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教育学部「日本の音楽体験」-箏(そう)を演奏しよう-

教育学部こども教育学科

2025/01/27

教育学部の「音楽」(根本愛子非常勤講師)の授業では、小学校学習指導要領の目標や実際に行われている授業内容の理解につながるような音楽の基礎を学びます。2024年1月24日の授業では、「日本の音楽体験」として箏(そう)の演奏に挑戦しました。箏は、奈良時代に中国の唐から伝えられた日本の伝統和楽器の1つです。13本の弦があり柱(じ)とよばれる可動式の駒を使って音程を調整します。普段、私たちがイメージする琴は、実際には箏とよばれる弦楽器です。

小学校の「音楽」

小学校学習指導要領(音楽)では、目標の1つに「音楽活動の楽しさを体験することを通して,音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育むとともに,音楽に親しむ態度を養い,豊かな情操を培う」ことが挙げられています。こうした背景を踏まえ、教育学部では実践的に音楽表現を楽しみながら、学生一人ひとりが音楽の学習に対する問題意識を育むことを大切にしています。学習指導要領では、「我が国の伝統文化」の学びが重視され、その中に「和楽器を含む我が国や郷土の音楽」の学習の充実も位置づけられています。本学部では体験を通して和楽器を学び、これに親しむ機会を設けています。

箏を学ぶ

多くの学生が、箏に触れるのは初めてです。当日は、皆川みゆき先生と三谷夏香先生、お二人のプロの演奏家を講師として招き、指導をしていただきました。使用する楽器は、島村楽器株式会社の協力により、五味和楽器店と連携して、提供、設置していただきました。箏の歴史について学んだ後、楽器の構造や素材、弦の数、調弦法などの説明を受け、基本を理解しました。続いて、縦譜とよばれる楽譜の読み方や演奏時の姿勢、爪の装着の仕方、演奏時の指の使い方などを学びました。はじめて箏に触れて爪の使い方に戸惑っている学生もいましたが、徐々にコツを掴み音が出せるようになりました。

箏を演奏する

基礎的な理解ができたら、2人1組で「さくらさくら」の演奏に挑戦です。縦譜を読みながら、弦をうまく爪ではじいて音を出します。演奏の途中で、どの弦を弾けばよいのか、縦譜のどこを演奏しているのかが分からなくなった学生には、隣の学生が「この弦だよ」、「ここを弾いているよ」と声を掛けていました。また、教室全体で「さくらさくら」の演奏を1つの音楽につくり上げるために、学生がお互いの演奏を聴き、タイミングを合わせるよう注意を払いました。演奏を通して、グループ内でのコミュニケーションが活発になり、「ここでもう少しゆっくり」、「この部分はもっと強く」など、曲の表現についても意見が交わされていました。

プロの演奏を聴く

演奏体験の後は、皆川先生と三谷先生の演奏で、宮城道雄が作曲した「水の変態」を鑑賞しました。宮城道雄は、1894年に生まれた日本の作曲家・箏曲家で、400曲以上を作曲した箏の名手です。「水の変態」は、宮城が14歳ではじめて作曲した作品で、邦楽の名曲として広く親しまれています。

 

皆川先生と三谷先生の演奏が始まると、教室内に箏の繊細な音色が響き渡りました。学生たちは、自分たちが演奏の難しさを体験したからこそ、プロの演奏の素晴らしさや、様々な奏法によって表現される音色の豊かさをより強く実感できました。演奏が終わると、教室内に深い感動の空気が流れました。日本の伝統音楽の奥深さと美しさを改めて感じ、私たちが受け継ぐ文化の大切さを認識できたようです。

授業を終えて

今回の「音楽」の授業では、箏の演奏体験と鑑賞を通して、伝統的な和楽器とその表現について学び、多くの気づきを得ました。箏の歴史や楽器への知識、協働で音楽をつくり上げる難しさと喜び、プロの演奏の素晴らしさ、伝統的な音楽文化の大切さなどです。将来、学生たちが教壇に立ち、この経験を活かして音楽の楽しさや奥深さを伝え、生徒の豊かな感性と創造性を育む授業を実践することが期待されます。

講師へのお礼と授業の感想
  • 【クラスを代表して】本日は、授業をしてくださりありがとうございました。箏は、私たちにあまり馴染みのない楽器ですが、今回の授業で和の心を感じることができました。桐の木は軽くて柔らかく、澄んだ響きを生み出します。繊細でやさしい音色がとても心に残りました。聴く人の心を穏やかにする楽器だと思いました。
  • 【楽器としての基礎知識】箏は小学校、中学校で触れてきたのですが、演奏のみで伝来や歴史に関した話を初めて聞くことができました。歴史だけでなく各部位の名前や演奏方法まで知ることができ、今まで以上に興味が湧きました。こんな貴重な体験ができてよかったです。
  • 【奏法】小学生以来の箏でとても楽しかった。弦に番号がなくて演奏が難しかったけれど、日本の音という感じがしてとても好きだった。友人が箏をやっていて、大変といっていた理由がすごくわかった。
  • 【演奏体験】みんなで合わせて演奏するのがすごく楽しく、演奏がそろったときの一体感が良かった。
  • 【講師の演奏】皆で合わせて演奏することも大切と教えていただいたが、先生方の演奏「水の変態」でそれらがいかに大切かを学んだ。両手を使って自由に弦を操る演奏はさまざまな音をつくりだすことができ、作曲者の気持ちなどもよく表現できるものだと実感した。
  • 【全体の感想】教え方がすごくうまく、自分で一曲弾けるようになって感動しました。説明も端的にわかりやすかったです。何より箏を楽しんで演奏できました。先生方の演奏も非常にすてきで、聴いていて眠くなるくらい心地よかったです
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