教育学部では、「4年次専門研究」(ゼミ)に加えて、希望者は、「卒業研究」で卒業論文に取り組むことができ、所属ゼミの教員による指導の下で興味関心を持つテーマを研究することができます。
卒業論文では、研究の成果を学術的フォーマット(論文)にして報告します。論文の構成や論理の妥当性、発見の新規性などが問われるハイレベルな探究活動です。10月の中間発表会で出された教員や学生からの意見を参考に、研究の質を高め最終の発表会に臨みました。

2025年2月6日、大学での4年間の学びの集大成となる教育学部4年生による卒業研究発表会が行われました。教育学部の「卒業研究」や発表の概要を紹介します。
教育学部では、「4年次専門研究」(ゼミ)に加えて、希望者は、「卒業研究」で卒業論文に取り組むことができ、所属ゼミの教員による指導の下で興味関心を持つテーマを研究することができます。
卒業論文では、研究の成果を学術的フォーマット(論文)にして報告します。論文の構成や論理の妥当性、発見の新規性などが問われるハイレベルな探究活動です。10月の中間発表会で出された教員や学生からの意見を参考に、研究の質を高め最終の発表会に臨みました。
卒業研究発表会は、学生が3つの会場に分かれ、約5時間にわたって行われました。教育学部らしい暖かい雰囲気の中にも真剣な表情が見られ、学生たちは研究の成果を精一杯発表しました。
研究テーマには、学級運営や授業実践、教材開発などの教育に関わるものが多くあり、学校現場での課題解決が意識されていました。学生たちが4年間を通じて培ってきた教育に対する問題意識の現れです。児童との関わり方、地域性を活かした教育、AIやICT技術の活用など、これまでに学んできた専門性が十分に活かされたものでした。研究テーマの例を紹介します。
「小学校社会科における地域素材を用いた教材開発研究」
「外国語の授業方法の一考察-単一的な授業方法から脱却のススメ-」
「デジタルデバイスと教育の関係性、有効活用について」
「他者からの愛され方に着目した自己肯定感を高める方法-サンリオキャラクターの分析を通して」
「「やさしい日本語」の普及と防災教育の実践と課題」
「外国にルーツをもつ児童と特別な支援の在り方」
「環境教育の可能性と課題-環境教育におけるSTEAM教材の推奨-」
「小学校国語科における民話を扱った教材の開発研究」
「初等社会科教育におけるゲームの開発-歴史年代すごろく作成の試み-」
「学校における子どもの体力向上を目指す取り組み」
「そろばん教育の現代的意義とICT教育の融合による学びの変化」
「算数科における防災意識を育てる防災教育-自然災害を自分事として捉える-」
初めて取り組む研究に戸惑いや不安のあった学生たちでしたが、試行錯誤を重ねてそれぞれの成果をまとめました。2名の学生の研究発表を紹介します。
「学校での血液型による性格の偏見」 S. A.さん
皆さんは、「〇型だから大雑把」、「△型だから変わり者」のように、血液型で相手の性格を判断したことはないでしょうか。血液型と性格の関連性は実証されていないと言われる中、血液型による性格占いや性格診断などからの情報がインプリンティング(すり込み)され、ステレオタイプな評価が形成されるというメカニズムを説明しました。こうした偏見が、ブラッドタイプ・ハラスメントと呼ばれる嫌がらせやいじめに繋がる可能性があると指摘しました。そこで、すり込みによる偏見を学び、子どもたち自身が原因と改善を考える道徳の授業を提案しました。性別や出身地などに対するステレオタイプな評価や偏見といった問題にも適用の可能性があり、汎用性の高いテーマと考えられます。
「ICTを活用した不登校支援の考察」 I. S.さん
近年増加する不登校児童への支援として、ICTとAI を活用した方法を研究しました。不登校支援は児童の自立を目標とすることが重要であると考え、対面支援とオンライン・クラスルームを併用した、「ハイブリッド型支援」を提案しました。「AI を活用した個別指導プログラム」では、学習記録を基にAI が児童の苦手を分析し、適切な指導を提供する可能性を検討しました。不登校の増加の背景や学習の遅れ、社会的孤立といった側面にも慎重な調査を行い、ICTやAIの利点と問題点を客観的に整理した研究でした。ICTの活用には教育現場のリテラシー向上、AIには学習量や倫理性の問題も残されていますが、これからの支援の在り方を問う意欲的な研究でした。
「卒業研究」を通じて、学生たちは資質能力を大きく向上させました。
まず、実践的な課題解決能力が培われました。社会の具体的な課題に取り組むことで、理論と実践を結びつける力が磨かれ、専門知識が格段に増したことでしょう。現代の社会や教育の課題に即したテーマに取り組むことで、社会人となる自覚と責任感も強まったのではないでしょうか。
最も重要な成果は、研究を通じて得た探究の力です。問いの設定、調査、分析、考察といったプロセスによって、社会の様々な課題に対して科学的アプローチで取り組む基礎を身につけました。
また、自分の考えたことをどうやって効果的に人に伝えるかという表現力にも磨きがかかりました。論文として文章で伝える、短い時間の中でのプレゼンテーションとして伝える、どちらも簡単ではありませんが、自分自身の成長につながる貴重な体験になりました。
春から教壇に立つ学生も企業に就職する学生も、4年間で学んだことを活かして、それぞれの課題に挑戦ほしいと願っています。卒業生の皆さんの益々の活躍を期待しています。