敬愛人

敬愛大学で輝く「人」「学び」を紹介

TEACHERS/STUDY/LABO

教員・学び・ゼミ

富士山で山歩きをしながら自然を学ぶ 小林ゼミ一泊二日のゼミ合宿

教育学部 小林 輝明 准教授

2022/08/02

理科教育を専門とする小林准教授のゼミでは前期授業終了後、毎年恒例のゼミ合宿を行っています。小学校の理科では、身の回りの自然から学ぶことが多く、小学校教員を目指す学生も自然の中で「不思議」や「発見」を体験することが大切です。今回の目的地は富士山です。一泊二日の日程で2年生7名が富士山中腹でのトレッキング(山歩き)をしました。

合宿1日目 昼

夏期マイカー規制が行われている富士スカイラインをバスで上がりました。5合目の手前で降りると、そこはもう雲の上の世界。足元にはどこまでも続く樹海が広がり、遠くには富士五湖の一つ、山中湖が望めました。

 

御中道(おちゅうどう:富士山を一周するルート)を歩いて厳しい自然環境と高地に住む生物を観察しました。標高2,500m付近に到達すると、高い木がまばらになっていき、森林限界であることがわかります。噴火によって降下した火山灰やスコリアが厚く積もる火山荒原を実際に見ることができる貴重な場所です。

5合目までの道のりは、白色の羽毛をもつカラス(ホシガラス)に出会ったり、厳しい風雪に耐えるダケカンバや氷塊になぎ倒される木々を見かけたりと、生命の不思議と偉大さを感じるものでした。

 

森林限界:高木が生育できず森林がなくなる限界線

スコリア:火山噴出物の一種。玄武岩質のマグマが固まった塊状で多孔質の黒い石

  • 標高が高くなると気温が下がるので、低温に弱い木々が森林を形成できなくなります

  • 途中、極めて珍しい人の頭くらいの大きさの火山弾を発見しました

合宿1日目 夜

夜は、研修室で東京四谷理科実験クラブ理事の新田正博先生から地震や火山についての講義を受けました。自然の中で学んだからこそ、実感を伴った多くの知識を得ることができました。

その後、持参した天体望遠鏡を使って土星や木星の天体観測をしました。富士山では街中の光が届かず、空気も薄く、塵も少ないので星がきれいに見えます。

合宿2日目

朝から雲一つない天気で、宿舎の部屋の窓から見えた富士山はとても美しかったです。

午前中は青空と緑のコントラストが映える芝生広場で、問題解決活動に取り組みました。一人一台のペットボトルロケットを製作し、100m先の目標に最も近づくように飛ばすという課題です。初めてペットボトルロケットを飛ばした人がほとんどで、重量や尾翼の形状、水の量の調整や発射角度など、学生たちは工夫しなければならないことの多さに苦労しながら試行錯誤していました。最も精度良く飛んだロケットは、標的まで誤差5mという大変すばらしい結果を出しました。

豊かな自然の中で思いっきり体を動かして過ごした2日間。友人とともに過ごした時間と語らいは、残りの大学生活をきっと厚みのあるものにしてくれるでしょう。

 

報告:教育学部准教授 小林 輝明