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OPEN CAMPUS REPORTS

オープンキャンパスレポート

なぜその商品を選ぶのか? 経営学科のミニ体験授業で学ぶ「顧客志向のマーケティング」(6/21オープンキャンパス)

経済学部 経営学科 金 珍淑 准教授

2026/07/08

皆さんには、お気に入りの商品がありますか?いつも買っている飲み物、使いやすい文房具、好きなブランドの服、つい手に取ってしまうお菓子――。私たちが何気なく選んでいる商品の背景には、企業が「お客様に選ばれるために何をすべきか」を考え続けてきたマーケティングの工夫があります。

 

6月21日(日)のオープンキャンパスでは、経済学部経営学科の金珍淑准教授によるミニ体験授業「顧客志向のマーケティング」を開催しました。消費者(顧客)が何のために商品を購入するのか、商品のどこに価値を見出すのかに注目しながら、企業のマーケティング活動について考えました。

「作ったものを売る」から「選ばれるものをつくる」へ

前半では、企業の考え方が「生産志向」から「マーケティング志向」へ変化してきたことが紹介されました。かつてはよい製品を大量につくれば売れる時代がありました。しかし現在は、モノがあふれ、似たような商品やサービスが数多く存在しています。企業同士の競争も激しくなり、ただ商品をつくるだけでは、お客様に選んでもらうことはできません。そこで大切になるのが、マーケティングの考え方です。

 

「作った製品を売る」のではなく、「売れる製品を作る」。

 

企業は自分たちが作りたいものだけを考えるのではなく、お客様が何を求めているのか、どのような課題を解決したいのかを理解し、そのニーズに合った商品やサービスを考える必要があります。金先生は、企業が市場の変化に対応していくためには、消費者の視点から商品を考えることが欠かせないと説明しました。経営学やマーケティングを学ぶうえで、とても重要な出発点です。

お客様が本当に欲しいものは何か

印象的だったのは、「マーケティング近視眼」という考え方です。たとえば、ある人が作業をするために「ドリル」(工具)を買ったとします。このとき、その人が本当に欲しかったものは何でしょうか。一見すると、「ただドリルが欲しかった」と考えてしまいそうです。しかし実際には、その人は「ドリル」を使って壁などに「穴」をあけたかったのかもしれません。つまり、その人が本当に求めていたことは、「穴を開けること」だったわけです。

 

このように、商品そのものだけに目を向けてしまうと、お客様が本当に求めているものを見失ってしまいます。企業が自社の商品を「何を売っているのか」という視点だけで考えると、発想が狭くなってしまいます。大切なのは、「その商品によって、お客様はどんな目的を達成したいのか」「どんな課題を解決したいのか」を考えることです。金先生は、

 

「鉄道を例に挙げれば、提供しているのは線路や車両ではなく「移動」や「輸送」であり、映画であれば、提供しているのはフィルムや映像だけでなく「楽しさ」や「エンターテインメント」です」

 

と説明しました。この視点を持つことで、企業は商品やサービスの可能性をより広く考えることができます。

  • 金珍淑准教授

「性能がよい」だけでは選ばれない

「価値」と「性能」の違いについても取り上げられました。性能が高い商品は、もちろん魅力的です。軽い、速い、丈夫、便利――。こうした機能は、商品を選ぶ大切な理由になります。しかし、私たちが商品を選ぶ理由は、性能だけではありません。たとえば、バイクのブランドとして知られる「ハーレーダビッドソン」を例に考えてみます。

 

もしハーレーがとても静かで、小さくて、軽いバイクになったら、それは本当に多くの人が思い描くハーレーといえるのでしょうか。もちろん、性能だけで見れば便利になるかもしれません。けれども、ハーレーに魅力を感じている人は、単に移動手段としてのバイクを求めているだけではないはずです。音や存在感、乗ることへの憧れ、ブランドが持つ世界観にも価値を感じています。

 

また、コカ・コーラの味が変わったときに、消費者から「自分が好きだったコカ・コーラではない」という反応が起きた事例も紹介されました。味や性能だけではなく、商品に対する思い出やイメージも、消費者にとっては大切な価値になります。

 

商品開発では、より高性能なものを作ることだけが正解ではありません。お客様がその商品にどのような意味を感じているのかを理解することが重要なのです。

誰に、何を、どのように届けるのか

マーケティングでは、「誰に、何を、どのように提供するか」を考えることが大切です。同じ商品でも、誰に届けるのかによって、伝え方や売り方は変わります。高校生に向けるのか、子育て中の家庭に向けるのか、高齢者に向けるのかによっても、商品の魅力の伝え方が変わるからです。

 

引越サービスの例も紹介されました。かつて運送会社は、荷物を運ぶことを主な仕事としていました。しかし、引越をする人が本当に求めているのは、荷物を運んでもらうことだけではありません。荷造り、掃除、近所への挨拶、不要品の処分、引越後の整理など、引越にはさまざまな作業があります。そこで、単なる「運送」ではなく、「引越全体を支えるサービス」として考えることで、新しい価値が生まれました。

 

お客様が本当に困っていることは何か。どこまでをサービスとして提供すれば、より便利で満足してもらえるのか。このように考えることが、顧客志向のマーケティングにつながります。

経営学科で学ぶ、社会を見る力

今回のミニ体験授業は、経営学科で学ぶ「マーケティング論」や「流通論」につながる内容です。入学後は、顧客のニーズに合った商品開発や、その商品をどのように届けるのかといった流通の仕組みについて、さらに深く学ぶことができます。私たちが何気なく選んでいる商品には、企業の工夫や戦略が込められており、マーケティングは、商品の企画・開発、販売、営業など、さまざまな仕事に生かすことができます。

 

また、「お客様が本当に求めているものは何か」を考える視点は、ビジネス以外の場面でも役立ちます。複雑な現象を表面的に見るのではなく、その背景にある本質を考える力や、相手の立場に立って課題を見つける力は、将来の進路選択や人間関係に生かすことができます。

 

なぜこの商品は売れているのか。
なぜこのブランドに惹かれるのか。
なぜ同じような商品でも、選ばれるものと選ばれないものがあるのか。

 

そうした問いを考えることは、社会の仕組みを理解することにつながります。金先生のミニ体験授業は、身近な商品を入口に、マーケティングの面白さを体験できる時間となりました。経営学科での学びは、企業活動を知るだけでなく、人や社会を深く理解する力を育ててくれます。自分が消費者として商品を選ぶ側から、将来は商品やサービスを企画し、価値を届ける側へ。今回の授業は、その第一歩を感じられる内容でした。

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