- 「College EnglishⅠ」は身近な話題を通じて、英語で伝え合う力を育てている
- 間違いを恐れず発話できる環境が、学生の主体的な学びにつながっている
- 友達との会話のような対話を通じて、英語に苦手意識を持つ学生の学ぶ意欲を引き出している
国際学部の向後教授が担当する「College EnglishⅠ(Sクラス)」は、国際学部と教育学部の1年生が受講する英語科目です。授業中は教員も学生も英語を話し、日本語を使うことはありません。学生たちは入学からまだ3か月弱。それでも教室には、英語で会話を楽しむ学生たちの笑顔が広がっています。
「College EnglishⅠ」では、「正しい英語」を身につけるのが主目的ではなく、相手に伝え、相手を知るためのコミュニケーションの手段として英語を学びます。学生たちは「友達とのおしゃべり」を通じて、英語で伝える楽しさと、自ら学ぶ姿勢を少しずつ身につけていきます。
この日の授業には、先進的な英語教育を展開している茨城県立竹園高等学校の英語教員6名が見学に訪れました。見学者がいる中でも、学生たちは普段通り、英語で伝え合う活動を楽しんでいました。
20秒でわかるこの記事のポイント
声を出し、相手に届けることから授業が始まる
授業の冒頭、学生たちはペアになり、一斉に英語で話し始めました。最初のテーマは「夏休みの計画」です。「沖縄に行ってマンゴーを食べたい」「アルバイトを頑張りたい」「千葉から大阪まで自転車で行きたい」。学生たちは次々にペアを替えながら、自分の予定ややりたいことを英語で伝えていきます。
向後教授は、ペア同士、少し離れて立つよう促します。近い距離で小さな声で話すのではなく、相手に届く声で自分の情報をしっかりと伝えるためです。あえて距離をつくることで、自然と声を出し、相手に理解してもらおうとする姿勢が生まれます。
この活動で大切にしているのは、あらかじめ用意してきた英文を読むことではありません。自分の中にある情報を、つたなくてもよいので、知っている表現を使って伝えることです。
向後教授は「相手がまだ知らない情報を伝え合うこと」を重視しています。教科書に書かれている内容を話すのでは、学生にとっては楽しい会話になりません。夏休みの計画や日常生活のルーティーンのように、学生一人ひとりで答えが異なるテーマだからこそ、相手は「なぜそうしたいのか」「どのくらい続けているのか」と聞きたくなります。
友達と普段の会話を楽しむように、「相手のことを知りたい」「自分のことを伝えたい」という気持ちが生まれることで、英語学習のモチベーションが自然に高まっていくのです。
リスニング教材を通して身近な話題の議論をつくる
授業の中盤では、イギリス・ポーツマス大学の学生生活を紹介する映像教材を視聴しました。映像には、家族と離れて暮らし、自炊や掃除をしながら大学生活を送る学生の姿が映し出されます。
視聴後、学生たちは「大学生にとって、一人暮らしと家族との同居のどちらがよいか」をテーマに、グループで意見を交わしました。学生自身の生活にも関わるテーマだからこそ、英語であっても自分の考えを伝えやすくなります。
「一人暮らしは大変だが、自分で問題を解決する力がつく」という意見がある一方で、「家族と暮らしていれば勉強に集中しやすい」「家族と一緒だと、近くに話し相手がいるので寂しくない」といった声もありました。
この活動では、単に自分の意見を述べるだけでなく、グループで複数の考えを出し合い、最後に結論をまとめることにも取り組みました。学生たちは英語を使いながら、他者の考えを聞き、意見を整理していく過程を学んでいます。
高校英語教員との意見交換
授業後には、見学に訪れていた竹園高校の英語教員との意見交換の時間が設けられました。高校現場で英語教育に携わる教員からは、「なぜ入学間もない学生たちがここまで積極的に話せるのか」「英語の間違いへの対応をどのようにしているのか」といった質問が寄せられました。
これに対し向後教授は、「まずは発話すること自体を肯定することが重要」と説明します。細かな誤りをその場で指摘するよりも、伝えようとした内容を受け止めることで、学生が安心して話せる環境をつくっているといいます。
また、「英語を使う目的を明確にすること」も強調されました。単に正しい文を作るのではなく、「相手に伝えたい情報があるから話す」という状況をつくることで、学生の発話が自然に引き出されるといいます。

茨城県立竹園高等学校の英語科教員から質問を受ける国際学部の向後教授
間違いを恐れず、次の発話につなげる
向後教授がこの授業で大切にしているのは、学生が安心して英語を話せる雰囲気づくりです。発言が否定されるのではなく、まず「伝えようとしたこと」が受け止められる環境を意識しています。
「英語に苦手意識を持って入学する学生もいます。高校までの学習の中で、『間違えてはいけない』『自分は英語が得意ではない』と感じてきた学生にとって、英語で発話することは簡単ではありません。だからこそ、授業では細かなミスをすぐに直すのではなく、学生が何を伝えようとしているのかを受け止めることを大切にしています。」と向後教授。
こうした授業づくりには、英語への苦手意識を持つ学生が、もう一度学びに向かうきっかけをつくりたいという向後教授の思いが込められています。

授業中の冗談も英語で!




