキャンパス)

経済学部 経済学科 加藤秋人 准教授

2026/07/03

「なぜコンビニは駅前に多いの?」「なぜ洋服店は同じ場所に集まるの?」――普段何気なく見ている街並みには、実は経済学の視点から読み解ける理由があります。6月21日(日)の経済学科のオープンキャンパスでは、加藤秋人准教授によるミニ体験授業「なぜそこにコンビニがある? なぜそこに人が集まる?」を開催しました。高校生にとって身近なコンビニや商店街、町工場を題材に、「場所」に注目して社会や経済の仕組みを考える「経済地理学」の世界を体験しました。

「なぜそこにあるの?」から始まる経済学

授業は、高校生への問いかけから始まりました。

「もし皆さんがコンビニを出店するとしたら、どこに建てますか?」

人通りが多い場所、駅の近く、交通量の多い道路沿い――参加した高校生からはさまざまな意見が出ました。実際に稲毛駅周辺の地図を見ると、多くのコンビニは駅周辺や幹線道路沿いにありながらも、同じチェーン店同士が密集しすぎないように立地していることが分かります。これは、お互いにお客さんを奪い合わないよう、一定の距離を保つ戦略があるためです。

 

ところが、洋服店は事情が違います。裏原宿やアウトレットモール、銀座などには、ライバルとなる店舗が数多く集まっています。なぜ競争相手の近くに出店するのでしょうか。実は、「洋服を買うならこの街へ行けば何でもそろう」というイメージが生まれることで、街全体の魅力が高まり、結果として多くのお客さんが集まるからです。同じ「お店」でも、業種によって立地戦略がまったく異なることに、高校生たちも興味深そうに耳を傾けていました。

司会の学生によるミニ体験授業の紹介

「集まること」が地域を元気にする

後半では、「集まること」が生み出す力について考えました。例えば商店街です。肉屋さん、魚屋さん、八百屋さん、お惣菜屋さんなど、さまざまなお店が集まることで、一度に買い物ができる便利な場所です。イベントを共同開催したり、駐車場を整備したりと、一つのお店ではできないことも、地域全体で取り組めるようになります。一方、商店街には経営者の高齢化や後継者不足といった課題もあります。店舗が減れば街の魅力も低下し、それがさらに閉店を招くという悪循環も起こります。経済地理学では、このような地域の現状を分析し、「どうすれば地域を元気にできるのか」という解決策まで考えていきます。

世界に挑んだ「下町ボブスレー」

授業で特に印象的だったのが、東京都大田区の町工場を舞台にした「下町ボブスレー」プロジェクトの紹介です。大田区には、高い技術力を持つ町工場が数多く集まっています。こうした企業同士は、それぞれ得意分野を生かしながら仕事を分担し、一つの製品をつくり上げています。しかし近年は、工場数の減少によって、こうした地域の強みが失われつつあります。そこで始まったのが、町工場が協力してオリンピック用ボブスレーを開発する「下町ボブスレー」プロジェクトでした。残念ながらオリンピックに正式採用されることはありませんでしたが、この挑戦をきっかけに企業同士の新たなつながりが生まれ、多くの企業や地域住民が参加する地域プロジェクトへと発展していきました。「ものづくり」だけではなく、「人と人とのつながり」が地域を支える大きな力になることを示す事例として、高校生たちも熱心に聞き入っていました。

身近な街が「学びの教室」になる

加藤先生は、「場所」に注目すると、今まで何気なく歩いていた街の見え方が変わると話します。

「なぜこの場所にコンビニがあるのか。」
「なぜこの地域は住宅地になったのか。」
「なぜ都市には人が集まり、地方では人口減少が進んでいるのか。」

普段は見過ごしてしまう疑問も、経済学と地理学を組み合わせて考えることで、その背景にある社会の仕組みが見えてきます。経済学というと難しい理論をイメージする人も多いかもしれません。しかし、身近な街や日常生活から考え始めることで、経済の仕組みをより具体的に理解できるのが経済地理学の魅力です。

「知る」から「考える」へ

今回のミニ体験授業は、「日本経済地理」や「世界経済地理」といった経済学科の授業や、加藤先生のゼミ(専門演習)などにつながる入門編として行われました。地域に根差した企業や自治体、NPOなどで活躍したい人にとっても、大きな学びとなる分野です。経済学は、数字や理論だけを学ぶ学問ではありません。「なぜ?」という身近な疑問から社会の仕組みを理解し、地域の課題を発見し、より良い未来を考えていく学問です。オープンキャンパスに参加した高校生たちも、授業が終わる頃には、いつもの通学路や街並みが少し違って見え始めていたかもしれません。経済学部での学びは、そんな日常の「気づき」を、社会を読み解く力へと変えてくれます。

7月のオープンキャンパス

■次回は2026年7月12日(日)午前10:00~

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