- 教育学部の学生が身近な素材を使って遊びを考え、子どもが遊びの中で学ぶことを確かめた
- 学生は、子どもの考える力や友達と協働する力がどのように育つかを学んだ
- 子どもの発想を大切にし、成長を支援できる小学校教員を目指す授業である
教育学部の必修科目「こども学Ⅱ」は、子どもの成長や学びについて、さまざまな専門分野から理解を深める授業です。3人の教員が交代で授業を担当し、それぞれの専門性を生かして、子どもの姿や教育について考えます。佐藤 孔美 教授の担当回では、これまで、子どもにとっての「遊びの中に潜む学び」の意味について段階的に学んできました。第5回※となる今回の授業は、これまでに得た知識を実際の活動に応用し、身近な素材から遊びを創り出す実践的な学修となりました。
※各教員5回ずつ、計15回の授業です。
20秒でわかるこの記事のポイント
遊びを通して育つ非認知能力を理解する
佐藤教授が授業で重視しているのは、「遊びの中には学びがたくさんある」という考えです。
子どもは身近な素材に触れ、その特徴や使い方を確かめながら、自分なりの遊びを生み出していきます。活動が思いどおりに進まなければ、方法を変えたり、もう一度試したりします。友達と意見が合わない場合には、ときにはけんかになることもありますが、そういう場を乗り越えていくことも大切な経験です。
これらの過程で育つのが、粘り強さ、意欲、協働性などの非認知能力です。非認知能力は、知識量やペーパーテストの得点だけでは測ることが難しい能力ですが、学習指導要領で示される「学びに向かう力・人間性」とも関係する重要な能力です。今回の授業では、学生自身が身近な素材に工夫を凝らすことで、遊びの中で子どもの力が育つ過程を体験しながら理解していきました。
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段ボールをどのように活かすか構想中
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「草花」を使うチームはキャンパスや公園で素材を探す
素材の特性から活動を構想する
学生に求められたのは、決められた遊びを再現することではありません。素材の形状、手触り、扱いやすさなどを捉え、そこからどのような活動を生み出せるかを考えることです。
段ボールを担当したグループは、切って簡単に組み立てられるという特性を生かし、「もぐらたたき」を作成しました。もぐらは段ボールを切り抜いた人形で、内側に隠れた学生が穴から出し入れします。完成後は、ほかのグループの学生も順番に体験しました。
この授業では、完成した作品だけでなく、アイデアを共有し、仲間と実現していく過程を評価しています。「段ボールでもぐらたたきを作ったグループの発想力には驚かされました。一人の学生の提案に仲間が賛同し、それぞれの持ち場で必要なものを考え、協力できていたところが良かったです」と佐藤教授は振り返りました。

思わずもぐら叩きに白熱してしまう
条件を変え、活動を発展させる
お手玉を扱ったグループは、活動の条件やルールを変えることで、遊び方のバリエーションを広げました。何回回すのか、右から左へ渡すのか、左から右へ渡すのか、投げる高さはどうするのか。次々にプレイヤーを指名していき、指定の回し方ができないと脱落するサドンデス方式のゲームになりました。学生たちは、条件によって活動の難易度や必要となる動作、参加者同士の関わり方が変化することを確かめました。
このように素材やルールに変化を加えたとき、子どもの思考や行動がどのように変容するのかを考えることは、教師に必要な視点の一つです。

お手玉にルールを追加し、サドンデス方式のゲームに
子どもに任せることも教師の援助
遊びを通した学びは、特に低学年の教育と深く関わります。教師自身が、遊びを生み出す楽しさや、その中で育つ力の大切さを理解することで、子どもたちにも同じような経験をさせたいと考えるようになるのではないかと、佐藤教授は話します。
子どものために、教師が道具や手順をすべて用意することがあります。しかし、教師が先回りして答えを示しすぎると、子どもが自分で考え、試し、失敗から学ぶ機会を減らしてしまう危険性があります。
佐藤教授は、教師が何でも用意するのではなく、子ども自身にやりたいことを任せることで、その力が飛躍的に伸びる可能性があると考えています。子どもの活動を先回りして決めるのではなく、その考えや発想を大切にしながら見守ることも、子どもの成長を支える教師の関わり方の一つなのです。
取材:IR・広報室/監修:教育学部 佐藤 孔美 教授
授業中の様子
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草花を使ったチームはシロツメグサと猫じゃらしを編み込む遊びを提案
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ペットボトルキャップを使ったチームはカーリングのようなゲームを提案
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おはじきを握って枚数を当てるゲーム
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ほかのグループにルールを説明する学生
