- 1・2年生混合の全43チームが、SDGsに関わる身近な問題を探究した
- 調査や成果物づくりを通じて、解決策を相手に伝わる形で表現した
- 将来教員を目指す学生が、子供たちの主体的な学びを支える視点を深めた
教育学部の1・2年生が、SDGsに関わる身近な問題をテーマにした課題解決学習に取り組み、その成果を発表しました。学生たちは学年をこえた混合チームで問いを立て、調査や成果物づくりを重ねてきました。今回の学びで大切にされたのは、解決策を考えるだけでなく、「何を、どのように伝えるか」を相手の立場に立って考えることです。
20秒でわかるこの記事のポイント
教育学部では、2021年度から1・2年生合同でゼミを実施しています。今年度も学生たちは1年生と2年生の混合チームをつくり、SDGsに関わる身近な問題から、各チームの探究課題を設定。およそ9週間にわたり調査や話し合いを重ね、発表に向けて準備を進めてきました。
7月9日(木)、今日はその集大成となる発表会です。
AIで障がいのある児童の学びを支える方法を提案
発表の一つ、「障がいのある児童へのAI学習支援」をテーマにしたチーム「ウーパールーパー」からは、AIを活用して児童一人ひとりの学びを支える方法が提案されました。チームが学生に行ったアンケートでは、「学校でAIを使って勉強したい」と回答した人が約90%にのぼる一方、「実際に学校でAIを使った経験がある」と回答した人は約10%にとどまりました。AI活用への関心の高さと、実際の活用状況との間に大きなギャップがあることがわかります。
大学生でもAIを学習に取り入れられている人は少数です。小学生にとってはなおさらでしょう。学生たちは「ここに教師の出番がある」と考え、国語・算数・英語・理科・社会の5教科について、児童が感じる学習のつまずきをAIでどう支えられるかを具体的に検討しました。
例えば国語では、文章の意味をつかみにくい児童のために、AIを使って内容を要約したり、「やさしい日本語」に変換したりする方法を提案しました。また、文字を書くことに困難のある児童が音声入力を活用することで、書く負担を減らし、自分の考えを作文として表現しやすくなると説明しました。

教科ごとの支援方法と、それぞれの教科に特化したAIツールをまとめたミニ冊子を掲げる学生
算数では、割り算や分数、面積といった抽象的な概念を、AIが図やグラフで視覚化することで理解を助ける方法を紹介しました。数式だけではわかりにくい場合でも、図を動かしながら確認することで、児童が自分のペースで理解を深められると考えたのです。
学生たちは、これらの教科ごとの支援方法と活用できるAIツールをミニ冊子にまとめました。そして今後は、教科の学習だけでなく、学校生活の中で児童が感じる日常的な不便にも目を向け、AIによる支援の可能性を広げていきたいと展望を述べました。

ハルシネーション(AIの間違い)への対応策について教授から質問。「AI任せではなく教師側がその間違いをどう補填していくかが大切」と答える学生。
正解のない問いに向き合う力を育てる
このように、各チームのテーマには教育や学校現場に関わるものが多く、自ら調査を行ったり、実際に試作したり、具体的な成果物をつくり上げたチームもありました。
身近な問題を自分自身で見つけ、解決策を考え、実行していく。そうした課題解決の経験を重ねることが、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な人と協力しながら自分の人生をかじ取りする力の育成につながります。そのためには、教える側の教師自身がその力を発揮していなければなりません。教師が「あらかじめ決まった正解を教える存在」にとどまっている限り、「自ら答えを創り出す力」は育たないと教育学部の市川教授は語ります。
その基盤をつくることが、合同ゼミで実施しているSDGsプロジェクトの目的です。
市川教授の目線――発表会を終えて
昨年度までのポスターセッションから、今回は発表内容や聞き手に応じて最も適した方法で発表する「エキシビション」形式になりました。人形劇や模擬授業、紙芝居など、工夫を凝らしたグループもありました。相手のことを考えて発表方法を選ぶことで、一番伝えたいことは何かを意識できたのではないでしょうか。一方で、原稿から目を離せず、声が小さくなって聞こえないという場面も見受けられました。相手に伝えるとはどういうことなのか、まだまだ改善点はありそうです。
学生たちが一番苦労したのは、課題設定だったと思います。ゴールが曖昧になり、自分たちはどこに向かっているのだろうと迷子になってしまうのは、課題が自分たちの中にうまく落ちていかなかったからです。大学における学びは探究の連続です。今回プロジェクトから学び、次の探究にぜひ活かしていってほしいと思います。
取材:IR・広報室/監修:教育学部教授 市川 洋子

コンポストで作った肥料でオクラを栽培し、成長の差を比較したチーム。紙人形を使った劇で発表するなど工夫が凝らされていた。

学生たちは課題を相互評価する。教育現場でも行われる評価方法のため、実践的に学んでおく必要がある。


