私の専門は簿記論・財務会計論です。その中でも家電量販店等で発行されるポイントの会計処理を主軸に、そこから派生して電子マネー、仮想通貨や顧客情報の会計処理を研究しています。
まず、簿記論と会計学の違いについて説明します。
会計学:企業が行っている日々の取引をどのように情報化するか、ということを研究する学問です。企業の情報を利用する者が企業外部者であるならば財務会計論、企業内部者であるならば管理会計論と分類されます。
簿記論:企業が行った取引をどのように記録するか、という記録の方法等を研究する学問です。
会計学でどのように情報化するかを論じ、簿記論で実際にどのように記録するかを検討する、と理解すると分かりやすいと思います。
私の研究内容を少し紹介したいと思います。私がメインで行っているのはポイントの会計処理です。日本ではポイントを“おまけ”として認識しています。企業はポイントを無償で提供していると考えているからです。一方、海外ではポイントの付与は商品の販売と同時に行われることが多いため、商品とセットで販売していると考えています。この考え方の違いは、企業が本業でどれだけお金を獲得したかという指標(売上高)に影響を与えます。
ポイントを“おまけ”と考えると、企業の本業である商品販売によって受け取ったお金が売上高になります。一方、ポイントも商品と一緒に販売していると考えると、受け取ったお金をポイント分と商品販売分とに分ける必要があります。すなわち、受け取ったお金をすべて売上高として処理することができなくなります。どちらの方法が良いのかを、会計的な考え方を基に検討するのが私の研究です。
その他、ポイントと比較される電子マネー、仮想通貨や企業がポイント・プログラムを導入したことによって獲得した顧客情報をどのように会計処理すべきかを検討しています。
私が受け持っている講義は、簿記・会計概論、会計学、経営分析、演習(ゼミ)です。
簿記・会計概論は、企業が行っている取引を理解し、それをどのように記録するかの方法を学びます。
会計学は、簿記という記録方法の裏に、どのような考え方があるのかを学びます。
経営分析は、企業の記録の結果である財務諸表を見て、どのようなことが言えるかを学びます。
演習(ゼミ)は、私の専門をもとに、講義では取り扱わないような事例をゼミ生と共に詳細に検討していきます。内容は各年代によって個性があるので、ゼミ生と協議して決めます。