過疎化が進む駅前や周辺の街を活性化するため、単身者用アパートやテナントの賃貸、不動産の仲介を行う。専門資格を持った知識豊富なエリア限定営業職によるきめ細やかな対応により、既存の不動産販売業者との差別化をする。物件選びから引っ越しまでのサポートを行い、大手企業に対する優位性を確立する。
経営学科の佐竹恒彦教授の2年生ゼミ(専門導入演習)では、新事業の展開に関する研究を行っています。前期のゼミでは、経営理念の意義や事業領域の設定、経営戦略と企業戦略の考え方などの経営の基礎を学んできました。後期では、起業に必要な事業計画書を作成し、これまでの学修の成果を発表します。7つのチームに分かれ、それぞれが興味関心のある領域で新事業をどのように立ち上げるのかを報告しました。各チームの発表を紹介します。
事業計画
「人と街に輝きを」(チーム名:馬琴)
「ネットショッピングを快適にする事業」(チーム名:うさぎ)
幅広いジャンルの商品を個人が簡単に売り買いする事ができる事業。出品者から販売⼿数料による収入を得て、購入者からの評価が高いほど販売⼿数料が割引される制度により利用者を増やす。リユース・リサイクル市場は、2030年には4兆円規模に拡大すると予測されている。手数料の安さと取引の安心感で競合他社との差別化を図る。
「自分が作りたいアパレルブランド」(チーム名:レバブル)
個性的な服をネットショッピングサイトを通じて全国に提供するアパレル事業。ストリートファッションが好きで毎日着ている服に飽きている人、アクセントが欲しい人や自分のファッションに変化を求めている人がターゲット。他のブランドにはない変わったデザインで興味をもってもらい、希少性のある服を高単価で販売して利益を得る。
「部活顧問減少問題を解決する紹介事業」(チーム名:ジャイアンツ)
中学校の部活動の顧問が減少している問題をビジネスの機会と捉え、指導者を派遣する事業。教員の部活動の指導にかかる時間を削減し、業務負荷を減らすことで教育現場からのニーズに応える。大会の上位進出を目指す指導ではなく、廃部からの復興や部活動の安定的な運営を行うことで他社との差別化を図る。
「子供たちの未来を創るカードゲーム事業」(チーム名:C・O・M)
子供向けのカードゲームの開発と販売を行い、イベントの企画や運営を通じて普及を図る事業。近年、カードゲーム市場は成長しているが、プレーヤー人口の大幅な増加には課題がある。これをビジネス・チャンスと捉えて事業化を図る。競合他社との差別化では、アタマを鍛え、コミュニケーション力も高められるカードゲームという位置づけを狙う。
「空き家問題と多くの外国人観光客に日本の良さを知ってもらう」(チーム名:バルク)
空き家を宿泊施設として観光客や旅行客に提供し、地域の活性化を行う事業。近年、空き家が増加する一方、地域の観光や民泊の需要は高まっている。自然環境の魅力やアウトドア体験型の宿泊体験ができることを強みとして、主に外国人観光客をターゲットに展開する。物件のオーナーと宿泊客を仲介することで空き家の再利用を促進し、広告料を加えて黒字化を目指す。
「犬の殺処分問題を減らす事業」(チーム名:さわかの)
犬の幸せや福祉を目指す団体を設立する。具体的な取り組みとして、犬の救助と保護、犬の医療ケア、犬のトレーニングとしつけ、里親探しと譲渡手続き、コミュニティ教育と啓発活動を行う。専従スタッフの雇用とボランティアスタッフの管理、資金調達などに経営学の手法を取り入れ、非営利組織として安定的な運営を目指す。
まとめ
各チームは、日頃の問題意識や市場の動向を踏まえて事業計画を作成しました。適切な領域で事業がデザインされているか、自社や競合他社の強みや弱みは何かなどのポイントで多角的に検討を行いました。実際の起業では、資金の確保やビジネスモデルの実現可能性について、さらに検討を進める必要がありますが、オリジナリティのある新事業の構想になったと思われます。3年次の「専門演習」では各自の研究テーマを深め、4年次の「卒業演習」では卒業論文として4年間の集大成を行います。これらの学修を通して、社会で必要となる課題解決力や思考、判断・実践する力を身につけます。