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「書写」を知る-書道との違いとは?なぜ毛筆を学ぶのか?-

教育学部 こども教育学科 畑中 千晶 教授

2023/07/13

畑中千晶教授(教育学部)の「国語」の授業では、教科の指導に必要な国語の専門知識や、教員にふさわしい国語運用能力(漢字・語彙力、口頭での表現力等)を学びます。今回はゲストスピーカーに押野加奈先生をお招きし、書写の特別講義を実施しました。小学校や中学校の教育の現場における「書写」の学びについてだけでなく、その指導法についても教えていただきました。

書写と書道の違いとは?

書写は国語の教科に含まれるそうで、小学校や中学校では必修科目となります。高校からは芸術科に含まれ、書道という名称に変わります。両者には以下のような違いがあるそうです。

 

書写:より良い文字の書き方を学び、日常生活に役立てること
書道:様々な書体の文字で豊かに表現し、鑑賞すること

 

また、小・中学校における書写の授業の時間では、以下のようなことを身につけることを目的としているそうです。

  1. 読みやすい文字を(正しく整えて)適切な速さで書く能力
  2. 目的や必要に応じて、効果的に書く能力
  3. 文字文化の豊かさの理解
  4. 書写の能力を学習や生活に役立てる態度

『国語科書写の理論と実践』(全国大学書写書道教育学会編、萱原書房、2020年、p.4より引用

特に1.に関しては、教科書にある綺麗な文字のお手本通りに書くことを目指すというよりは、自分の持つ文字の良さを活かして、読みやすい文字が書けるようになることを目指すことが大切です。

畑中千晶教授(左)と押野加奈先生(右)

なぜ毛筆を学ぶのか?

書写の授業では、小学校3年生から毛筆が始まります。なぜ毛筆で書くことが必要とされるのでしょうか。毛筆を使用して文字を正しく整えて書くことができるようになると、硬筆による書写の能力を高めるための基礎づくりができるそうです。毛筆は硬筆の補助的な役割を担っており、硬筆で文字をより良く書く能力を向上させるために必要な学びであることがわかりました。

毛筆学習には、硬筆学習を補うねらいがある

硬筆の指導における水書用筆の活かし方

硬筆とは、ペンや鉛筆などの先が硬いものの総称です。鉛筆だけでなく、サインペンやフェルトペンも含まれます。まず、2,3人のグループを作り、1人ずつが順番にペン(硬筆)を持ち、一画ずつ書いて「晴」の字を完成させる「1人一画リレー」を行いました。どの部分をどの様なバランスで書けばよいか、試行錯誤しながら文字を完成させます。
ここで、「水書用筆」の紹介がありました。水書用筆は、水の入った筆ペンのような構造です。専用の水書シートに文字を書くと筆ペンのように黒い文字を書くことができますが、水で書かれているため時間の経過とともに消失してしまいます。平成29年告示小学校学習指導要領(解説)で言及され、硬筆で適切に運筆する習慣をつけるために活用できるツールとされています。水書用筆については、以下のような特性や留意点があるそうです。これらを正しく理解し、硬筆での学習をする前の練習活動として使用することが推奨されています。

 

特性:取り扱いが容易で、汚れにくい。はらい、はねなどの筆圧の変化が理解しやすい
留意点:毛筆の先取り学習にはならない。文字が残らないため、水書用筆で書いた文字は評価しない

 

 

  • 1人一画リレーの様子

  • 水書用筆を使用してみる

硬筆・毛筆で文字を書く

水書用筆での実践後、小学校6年生向けの教材を使用して、限られた長方形のスペースに硬筆で文章を書いてみることになりました。ポイントは、お手本を意識しすぎず、自分の文字で読みやすく、バランスを意識して書いていくことだそうです。硬筆で文字を書いた後は、いよいよ毛筆です。文字の太さや細さ、はらい、はねなどの筆使いを指導いただき、「木」という文字を書いたあと、木の文字を含む単語を自由に書いてみました。また、左利きの児童への対応や、どのような声掛け、アドバイスを行えばよいかといった指導法も説明いただきました。

  • 簡単なようで難しい!

  • 書いた文字をお互いに指導し合いました

 

大学に入学してから、墨汁や半紙を使用して毛筆で文字を書く経験をすることは少ないかもしれません。今回、学生たちが書写を実体験したことや、指導のポイントを学べたことはとても良い機会となりました。学校現場ではどのようなことを意識して指導すればよいかや、書写の学習における到達目標を詳しく知ることができたのではないでしょうか。

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