4月29日(月)の日経新聞にて、教育学部の土田雄一教授が7年目となる道徳教育の教科化について、意見を述べました。現在、小中学校ではいじめの認知件数が増えており、その対策として道徳教育に期待が寄せられています。
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2014年の学習指導要領改訂で道徳が「教科」として位置付けられ、「考え、議論する道徳」をキーワードに道徳授業の充実を図ってきました。しかし、その実現は道半ばであると土田教授は指摘します。教科化に伴い検定教科書が導入されましたが、道徳授業の質が底上げされた一方で、教科書に頼り児童の実態に応じた活用がなされていないという課題も浮かび上がっています。
教科化の目的はいじめ問題の解決にもありましたが、現在のところいじめ件数の増加には対処できていない状況です。各社の教科書にはいじめ関連の教材が盛り込まれていますが、土田教授は「応用こそ重要」といいます。道徳科で学んだことを学級活動や学校行事を通して、児童・生徒が実際に判断し「いじめをしない」「いじめをにくむ」ように繋げられることが大切です。
私が「道徳教育指導法」(3年)で心がけていることは「理論と実践の往還」です。授業は「指導案の作成」がゴールですが、多様な指導方法については、理論だけでなく、模擬授業を実施して、学生に体験的に学ばせ、その効果と課題について考えさせています。たとえば、「多面的・多角的に考えさせる指導方法」として、「思考ツール(ウェビング)」を活用して問題場面で両面から考えさせ、その後、自分事として意識させるために、「役割演技」を用いてその場面を演じさせています。
学生からは「自分にはない視点で考えられた」「実際に演じて言い方の大切さに気が付いた」等のコメントがありました。また、視聴覚教材を活用した「考え議論する」授業を展開したり、「価値の明確化理論」に基づいた授業を実施したりしています。さらに、指導案完成の前にグループごとに模擬授業を実施して、発問や展開の仕方などを検討する時間を用意しています。なかには、本授業で学んだことを生かして、教育実習で道徳科の授業にチャレンジする学生もいます。