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経営学科佐竹教授が経営者などに向けて講演 企業再生における後継者のリーダーシップと理念創成プロセスについて説く

経営学科 教授 佐竹 恒彦

2024/06/11

5月31日(金)、経営学科の佐竹教授が社会構想大学院大学での、月刊「先端教育」出版部主催のセミナーに登壇し、経営者や経営コンサルタントなどに対して「企業再生における後継者のリーダーシップと理念創成プロセス」をテーマに講演しました。この講演では、当時多額の損失を計上し倒産の危機に直面していたW社が、経営者S氏のリーダーシップにより再生に至った事例について、佐竹教授の分析とともに紹介されました。

 

W社は1984年の設立から10年以上赤字が続き、1992年度には約200億円の経常損失と約776億円の累積損失を計上し、約358億円の債務超過に陥り、倒産の危機に直面していました。この危機的状況の中で、後任の経営者S氏がリーダーシップを発揮し、会社を再生へと導きました。

 

W社の再生は、経営理念の欠如に気づいたS氏が、まず社内の信頼を得ることに努めたことから始まりました。S氏はバラバラな価値観を持つ人たちにいきなり経営理念を説くのではなく、現場を徹底的に歩いて問題点を掘り起こし、重要なことから解決していきました。そして、大きな目標を掲げるのではなく、達成可能な具体的な目標を策定し、人件費以外のコスト削減を徹底しました。また、現場から知恵を引き出し、改善のために知恵を出し合いました。

こうしてS氏は就任から2年後にようやく経営理念の策定に着手しました。すべての部門、すべての世代、男性も女性も交えて徹底的に議論し、経営理念を作り上げました。そして1995年度には経常利益ベースで62億円の黒字化を果たしました。理念の明確化が社員の倫理観や困難を恐れない勇気を育み、それがリーダーシップの発揮につながると佐竹教授は分析します。

 

本講演では、企業再生と事業承継時において、後継者のリーダーシップの拠り所となる借り物ではない経営者の本音と整合した経営理念”が創成されるプロセスについて、具体的な事例も交えて解説されました。聴講者にとって、企業再生と事業承継時に求められる後継者のリーダーシップに有効な経営理念の創成プロセスについて深く考える機会になったのではないでしょうか。

 

報告:IR・広報室

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