私はあえて教育実習中に使用した指導案と授業の流れを、変えることなく使用し、模擬授業を行いました。教育実習の時と同様に立ち振る舞い、積極的に机間指導や発問を行うことで、児童の考えや思いを把握し理解するよう努めました。そうすることで当時は気づけなかった改善点に、教育実習を終えて成長した自分が新しく気づくことができるかもしれないと思ったからです。

教職実践演習は教職課程最後の科目で、4年生の後期に履修します。小グループによる演習が中心で、実践力を高めることがねらいです。今回のテーマは「授業研究」。Aさんが模擬授業をして、グループのメンバーで課題や改善方法などを検討しました。以下はAさんによる報告です。
グループ担当:教育学部教授 山口 政之

教育実習中に取り組んだ授業について話し合う中で、メンバーの多くが最も苦戦した教科として道徳を挙げていました。私自身も道徳の授業につまずき、悔しさを感じたことから模擬授業の題材として選びました。
教育実習中に行った私の道徳の授業には、映像教材と自作のワークシートを用いました。小学校3年生の児童が、登場人物の抱えている問題を捉えることができず、自分ごととして受け止められない様子が見られました。私は「どうしたら問題として認識してもらえるのか、自分ごととして受け止めてもらえるか」と戸惑い、悔しい思いをしました。
私はあえて教育実習中に使用した指導案と授業の流れを、変えることなく使用し、模擬授業を行いました。教育実習の時と同様に立ち振る舞い、積極的に机間指導や発問を行うことで、児童の考えや思いを把握し理解するよう努めました。そうすることで当時は気づけなかった改善点に、教育実習を終えて成長した自分が新しく気づくことができるかもしれないと思ったからです。

反省会ではグループのメンバーが積極的に模擬授業を批評してくれました。どれも参考になる意見ばかりでしたが、中でも私の心に響いたのは「本音で語る道徳」です。「『この題材の何が問題なのか、そもそもこれは問題なのか』という本音で考える過程が大事なのではないか」という意見に、私は胸を打たれました。私の授業では児童が問題を認識する過程を用意せず、「これが問題である」と私が提示してしまっていました。そのことに気付かされ、自分の改善点が発見できたのです。

私は今回の模擬授業で、教育実習中に抱えていた悔しさや課題を自分自身で解決したいと考えていました。しかし、グループのメンバーが真摯に模擬授業に協力し、批評してくれたことで、私の悩みを解決まで導いてくれました。メンバー一人一人がさまざまな経験をし、それらを活かして今回の模擬授業に取り組んだことで、グループで共に成長することができたと感じています。私は模擬授業を担当して良かったと思うと同時に、同じ目標をもつ仲間たちと学べる教育学部に入って良かったと実感しました。来年から教員として現場で活躍できるよう、今後も精進していきます。
