2026年7月26日(日)の教育学部のオープンキャンパスB会場(高校1・2年生対象)では、伊坂 淳一 教授によるGWT(グループワークトレーニング)が実際におこなわれました。「ムシムシ教室の席替え」という、一種のグループでのゲームです。当日、B会場の司会を担当した私が、レポートします。
「ムシムシ教室の席替え」は、「ムシムシ教室」で虫たちが席替えをしたけれど、先生はみんなの席が分からないので、一人一人が持つヒントカードをもとに、先生に正しい席を教えようという内容のゲームです。このゲームでは参加者が18人で一つのグループになり、一人一枚、ヒントが書かれたカードが配られます。このヒントカードをみんなには見せずに、言葉で説明して、全員の席を導き出すというゲームです。
ヒントカードには「ハエさんは一番前の左の席です」といったような、ダイレクトに提示される具体的な情報は書かれていません。「ハエさんはゲンゴロウさんの隣です」や「はたらきもののアリさんはダンスの得意な人の前の席です」「〇〇さんはダンスが得意です」といった、ほかの人との情報のすり合わせが必要なヒントだけが書かれています。
一人だけでは答えを見つけることはできません。そのために、「〇〇関係の情報を持っている人いますか」「ダンスの得意な人はだれですか」など、だれかにとって未知の情報を募るためのグループ内の声掛けが必要不可欠です。このことから、参加者同士が情報を共有し、それぞれの情報を整理しながら話し合うことで、初めて答えにたどり着ける教材なのだと感じました。
ルールを説明する伊坂教授
私は大学の授業でも同じ活動を体験しました。その時は、自然と一人が話をまとめる役を担い、比較的早く答えにたどり着いたことを覚えています。今思えば、その時は、「グループで協力して答えを見つける活動」という印象が強く、活動の狙いについて深く考えることはできていなかったのではないかと思います。
しかし、今回は第三者として高校生の活動を見たり、先生の説明を改めて聞いたりしたことで、この教材のねらいをより深く理解することができました。先生は、この活動は単に答えを見つけることが目的なのではなく、言葉を使って情報を伝え合い、相手の話を聞きながら多くの情報を整理し、協力して課題を解決する力を育てることを目的としていると話されていました。それはつまり、言語能力や情報活用能力、さらに他者と協働して考える力や課題解決能力を育てることにもつながるということです。
グループ間で情報を交換
今回は3つのグループに分かれてゲームを行いましたが、それぞれのグループで進め方に違いがみられました。私が担当したグループでは、一人ひとりが積極的に情報を伝え合い、互いの意見を確かめながら活動を進めていました。偶然かもしれませんが、3つのグループの中でも最も早く答えにたどり着くことができました。一方、他のグループでは一人がファシリテーターとして話し合いを進め、周囲の参加者はその意見に合わせる場面が見られました。どのグループも最終的に答えを導き出せていましたが、活動への参加の仕方に違いがありました。
この様子を見て、同じ教材であっても、グループの関わり方によって活動の進み方は変わるのだと感じました。また、全員が自分の考えを伝え、相手の話に耳を傾けながら活動することで、一人では気づけなかった考え方に出会うことができると考えました。さらに、一人がファシリテーターとして話し合いを整理することで、情報がまとまり、活動を円滑に進めることができる場面もあるということに気づきました。グループ活動ではそれぞれの役割を活かしながら、一人ひとりが安心して意見や考えを伝えられる雰囲気作りが大切であるということも感じました。先生が「一人も取り残さないように支援することが大切」と話されていたことは、この活動にも当てはまると感じました。
今回も模擬授業を通して、教師は教材を準備することだけではなく、児童一人ひとりが安心して参加できる環境を作ることも重要であるということを学びました。私も将来教員になった際は、答えを教えることだけを目的にするのではなく、児童一人ひとりが互いに考えを伝えあい、協働しながら学ぶ過程そのものを大切にしていきたいと思いました。そして、「答えを教える授業」ではなく、「児童自身が答えを見つけていく授業」を実践できる教師を目指したいと思いました。