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2026年7月30日に敬愛大学で開かれた図工ワークショップ「巨大生命体を描こう」で、大きな紙に絵の具で巨大生命体を描く小学生と、制作を支える教育学部久保田美和准教授の3年ゼミ生2名。壁には講座で完成した大判作品が飾られている。

教育学部の学生が小学生図画工作講座で実践
子どもに合わせた支援のあり方を学ぶ

教育学部 久保田 美和 准教授 

2026/08/17

7月30日(木)、敬愛大学で、小学3~6年生を対象とした図工ワークショップ「巨大生命体を描こう」が開かれました。子どもたちは大きな紙を広げ、魚や動物、まだ見たことのない生き物を自由に想像しながら、絵の具やクレヨンで表現しました。制作を支えたのは、教育学部の久保田 美和 准教授の3年ゼミに所属する学生たちです。実際の子どもと向き合ったからこそ見えてきた、図工指導の難しさを紹介します。

20秒でわかるこの記事のポイント

  • 久保田ゼミの学生が、小学生向け図工ワークショップで巨大絵の製作を支援した
  • 子どもの性格や製作の進め方によって、必要な支援が異なることを学んだ
  • 一人ひとりに合った支援には、対話と観察が欠かせないことを実感した

教材研究で考えたことを、実際の指導へ

久保田ゼミでは、今回のワークショップに先立ち、学生自身が子どもたちと同じ「巨大生命体」の製作を体験しました。どのような紙や画材が使いやすいのか。大きな画面を前にした子どもは、どこで戸惑うのか。学生たちは自ら巨大な絵を描きながら、図画工作講座に向けた教材研究を進めてきました。7月30日(木)は、その教材研究を実際の子どもたちへの指導につなげる日となりました。

  • 小学生向け図画工作講座に先立つ教材研究で、壁に貼った蛸の巨大生命体の大判作品を示し、制作で気づいたことを発表する敬愛大学教育学部久保田ゼミの学生。
  • 小学生向け図画工作講座の教材研究で、クジラとキリン、赤いハート形キャラクター、円形の生き物を描いた巨大作品の前に立ち、制作の工夫を発表する敬愛大学教育学部久保田ゼミの学生3名。

まずは「何を描きたいのか」を知る

ワークショップが始まると、学生たちは子ども一人ひとりに寄り添い、どのような巨大生命体を描きたいのかを尋ねました。

 

ある子どもが描こうとしていたのは、現在のイカとは異なり、殻を持つ太古のイカのような巨大生命体です。担当した学生は、「どのような生き物なのか」「今のイカとは何が違うのか」と質問を重ね、子どもの頭の中にあるイメージを理解しようとしました。

 

一方で、初めから自分の考えを積極的に話す子どもばかりではありません。恥ずかしがってなかなか話せない子や、製作に集中し、黙々と作業を続ける子もいました。学生たちは、無理に会話を引き出そうとはせず、子どもの様子を見ながら、少しずつ距離を縮めていきました。

  • 図工ワークショップで、大きな紙に赤・青・緑の長い触手を持つ巨大生命体を描く小学生と、隣で画材を準備しながら制作を見守る敬愛大学教育学部久保田ゼミの学生。
  • 図工ワークショップで、大きな紙を前に小学生と目線を合わせ、描きたい巨大生命体のイメージを指さしながら確認する敬愛大学教育学部久保田ゼミの学生。周囲でも学生が小学生一人ひとりの制作を支援している。

子どもによって必要な支援は異なる

製作が進むにつれて、学生たちが特に難しさを感じたのは、子どもにとって必要な支援の仕方でした。

 

学生たちが接した子どもたちの性格や製作の進め方は、一人ひとり異なりました。初めから描きたいものが決まり、迷わず手を動かす子。大学生と相談しながら進めたい子。一人で静かに集中したい子。大きな紙を前に、どのくらいの大きさで描けばよいか戸惑う子もいました。

 

絵を描くことが好きで、作品に思いを持つ子どもを担当した学生は、支援の距離感について次のように振り返ります。「初めは、どこまで声を掛けてよいのか、どのタイミングで手伝うべきなのか迷いました。しかし、とても集中していたので自分を『助手役』と位置づけ、色を塗りにくそうにしているときには、大きな刷毛を使うようにアドバイスしたり、水を替えたりしながら、完成に向けて手助けしました」子どもが集中して製作する様子を見ながら、必要以上に手を出さず、見守ることも支援の一つだと考えました。

大きな紙に猫のような巨大生命体を描く小学生が、歯ブラシに茶色の絵の具を付けて毛並みを表現し、敬愛大学教育学部久保田ゼミの学生が筆を持って制作を見守っている。

歯ブラシを使って猫の毛を表現しようとする児童

ある子どもは、鉛筆で丁寧に下書きをしてから絵の具を使い始めたため、色を塗る時間が少なくなっていました。担当した学生は、残り時間や製作の進み具合を見ながら、必要なときには一緒に手を動かしました。「手伝ってもいい?」「どこを、何色で塗ってみる?」と子どもの許可を得て、考えを確かめたうえで一緒に色を塗り作品を完成させました。「今回のように大きな作品は、家ではなかなか製作できないと思います。1時間半という限られた時間のなかで、児童が作品を仕上げたいと思っていた場合、どうアドバイスするか、手伝っていいのか難しいと感じました。」と話します。

 

子どもと巨大生命体について話をしながら進めた学生もいます。「子どもは『もっと大きくしよう』『こんな模様を入れたい』といった発想を次々と形にし、最後まで意欲的に製作に取り組んでいました。その大胆さは、時間に追われていることを感じさせないほど、自由でした」と、子どもの発想の豊かさに驚いた様子でした。子どもとの対話が子どもの発想や意欲を促す支援になったと考えられます。

 

学生の一人は「どの児童がどんな支援を必要としているのか、観察しなければ適切に教えることはできない。今後はその観察眼を身につけていきたい」と振り返ります。

魚のような巨大生命体に青い線を描き加える小学生と、膝をついて目線を合わせ、筆を持ちながら相談する敬愛大学教育学部久保田ゼミの学生。対話と見守りを通じて制作を支えている。

子どもとの距離を縮めて、常に相談したり褒めたりしながら制作を進めていた学生

教材研究から、子どもを理解する学びへ

教材研究を経て実際の子どもを前にすると、事前に想定した方法をそのまま当てはめるだけでは十分ではなかったようです。学生たちは、子どもを観察しながら、その場で臨機応変に判断し、対応しました。

 

「子どもの発想を自由に表現できる、このような授業を自分もしてみたい」と語った学生もいます。担当した子どもから「今日来てよかった」と言われた学生は、「やってよかった」と喜びをかみしめていました。

 

記事制作:敬愛人編集部/監修:教育学部 久保田美和 准教授

久保田准教授が振り返る今回の講座

小学生講座は、模造紙2枚から4枚を貼り合わせた画面に、「巨大生命体を描こう」というテーマでした。いつもは決められた大きさの中に描く絵の範囲を、自分自身で決め、巨大生命体というあり得ない物を自由な発想で描く作品です。1時間半という短時間で大きな作品を仕上げた小学生のパワーは、素晴らしかったです。

 

今回は、小学生1人に大学生1人が対応しました。小学生と大学生は、その場で自己紹介をし、どのような作品にしたいか話し、模造紙を貼り合わせて、製作しました。製作の方法も小学生と大学生が2人で一緒に話をしながら描く、小学生が描くのを大学生が見守る等、それぞれの合意で行われていました。大学生にとって、初対面の小学生と1時間半向き合い、製作の支援をすることは、その場で相手を知り、相手が必要な支援は何かを判断しなくてはいけません。貴重な体験の場となりました。

 

講座の最後に、仕上がった作品を大学内の広い場所に飾って鑑賞しました。小学生、大学生、保護者の方が作品を改めて見つめ直し、画面の大きさ、巨大生命体へのそれぞれの思いを感じつつ写真撮影をしました。日常では味わえない貴重な時間になりました。

図工ワークショップの最後に敬愛大学の階段に並び、イカ、魚、ウミガメ、クジラ、猫を表現した大判の巨大生命体作品を掲げる小学生と久保田ゼミの学生。完成作品を大学内の広い場所に飾って鑑賞し、記念撮影している。
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