敬語を楽しく学ぶ「文章表現」
教育学部の主に1年生が受講する「文章表現」では、担当教員の坂東 実子講師※が一風変わった方法で敬語を教えています。学生たちは敬語を座学で学んだ後、知識と敬語の活用を定着させるために、敬語をテーマにした演劇を行います。脚本の条件は、「敬語を間違えて使った場面と、それを修正する場面を入れること」、「観客を笑わせること」の2つです。単に正しい敬語の使い方を覚えるだけでは、真に敬語を理解したとは言えません。脚本づくりをグループ内で協同して「ネタ」を作り上げることで、自発的に敬語の使い方が身につき、なぜその場面での言葉づかいが正しくないのかを理解し説明できるようになります。「敬語劇」は2009年から行われており、今年で16年目。外部からも視察が来る名物授業です。
※2つのクラスに分かれて敬語劇を行い、もう1つのクラスは澤居三重子講師が担当します。
敬語劇の発表会
11月18日(月)、敬語劇の発表会を開催し、5つのグループが練り上げた演劇を披露しました。今年は時事問題を題材に扱うグループが多くありました。どのグループもところどころにネタを仕込んでおり、会場からはたびたび笑い声が上がっていました。
グループの1つ、「丁寧な敬語を使わないと値段が高くなるコンビニ」では、シュールな設定で敬語の重要性を表現しました。劇の舞台は、客が正しく敬語を使わないと「ペナルティ」が課され、1ペナルティごとに商品の値段が1000円ずつ上がるコンビニです。劇中では、客が店員に次々と失礼な言葉遣いをしてしまい、そのたびにペナルティがどんどん加算され、思わず高額なお会計になってしまいます。客の抗議に「お客様は決して神様ではありません!」というセリフが飛び出した場面では会場に笑いが広がっていました。もう1人の客の手助けで正しい敬語を使うようになると、値段が徐々に戻り、商品を安く購入できるようになったというストーリーです。
この劇では、一般的に店員が敬語を使う立場であるという前提を逆手に取り、客側も敬語を使うことで円滑なやりとりが生まれることを表現しました。最近話題となっているカスタマーハラスメント問題を風刺し「サービスを提供する側も人間であり、相互に敬意を払うべき」というメッセージも込められていると感じました。
坂東講師の狙い
坂東講師は現在の学生たちが正しくない敬語を親世代から学んでしまっていることを危惧しています。学生たちの親世代は、いわゆる「バイト敬語」が定着してしまった世代です。将来、教員を目指す教育学部の学生が「バイト敬語」から脱却すること。そして教員になったときに、楽しく敬語やマナーを教えられる力を身につけてほしいと願っているそうです。また、寸劇を作るアクティブラーニングの手法は様々な科目の学びにも有効な手段で、学生たちが将来、教員になった時にも役立つスキルとなるでしょう。
学生の感想