敬愛人

敬愛大学で輝く「人」「学び」を紹介

TEACHERS/STUDY/LABO

教員・学び・ゼミ

国語×ICT教育を通して、これからの教育と学びを考える

教育学部 畑中千晶教授

2024/07/24

教育学部の畑中千晶教授「国語」の授業に、外部講師として品田健先生をお招きしました。品田先生は聖徳学園中学・高等学校の教員であり、Apple社の認定教員であるApple Distinguished Educator(ADE)です。また、同校のProgram Coordinatorでもあり、ICTを活用した教育の推進や、STEAM教育の開発を担当しています。一般社団法人Yohaku Educationの代表も務めており、学校や教育機関へのICTの導入や活用のサポートを行っています。今回は、教育現場でのICTの活用事例を通じて、これからの教育と学びのあり方についてお話しいただきました。

 

※Apple Distinguished Educator(ADE):Apple社より、同社のICTを活用して優れた教育活動を行っていると認定された教員のこと。

日本全国の教育機関にICTの導入と活用を推進

品田先生は、2015年に初めてアジアでのADE Instituteに参加し、日本のICT教育の現状と世界との差を痛感した経験を持ちます。この経験から、日本の教育現場にもICTの導入と活用を進めていきたいと感じたそうです。現在では、日本全国の私立中学校・高校にてICTを活用した授業を行うための研修やDX研修を行い、”創造性を発揮するための教育”をテーマに、国内外でプレゼンテーションを行っています。また、嘱託教員として教育機関に所属しつつ、トレーナーとして教職員研修を行うなど、教員としての新しい働き方の形を模索されています。

 

※ADE Institute:Apple社が主催する教育研究の場。ADEになると参加できる。同じくADEに認定された世界中の教員と繋がることができる。

ADE Instituteでの体験を語る品田先生

教員を目指す学生へのアドバイス

品田先生は講義の冒頭で、教員志望の学生たちからの質問に答える形でアドバイスをしました。「教員になることが嫌になったらどうするか?」という問いに対しては、「教員以外の道を選んでも良い」という回答をされました。先生自身も教育実習で悩んだ経験があり、最終的に「教員という仕事が自分にとっての使命だ」と感じるまでには時間がかかったとのことです。

教員の働き方の多様化

現在、教員が4,000人不足していると言われており、働き方改革が求められています。品田先生は「私立学校では、どの学校も教員不足というわけではなく、集まる学校には生徒も教員も集まる」と指摘しました。そのため、教員自身も得意・特技・長所などを活かした「+α」の力を身につけ、勤務する学校を自分で選べるようになることが重要だと述べました。

畑中教授と品田先生

教育と学びの違い

講義では、「教育」と「学び」の違いについても考察が行われました。品田先生は学生たちにこの違いを問いかけ、Padlet(パドレット)というアプリを利用して意見を共有しました。このアプリを使用することにより、学生たちは多様な意見を閲覧し、自分の考えを深めることができました。ICTを活用した教育の形を体験することで、従来の授業スタイルとは異なる新しい学びの方法を体験できたようです。

 

品田先生はAIの活用についても触れました。AIは答えを教えるだけのツールではなく、問題を作成したり、一問一答したりすることにも利用できます。しかし、AIを正しく使いこなすためには、適切な質問の仕方を学ぶことが重要です。AIを禁止するのではなく、正しい使い方を考える習慣を身につけることが求められそうです。

  • スマートフォンを使用して意見を記入する学生たち

  • Padlet(パドレット)で意見を共有する

実践的な授業例

授業の中では、品田先生が高校生に行ったペーパータワーの授業例が動画で紹介されました。紙を使って高いタワーを作り、てっぺんに消しゴムを乗せるという課題を通じて、創造力を養うことができます。このようなアクティビティを国語の授業に応用することで、言語化の力を育むことができます。ここで先生は、STEAM教育の重要性にも触れました。正解のない問題を考え抜くことで、生徒や児童たちは創造力を発揮し、自ら学ぶ力を身につけることができます。教員としてのやりがいについても、「想定を超える瞬間に出会えること」が一番だと述べられました。授業を通して、生徒たちの無限の可能性を感じる場面に出会えることが、何よりの喜びだそうです。

「想定を超える瞬間に出会えること」が教員としてのやりがい

畑中教授より

今回の授業を通じて、ICTを活用した新しい教育の形やAIの正しい使い方、創造力を育むための実践的なアクティビティなど、多岐にわたる内容が紹介されました。学生たちはこれからの教育と学びの在り方について深く考える機会を得ることができたのではないでしょうか。今後もこのような機会を通じて、より多くの学生が教育の現場で活躍できるよう支援していきたいと考えています。

関連記事リンク

教育学部