今回の海外スクーリングの目的は4つありました。
- 2012年から交換留学を実施している中國文化大學(台北市郊外にある私立総合大学)を訪問し、現地の大学生と交流する
- 朝日新聞台北支局にて特別講義を受け、日台関係や中台関係などを学ぶ
- 博物館、記念館の見学を通して中華民国と台湾の歴史を理解する
- 「台湾の文化と食を楽しむ」をテーマとした日帰り旅行プランを各自でデザインし、実行する
学生たちは後期に約10回の事前授業を受け、現地の予備知識を十分に得てから参加しました。
敬愛大学の海外体験プログラムの一つである「海外スクーリング(後期)」が実施されました。今年は2023年12月16日~21日(5泊6日)の日程で、台湾(台北市)を訪れました。台湾への海外スクーリングは過去4回実施されていますが、今回は2018年12月以来、5年ぶりの訪問となりました。
今回の海外スクーリングの目的は4つありました。
学生たちは後期に約10回の事前授業を受け、現地の予備知識を十分に得てから参加しました。
朝9時過ぎに日本を出発しました。日本と台湾との時差は1時間あり、現地時間の13時頃に台北に到着しました。この日から台湾には寒波が到来し、冷たい雨が降っていました。ガイドの方は「昨日は30度もあった」と話しており、皆びっくりした様子でした。
まずは故宮博物院に向かいましたが、展示物で一番人気のある「翡翠の白菜(翠玉白菜)」と「豚の角煮(肉形石)」は、南院(台南市)で特別展示されることになっていたようで、残念ながら観ることができませんでした。これらは元々、北京の故宮にあった宝物でしたが、中華民国総統で中国国民党総裁であった蔣介石氏が自らの支配の正統性を守るため、1949年以前から台北に移転させたものです。故宮博物院の成り立ちや歴史は事前授業で学んでいたため、歴史的な背景を理解して見学に臨んだことで、より理解が深まったようです。
2日日は台北観光です。人気の観光スポットである九份と十份、士林夜市を見学しました。今年は土日スタートの海外スクーリングのため、現地観光からのスタートとなりましたが、九份と十份についても事前授業で学んでいたのでスムーズでした。
九份は台北北部に位置し、海が一望できる風光明媚な場所です。映画『悲情城市』やスタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』のモデルになったと言われています。レトロな雰囲気を残している茶店「阿妹茶楼」で、伝統的な聞茶(中国茶の香と味を楽しむ体験)と茶菓子を楽しみました。
続いて訪れた十份は、九份からバスで40分くらいのところにあります。担当グループの事前調査によると、十份は日本統治時代には炭鉱の町として栄えていました。炭鉱は落盤事故などが多いので、心配した家族が炭鉱夫の無事を祈るためにランタンを上げる習慣(天燈上げ)があり、それが今でも続いています。学生たちも家族の健康や幸せを祈って、心を込めてランタンに筆で願いごとを書きました。
夜は台北市最大と言われる「士林夜市」に行き、本場の胡椒餅を堪能しました。ガイドの方のお話では、コロナ禍で閉鎖した店舗も多くあるそうです。地下にある「美食街」も、残念ながら改装のために閉まっていました。
中國文化大學への訪問は、今回のスクーリングにおける一番の目的です。日本語文学科の在学生と交流し、凃玉盞先生の日本語の聞き取りの授業に参加しました。在学生20名と本学の学生を合わせると、30名のクラスになりました。冒頭で敬愛大学の紹介と、中國文化大學との関係について説明を行ったところ、交換留学制度について関心を持ってくれた方がいたようです。
学生たちは3グループに分かれて、関心のあるテーマでグループディスカッションを行いました。「台湾と日本の少子化問題」「結婚観の比較」「日本語を学ぶ理由」「台湾と日本の学生生活の違い」「関心のある日本文化や訪れたい場所」「日本のタレントの『推し』について」など、様々なテーマで活発な討論をしました。
授業後は学食や大学周辺の飲食店でランチを共にしました。みないきいきと楽しそうにしていたのが印象に残っています。様々に調整を頂いた学科長 兼 日本研究センター センター長の陳順益先生、授業を担当してくださった凃先生、日本語文学科の学生の皆さんに、心から感謝申し上げます。
午後は台北市内の朝日新聞社台北支局を訪問しました。日本の大手新聞社ですが、海外支局には特派員が1名しかいないことを知って、みな驚いていました。講義をしてくださった記者の方は、イスラエルでの取材から帰ってきたばかりでした。実際の戦場での話が中心となり、みなメモを取って熱心に聴いていました。台湾の総統選挙についても話題になりましたが、中国国民党と民主進歩党の勢力が拮抗していて、予測は難しいとのことでした。1月13日に行われる総統選挙が注目されます。その後は地上101階建ての超高層ビル、「台北101」を見学しました。
朝日新聞社台北支局を訪れる前に、「台北の原宿」と言われる永康街でマンゴーかき氷を食べました。とても大きく、3人で一人前ほどの量です。みんな気に入ったようです。夜はガイドの方に勧められた美味しい麺線(汁ビーフン)の屋台に行き、現地のソウルフードの味も満喫しました。
午前中は台湾銘菓であるパイナップルケーキ(鳳梨酥)夢工場を見学しました。手作りケーキ体験ができるため、みな心待ちにしていたようです。パイナップルケーキは、パイナップルをジャム状にしてバター風味の生地で包んで焼き上げたもので、お土産で人気ナンバー1の商品です。生地の中にパイナップルの餡を入れ、型に入れて手作りを楽しみました。
これらの施設も事前授業で学んでおり、中正紀念堂では蔣介石にまつわる展示品を前に解説を行いました。国父記念館では、国父と称される孫文に関する展示や、衛兵の交代を見学しました。その後は小籠包で有名な鼎泰豊で昼食をとり、食べきれないほど様々な種類の小籠包と餃子を堪能しました。
終日自由行動としました。地下鉄(MRT)の乗り方をマスターしていたので、各自で関心あるテーマの探究活動を熱心に行ったようです。日本統治時代の建物に関心があるグループは、総統府や旧三井銀行、台湾大学などを見学していました。寺院に関心のあるグループは、日本の寺院との違いを取材していました。永康街を再び訪れ、ショッピングやパンケーキなどを楽しんだグループや、ホテル周辺の西門街を一日中歩き、ガイドブックが書けるほど詳しくなったグループもあったようです。
5日間の台湾スクーリングはあっという間でした。課題となっているレポートの内容が今から楽しみです。参加した学生たちにとっては、実りの多い学びの機会となったことでしょう。特に4年生はコロナ禍により入学式ができず、留学も中止となっていたので、台湾で海外体験ができたことは本当に良かったです。