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ZIPAIR Tokyo社長が語る「逆境を突破する力」|「千葉県の産業と行政」授業レポート

情報マネジメント学部 渡邉 徹 准教授

2025/12/24

「千葉県の産業と行政」では、地域社会や産業の現場で活躍する企業・行政の担当者を招き、実践的な学びを深めています。12月18日の授業では、株式会社ZIPAIR Tokyo 代表取締役社長・西田真吾氏を迎え、「ZIPAIR ~コロナ禍の中での船出~(お客様2名で始まった航空会社)」をテーマに講義が行われました。

逆境からのスタート。乗客2人でも止まらなかった理由

講義の前半では、ZIPAIR Tokyoが誕生してから現在に至るまでのあゆみが紹介されました。

 

ZIPAIR Tokyoは、JALグループのLCC(Low Cost Carrier、低費用航空会社)として2018年7月に設立され、2020年5月の運航開始を予定していました。しかし、新型コロナウイルスの世界的流行により、計画の見直しを迫られます。「今できることは何か」「今しかできないことは何か」を考え抜いた結果、同社が選択したのは、旅客ではなく貨物の輸送でした。こうして、2020年6月に貨物専用便として運航を開始。ZIPAIR Tokyoは、いわば“Low Cost Cargo Carrier”として第一歩を踏み出しました。

 

同年10月には、待望の旅客便が就航しますが、最初の便の乗客はわずか2名。厳しいスタートとなりました。それでも、①貨物輸送需要が見込まれること、②旅客輸送では生活需要(家族や親族の訪問など)と観光需要が見込まれること、という独自の視点から路線開拓を進め、現在では成田と北米・アジア12都市を結ぶ航空会社へと成長しています。

 

苦境を嘆くのではなく、社員一人ひとりが知恵を絞るとともに、行動することにより、コロナ禍をくぐり抜けてきたという西田社長の経験は、学生の心に深く響いたようです。

株式会社ZIPAIR Tokyoの西田真吾代表取締役社長

アジア初。ZIPAIR Tokyoの次なる挑戦

後半には、ZIPAIR Tokyoの今後の取り組みについて紹介がありました。

 

2026年2月には東京~オーランド線の就航を予定しているほか、同年4月には、スペースX社が提供する衛星通信サービス「Starlink」への接続を計画しています。これにより、機内でのインターネット通信が大幅に高速化され、リアルタイムでのビデオ会議やストリーミング、オンラインゲームなどをストレスなく楽しむことができるようになります。Starlinkに接続する航空会社は、ZIPAIR Tokyoがアジア初となります。

「夢のある仕事」― 未来を考える学生へ

講義の最後には質疑応答が行われ、学生からは「円安で日本人が海外旅行に行きづらい中、どのような利用促進策に取り組んでいるのか?」「航空輸送需要が拡大している中東に乗り入れる予定はあるのか?」といった質問が積極的に寄せられました。

 

また、西田社長からは「航空業界は世界情勢や感染症拡大の影響を受けることもあるが、夢のある職業だと思うので、進路検討の際にはぜひ思い出していただきたい」とのメッセージが送られました。

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