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【教員著書紹介】『マンガで考える“みんなのキモチ” これって、いじめ?』

教育学部 准教授 阿部 学

2025/01/24

教育学部の阿部准教授が制作に関わった学校向け図書『マンガで考える“みんなのキモチ” これって、いじめ?』(監修:藤川大祐、指導:阿部学)が1月17日に刊行されました。本書では、小中学生が学校生活で直面しがちな「いじめに近いツラい出来事」を題材に、実際の事例をもとにした物語が展開されます。作中では、「もし自分が主人公だったらどうするか」という視点から複数の意見が示され、読者に考えるきっかけを与えます。いろいろな登場人物の気持ちを想像しながら、自分にできることについて深く考えられるよう工夫されたマンガです。

教育学部の阿部准教授にききました

いじめが深刻化する背景の一つには、人間関係の中でのノリや空気の影響があると言われています。こうしたものは、ものの捉え方を知らず知らずのうちに変えてしまうところがやっかいです。典型的な例としては、最初は楽しくいじり合っていた関係性が、いつのまにか特定の誰かを攻撃的にいじるということに変容するといったことがあげられます。こうなると、いじっている側は楽しい気分のままでいるので、自分たちの行為が問題だと気づけなくなってしまいます。また、一度できあがったノリの中では、いじられている側が「いやだ」と声をあげたり、そばにいる人が勇気をもって何かを言ったりするのも難しいかもしれません。

 

本書では、実際に起こったことをもとにしながら、子どもたちが「これって、いじめ?」と疑問に思うような場面をマンガに描いています。また、一人だけではなく、その場面にいる色々な人たちの思いを描いています。子どもたちには、本書を読んで、気づかないうちに苦しんだり悲しんだりしている人がいないか、こういった場面で自分ならどう行動するかなど、たくさんのことを考えてほしいと思っています。先生方には、本書を教材として、いじめが起きにくいクラス・学校をつくるにはどうすればよいか、話し合いの時間をとってもらえたらと思っています。巻末では「授業を行う先生へ」と題して、授業で使う際の留意点について執筆しています。

教員を目指す学生へ

学生にも、本書を読んでたくさんのことを学んでほしいと思っています。第一には、本書の事例をとおして、子どもたちの人間関係の難しさを理解してほしいです。「いじめの芽」の段階での対応のあり方についても考えてほしいと思っています。また、本書で描いているテーマは、あおり、嘘の告白、学校内でのタブレット使用のトラブル、多様なルーツなど、今の子どもたちや学校の状況をふまえたものになっています。教材のリアリティということについても、本書をとおして学べると思います。

 

教育学部 准教授 阿部 学

阿部准教授が特に深く関わった話を特別公開

特別に許可をいただき公開しています(転載不可)

【小峰書店サイト】マンガで考える“みんなのキモチ” これって、いじめ?(試し読みあり)