- 首都圏でイスラム、トルコ、ネパールの文化を五感で体験した。
- 宗教や生活習慣を表面的に捉えず、背景にある歴史や配慮を考えた。
- 多様な価値観を尊重し、自ら現場に足を運んで「問い直す」姿勢を育む学外学習。
7月24日(金)、国際学部の庄司真理子教授が担当する1年ゼミは、東京ジャーミイとトルコ・ネパール料理店を巡るゼミ旅行に出かけました。今回の目的は、遠出をせず、首都圏にいながら異文化を五感で体験することです。入学して4か月弱の1年生に、教科書やインターネットで得られる知識だけでなく、実際に現地で見て、聞いて、食べて、触れて、その場でしか得られない驚きや発見を味わってほしいと考え、企画しました。
イスラム、トルコ、ネパールという異なる文化を巡りながら、宗教、歴史、建築、生活習慣、食文化を多角的に学びます。学生にとって、大学での学び方を広げるとともに、仲間と非日常の体験を共有する機会にもなりました。
20秒でわかるこの記事のポイント
東京ジャーミイでイスラム文化を学ぶ
最初に訪れたのは、代々木上原にある日本最大のモスク、東京ジャーミイです。現地では、イスラム文化に詳しいシモヤマさんが、自身の体験も交えながらイスラム世界について話してくれました。普段使っているアラビア数字の由来など、イスラム文化が現代の科学に与えた大きな影響についても学びました。
東京ジャーミイの1階には、イスラム文化を学ぶ集会所と、ハラル食材、イスラム文化圏のグッズを販売するハラルマーケットがあります。2階から上はモスクになっています。1階を見学した後、2階の礼拝堂でイスラム教の礼拝の様子を見学しました。礼拝堂に入る際には靴を脱ぎ、女性は入り口に置かれているスカーフを頭にかぶり、髪を隠します。女子学生は、女性のムスリムの方からスカーフの巻き方を教わり、実際に身につけました。

イスラム教徒の学者アル=フワーリズミーによるアラビア数字です。それぞれの数字は、その図形の中にある角の数に対応しています。
礼拝の方法や男女で分けられた場所、食事に関する決まりなどには、それぞれ歴史的・文化的な背景があります。学生たちは現地の規範に従って見学する中で、自分たちの当たり前とは異なる習慣を受け入れ、その理由を知ろうとすることの大切さに触れました。
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イスラム文化に詳しい東京ジャーミイのシモヤマ氏にお話を伺いました
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スカーフを巻いた女子学生たち
食文化から宗教と暮らしのつながりを知る
東京ジャーミイを見学した後は、新宿にあるトルコ料理店「チャンカヤ」を訪れ、ケバブ料理などのトルコ料理を楽しみました。
トルコとイスラムについて学んだ後は、ネパールへ出発です。次に訪れた「バルピパル」は、敬愛大学国際学部の卒業生、マハラジャン・ラジェシュさんが経営するネパール料理店です。ここでは、カトマンズ盆地の先住民族であるネワール族の文化について学びました。
ネパールでは仏教を信仰する人もいますが、ヒンドゥー教が主な宗教です。ヒンドゥー教では牛が神聖な動物とされているため牛肉を食べない一方、水牛は牛とは異なる動物として食べられていることを教わりました。食文化を実際に味わうことで、宗教が礼拝や建築だけでなく、日々の暮らしや食事とも深く結びついていることを改めて実感しました。

トルコレストラン「チャンカヤ」に行き、ケバブ料理を堪能しました。
体験によって変わった異文化の見方
見学中の様子や感想からは、学生が事前に抱いていたイメージや固定観念が、具体的な理解へと変わっていく様子が見られました。初めて聞く言葉や礼拝の動作に驚きや戸惑いを感じた学生も、建築の美しさや人々の説明、食文化に触れるうちに、異文化への関心を深めていきました。
礼拝場所が男女で分けられていることや、スカーフの着用、食事の制限などを、単に「自分たちとは違う決まり」として捉えるのではなく、「なぜそのような習慣があるのか」「そこにはどのような配慮や歴史があるのか」と考える姿勢も生まれました。インターネットや教科書で知っていた文化を実際に体験したことで、学生たちの関心は「知っている」から「もっと知りたい」へと変化しました。

バルピパルでは「おやつの時間」として、クルフィーというアイスキャンディーとマンゴーラッシーを食べました。
今後の学びと社会につなげてほしいこと
学生たちに今後も大切にしてほしいと考えているのは、表面的な情報や見た目の印象だけで物事を判断せず、その背景にある理由を探究する姿勢です。講義や教科書で理論や知識を学ぶ際にも、暗記で終わらせるのではなく、その背景にどのような歴史や文化があるのかを問い直すことで、学びはより深くなります。今回の経験をきっかけに、学外研修や実地調査などにも積極的に参加し、自ら現場へ足を運んで、見て、聞いて、考える行動力を育ててほしいと考えています。
また、自分とは異なる文化、宗教、価値観を持つ人々の規範を尊重し、柔軟に受け止める姿勢も重要です。学内で留学生やさまざまな背景を持つ学生と接する際には、先入観を持たず、相手の文化や立場を理解しようとすることが、より良いコミュニケーションや関係づくりにつながります。先輩や仲間との出会いを大切にし、相手を思いやりながら人との縁を育んでほしいと思います。
卒業後は、多様な文化的背景や価値観を持つ人々と共に働く機会もあります。そのような場面では、相手の行動やルールだけを見るのではなく、その背景にある文化や配慮を理解し、互いを尊重しながら共存・協働する力が求められます。未知の文化や未体験の領域に対しても、自ら一歩を踏み出し、柔軟に学び続けること。今回のゼミ旅行で得た気づきや姿勢を、今後の授業、学生生活、そして卒業後の社会生活へつなげてほしいと考えています。
文・撮影:国際学部 庄司真理子 教授/記事制作:敬愛人編集部
学生の感想
KKさん
静かな街中に突然現れた独特なデザインの建物や、大勢の外国人の姿に驚きました。建物の美しさを保つため、室外機を隠す工夫にも関心を持ちました。
礼拝の大きな動きや男女別のルールなど、初めて見る光景に刺激を受け、ケバブなどの食体験も含めて非日常を楽しむことができました。インターネットで見るだけでなく、実際に現地を訪れ、まだ知らない世界や文化をもっと学び、体験してみたいと感じました。
AHさん
スカーフを着用して見学したことで、異文化の規範を尊重する姿勢を学びました。また、建築に施された細やかな幾何学模様や歴史の深さに感銘を受けました。
礼拝における男女別の配置は、単なる区別ではなく、「女性が安心して祈るための配慮」であると知りました。見学や食事を通して、表面的なイメージだけで判断せず、その背景にある歴史や理由を探ることの大切さを実感しました。
SYさん
オスマン帝国が異教徒も登用する寛容な体制を築いていたことや、カメラやコーヒーといった身近な言葉の語源がアラビア語にあることに驚きました。
トルコ料理店での温かい接客や仲間との会話、ネパール料理店での親しみやすいスイーツなどを通して、異文化の食を満喫しました。大学の講義だけでは得られない実践的な体験ができ、東京にいながら視野を広げられたことが楽しかったです。
CSさん
長い年月をかけて守り続けられてきたイスラムの歴史や建築の重みに触れ、時を超えて文化が受け継がれていることに深い感銘を受けました。
ネパール料理店では、先生と卒業生のラジェシュさんが久しぶりに再会する姿を見て、人のつながりや縁の大切さを実感しました。今回の見学を通して「時間」が持つ意味について深く考え、人とのつながりや文化を大切にしながら毎日を過ごしたいと感じました。
LJさん
偶像崇拝が禁じられているため、人物ではなく幾何学模様が描かれていることや、トルコから運ばれた素材を使い、オスマン様式で造られたモスクの構造に興味を持ちました。
ハラールフードを初めて食べ、日本とは異なり、宗教が日々の食事と深く関わっていることに新鮮な驚きを感じました。歴史を学ぶ視点からイスラームやトルコへの興味がさらに深まり、今後もこのような学外での活動に積極的に参加したいと思いました。


