敬愛大学のキャリア教育講座の一つである「キャリア基礎開発」の授業は、PBL(Problem Based Learning:課題解決型)です。経営学の基本的な知識に基づき、企業人として求められる思考力を身につけることを目的としています。また、多様性を理解し、仲間と協働して目的を達成できるようになることを目指します。今年度は協力企業6社から提示された課題(テーマ)の解決策を考えます。失敗を恐れない前向きな提案が歓迎されます。前期の「キャリア基礎開発Ⅰ」では、それぞれの企業の課題の背景にある事柄を調べて深く掘り下げるとともに、解決後の成果を想定します。後期の「キャリア基礎開発Ⅱ」では、それをもとに具体的な課題解決策を提案します。
協力企業3社から提示された今回の課題(テーマ)
今回の協力企業は以下のように様々な課題(テーマ)を提示してくれました(株式会社は省略)。
タイヘイ | 新たに7事業部目を作るとしたらどのような業界が相応しいか? |
千葉共同サイロ | イキイキ・ワクワク働ける会社ってどんな会社?~千葉共同サイロ編~ |
ティーエスケー | TSKの過去(歴史)⇒現在(事実)⇒未来(創造)への絆!大規模修繕工事×デザイン≒付加価値創造リノベーション |
クレディセゾン | 決済手段としてクレジットカードが1番に選ばれるようにせよ! |
アイ・メデックス | 新事業のために新しい組織をつくろう<地域課題を解決し、千葉から世界へ> |
さくら印刷 | 茂原市で地域活性化に参加したい人が集う「茂原リビングラボ(仮)」の開店 |
協力企業と意見交換、情報共有しながら資料をまとめる
学生たちはAクラス6チームとBクラス6チームの計12チームに分かれ、担当する企業を決めて解決策の立案に取り組みます。2クラスを合わせると145名が履修しています。Aクラスでは課題を解決した場合に得られる成果についても考えます。また、各グループごとに協力企業と直接のやりとりを行い、課題に関する質問を通じて当事者から情報を引き出します。得られた情報について深く推察することで、ビジネスの現場で役立つスキルが向上します。
評価と振り返り
前期の終盤に、各チームごとに調べたことをまとめ、1チーム7分で「取り組むべき課題と想定される成果の提案」といったことを中心に最終プレゼンテーションをします。内容は協力企業だけでなく、千葉商工会議所や千葉県庁雇用労働課などの関係者も加わって評価を行います。今回の評価項目は以下の通りです。
課題設定 | 多様な視点でテーマ分析ができているか |
取り組むべき課題を絞込み、明確に設定できているか | |
その課題でなければならない根拠を明示できているか | |
ゴール設定 | ステークホルダーを具体的に提示できているか |
リスク、リターンを根拠をもって提示できているか | |
現実的で当事者意識を感じる内容だったか | |
発信設定 | プレゼンテーション提示資料(構成/デザイン/資料) |
論理的で理解しやすいプレゼンテーションだったか | |
表現意欲(声量/明瞭/テンポ/目線/姿勢/ゼスチャー) |
これらの評価結果に、チームの学生たちによる相互評価を合わせ、重み付け※をして集計します。その結果、AとBそれぞれのクラスで、以下のチームが優勝しました。
・Aクラス チーム「目指せ社員満足度100% 」66点/100点満点中(ティーエスケーを担当)
・Bクラス チーム「プロポリ 」68点/100点満点中(さくら印刷を担当)
各チームごとにグループワークを振り返ってもらい、改善に向けた具体的なコメントの発表もしてもらいました。企業や各団体で活躍する方々のアドバイスが受けられたことは、大変貴重な機会となりました。ご協力いただいた企業の社長、社員の皆様、千葉商工会議所、県庁関係者の皆様、ありがとうございました。
※評価の重み付け…各企業、商工会議所、県庁関係者の評価を1、各チームが自らのチーム以外を評価したものを0.5とし、100点満点に換算し直して評価しています。
彌島教授より
今年度は1チームあたりのプレゼン時間を確保するために、各社2チームずつ計6チームに制限しました。結果、1チーム10~15名と大所帯になってしまいましたが、チーム内で作業を分担し小グループに分かれて同時並行で行うなどの工夫も見られ、情報活用とヒトの巻き込み、両面での成長が見られました。この授業では、「課題の抽出と解決を行う力」「チームワーク力」の2つを身につけることをテーマとしています。
今回頂いた評価の良し悪しだけでなく、そこに至るプロセスや自身の取り組みを振り返ることが大切です。本学のリフレクションシート『チバイチバン』に書き込むことが学生の意識強化を助け、更に、フィードバックを通じた他者の気づきを共有することで、視野の拡大を促すようです。VUCAと言われる時代だからこそ、求められる力なのだと思います。