教育学部1年「文章表現」では、担当教員の坂東 実子講師が一風変わった方法で敬語を教えています。学生たちは敬語を座学で学んだ後、知識と敬語の活用を定着させるために、敬語をテーマにした演劇を行います。脚本の条件は、「A4で1枚程度」、「敬語を間違えて使った場面と、それを修正する場面を入れること」、「観客を笑わせること」です。単に正しい敬語の使い方を覚えるだけでは、真に敬語を理解したとは言えません。脚本づくりをグループ内で協同して「ネタ」を作り上げることで、自発的に敬語の使い方が身につき、なぜその場面での言葉づかいが正しくないのかを理解し説明できるようになります。「敬語劇」は2009年から行われており、今年で17年目となります。
今年は、日本漢字能力検定協会の百々岳夫氏、日本語検定協会の砂田大輔氏、授業内で使用している教科書(坂東実子『大学生のための文章表現 練習帳』国書刊行会刊)を編集した佐藤純子氏が見学に来校しました。
各発表の様子
1限目文章表現C(澤居三重子講師) での様子
1班は「日本語ゼミ」というタイトルでした。留学生の疑問にゼミ仲間が答えるという設定です。普段何気なく使っているバイト敬語を適切な表現に直しました。2班の「結婚式」では、新郎の友人がおかしな敬語でスピーチをすると、敬語の妖精が召喚されます。妖精が「『ご結婚させられて』だと、無理やり結婚させられたみたいだよ」と指摘すると、客席からも笑い声があがりました。この劇では、結婚式で避けた方がいい言葉(忌み言葉)についても説明がありました。3班の劇は「契約成立」です。間違った敬語を使って取引先の信用を失った社員たちが、時を戻す妖精にチャンスを貰い、今度は完璧な敬語を使って無事に契約を成立させます。観覧に来てくださったゲストからは「会社という設定が現実的だった」という言葉を頂戴しました。4班は「クイズ番組」です。敬語クイズに全問正解すると宝を獲得できるという番組ですが、残念ながら全員失格になってしまいました。スクリーンと効果音を上手に取り入れており、本番に至るまでにグループ内で話し合いを重ねたことが窺える劇でした。

1班「日本語ゼミ」

2班「結婚式」

3班「契約成立」

4班「クイズ番組」
2限目文章表現D(坂東実子講師)での様子
1班は「三匹のこぶた」です。長男33歳、次男30歳、三男25歳のニートの息子たちに、母ブタが、物価高で家計が苦しくなったので働きに出るよう告げ、彼らは就職面接に臨みます。衝撃のラストシーンに悲鳴があがりました。2班は「居酒屋合コン」。店員さんへの言葉使いが悪い男子はモテないと聞いて、はりきって過剰な敬語を使いまくるIくん。みんなに敬語のアドバイスを受けます。3班は「敬語のできないシンデレラ」。魔法でその日だけ敬語が話せるようになったシンデレラでしたが、舞踏会が終わり、王子が自分を探していると知ると、本気で敬語を身につけます。何よりも相手をリスペクトする気持ちが大事ということを伝えていました。4班は「ゲイカマン(おかまバー)」。二人の女の子がはじめて「おかまバー」に行き、№1のアゲハちゃんの接客を受けますが、敬語がひどすぎて「チェンジ」を要求します。かわりに登場したのが美しい敬語を話すギャラクシーちゃん。その素晴らしい接客を見たアゲハちゃんもがんばって敬語を学びます。どの班もメンバーたちが協力し合って集中して取り組んでいました。

1班「三匹のこぶた」

2班「居酒屋合コン」

3班「敬語のできないシンデレラ」

4班「ゲイカマン(おかまバー)」
