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紙飛行機大会で学ぶ、遊びを学びに変える教師の視点

教育学部 准教授 久保田 美和

2026/05/07

教育学部の授業「こどもと遊び」は、子どもにとっての遊びの意味や、遊びを通して育まれる力について考える授業です。担当するのは、図画工作科教育を専門とする久保田 美和准教授です。子どもにとって遊ぶことは、心身の発達、社会性、学びの基礎を育む上で、食事や睡眠と同じくらい重要なものです。鬼ごっこ、しりとり、工作、絵本、地域での活動など、さまざまな遊びの中で、子どもは自分で選び、試し、考えながら成長していきます。

20秒でわかるこの記事のポイント
  • 教育学部の授業「こどもと遊び」で、学生が紙飛行機大会を通して遊びの教育的意義を学んだ
  • 紙飛行機づくりでは、折り方や飛ばし方を工夫する試行錯誤を通して、子どもの探究心やものづくりへの関心を育てる視点を身につけた
  • 将来小学校教員を目指す学生が、子どもの意欲を引き出す授業の場づくりや、遊びを学びにつなげる教師の役割について考えた

1枚の紙から始まる試行錯誤

4/28(火)、今回の「遊び」は紙飛行機が題材です。1枚のプリント用紙から紙飛行機を作り、誰が一番遠くまで飛ばせたかを競います。学生たちはどのようにすればより遠くまで飛ばせるかを考えながら工夫しました。紙飛行機は、折り方や飛ばし方、丁寧に折ることによって飛び方が変わります。学生たちは、試しながら作り、結果を見て、さらに工夫する過程を体験しました。

久保田准教授は、紙飛行機づくりについて「1枚の紙から創造し、工夫して飛ばすプロセスは、探究心を刺激し、深い学びを提供する」と話します。前回の授業では、折り鶴を体験し、「折り方を教える・教えてもらう」ことに重点を置いていましたが、紙飛行機は、学生それぞれの工夫が表れやすい題材です。折り紙のさまざまな取り組み方に気づいてほしいという狙いから、紙飛行機大会が取り入れられました。

子どもが自分で遊び方を見つけるための場づくり

紙飛行機を遠くまで飛ばそうとすると、子どもは「もっと遠くへ飛ばしたい」「長く空中にとどまらせたい」という思いや願いをもちます。その願いを実現するために、折り方や飛ばし方を変えたり、丁寧に折ることの大切さに気づいたりします。久保田准教授は、遊びを通して、ものづくりへの興味や科学的なものの見方の芽生えが生まれると考えています。

 

この授業で大切にされたのは、紙飛行機を作ることだけではありません。久保田准教授は、子どもには遊び方を自分自身で見つける力があると考えています。授業では、子どもが遊びから学びを広げていくために、教師はどのような準備や環境づくりをすればよいのかを学生に問いかけました。

 

たとえば、何を準備するのか、机をどのように配置するのか、子どもたちの意欲をどのように引き出すのかによって、同じ紙飛行機を作る活動でも、子どもの学び方は変わります。教師がすべてを教えるのではなく、子どもが自分で試し、友人の工夫を見て、さらに挑戦したくなる環境をつくることが重要です。

楽しいだけで終わらせない、教師のまなざし

思わず童心に帰る楽しい紙飛行機大会でしたが、この活動は、小学校教員を目指す学生にとって、遊びをどのように学びへつなげるかを考える機会になります。紙飛行機づくりを「ものづくりの面白さ」に着目した活動として展開することもできます。また、揚力発生の原理や飛行の安定性に関心を広げれば、理科の学びにつなげることもできます。

 

久保田准教授は、「目標をもとに、どのように活動を組み立てるかは、教師次第」と話します。子どもたちに何を学んでほしいのかによって、同じ紙飛行機の活動でも授業の意味は変わります。大切なのは、学級の実態をよく見て、安全に配慮しながら、子どもたちのやる気を引き出す工夫や場づくりを考えることです。

 

今回の紙飛行機大会を通して、学生たちは、遊びが単なる楽しさだけで終わるものではないことを学びました。遊びには、試行錯誤する力、ものづくりに向かう力、自分で考えて挑戦する力を育てます。将来、教壇に立つ学生たちは、子どもたちが夢中になって遊ぶ姿の中に、どのような学びが生まれているのかを読み取り、学びに導く場づくりをする力が求められます。

「こどもと遊び」の授業は、学生自身が遊びを体験しながら、子どもの成長を支える教師の役割について考える学びの場となっています。

学生の感想①

紙飛行機を作ってみて、1つ1つの手順をていねいに折っていくことで、子どもの集中力が上がるとともに、どう折ったら飛ぶのか、どこに重心を置いたらより長く飛ぶのかなど、想像力と思考力が身につくと感じた。

 

教師の場作りでは、1人3枚までという制限の中で作らせることで、全員平等に取り組むことができ、3枚の中でどう作るか、思考錯誤して作らなければいけない環境で、1人1人の集中が高まるという効果があると思った。

 

また、席や机の移動も自由という授業だったため、学生同士がコミュニケーションを取りながら楽しく取り組めていた。友人の作品を参考にしている学生もいて、よく飛ぶ紙飛行機を折った学生の周りの学生も飛距離を伸ばせるような傾向にあると思った。

学生の感想②

大事なのは、ねらいの設定。実際に遊ぶと「楽しいだけ」で終わりがちだが、遠くに飛ばす工夫を考える、「なぜ飛び方が変わるのか説明することができる」といった目標・目的を明確にすることで、思考する学びに変わると思う。

 

次に、問いかけの工夫。「どうしてこの飛行機は遠くに長く飛んだの?」の発問により、子どもの気づきを言語化して、学びを引き出す必要があると感じた。

 

最後に、振り返りの質を高めることが期待される。紙飛行機の個の違いを競い合うことで、何が飛距離を伸ばす要因なのかを理解させて、気づきと思考する学びの質を深めることができる。

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