今回紹介されたのは、ブラジル南部に位置し、人口140万人(ブラジルでは10番目に大きな都市)であるポルト・アレグレ市の取り組みです。1989年から、自治体の予算編成に市民が参加する「市民参加型予算(PB)」という試みが開始されました。
ブラジルでは20世紀半ばに軍事独裁政権が誕生したことから、市民の政治的権利が失われ、スラム街や無認可居住区が増加してしまいました。市民の生活を向上させるために自治体が発案したこの取り組みは、こういったクライエンタリズム※を克服するための政策であったと言われています。ポルト・アレグレ市民は、自らが生活する地域の政策に意見や要求を反映させやすくなりました。
その結果、不公平な行政の下で貧しい地域に十分な資源の配給がなされないといったこれまでの仕組みの在り方が変革されました。透明かつ公平で効率的な行政運営が実現したこと、地域ごとの不平等なインフラ整備の在り方も是正されたそうです。
発表者のYさんは、これらの良い結果だけではなく、PBにおけるこれからの課題、また日本の行政システムとの比較をした結果などを共有しました。
※ここでは、「政治家が私的な資源を分配することを通して、支持者との間に個人的な「庇護=忠誠」の関係を築くことで得票を得ること」を指して使用しています。