敬愛人

敬愛大学で輝く「人」「学び」を紹介

STUDENTS&GRADUATES

敬愛大学の先輩たち

言葉を学び、人を想う ― 留学生が伝える“日本での気づき”

国際学部1年 カインさん、ダンさん

2025/10/20

10月19日(日)の敬愛フェスティバルでは、「留学生によるスピーチコンテスト」が今年度も行われました。日本で学び・暮らす留学生たちが“日本での生活で感じたこと”“経験を通じて得た気づき”を日本語で語りました。言語を学ぶ過程だけではなく、異文化のなかで育んだ思いや成長の軌跡がスピーチに込められました。

 

今年度は、ミャンマー出身のカイン・ウッイ・イーさんが最優秀賞、ベトナム出身のダン・ディン・ホアンさん、フォン・レ・フック・ロックさんが優秀賞、中国出身の丁 孝偉さんが審査員特別賞に輝きました。今回はカインさんとダンさんのスピーチを紹介します。2人も生活の中で出会った「人」「言葉」「文化」の意味を深くとらえ、真摯な言葉に未来への希望を込めていました。

最優秀賞 国際学部1年 カイン・ウッイ・イーさん(市川日本語学院 出身)

心に残っている日本の人との出会い

今日は「心に残っている日本人との出会い」というテーマでお話します。私が最も印象に残っているのは、日本語学校の先生との出会いです。先生との出会いは、私の人生の中で特に大きな意味を持っています。特に大学の受験を決めたとき、先生の存在がどれほど心強かったか、今でもはっきり覚えています。

 

先生に初めて会ったのは日本に来てから半年ぐらいたった頃でした。先生は、私たちの気持ちをよく理解してくれて教えてくれました。授業中、私が分からないことがあると、すぐに気づき、分かりやすい言葉で説明してくれました。また、先生は日本語だけでなく、日本の文化やマナーについてもたくさん教えてくれました。先生は私たちに“日常生活に問題があったら、いつでも連絡してください”と言って私のことを心配してくれて、悩みも良く聞いてくれました。

 

私が特に印象に残っているのは大学を進学するための準備をするときです。私は大学進学を目指すことを決めたのですが、大学の入試の仕組みや出願方法、必要な書類など、わかないことばかりでした。日本語もまだ十分に話せず、 日本の大学のことをよく知らなかったので、不安でいっぱいでした。

 

先生は、そんな私のために、何度も時間を作って相談に乗ってくれました。「どの大学や学部が自分に合っているか、この大学には自分が学びたい学部があるのか、どのように出願すればよいのか」一緒に考えてくれました。

色々考え後に3つの大学に申し込みました。先生は出願の手続きや書類の準備、面接の練習など、たくさんサポートしてくれました。

 

しかし残念ながら2つの大学は、不合格になってとても落ち込んでいました。そんな時に先生は「失敗しても大丈夫だよ。次の大学をもっと頑張ろう、カインさんなら大丈夫だよ。諦めないで」と何度も励ましてくれました。そのおかげで、私は自身をもって入試に挑むことができました。

 

試験の日が近づくと、私はとても緊張していましたが、先生が「あなたならきっと大丈夫」と声をかけてくれて、気持ちが楽になりました。そして合格が決まったとき、先生も一緒に喜んでくれて、本当にうれしかったです。

 

この経験を通して、私は日本語だけでなく、人を思いやる気持ちや、あきらめずに努力することの大切さを学びました。先生の支えがなければ、私はここまで来ることができなかったと思います。将来は、私も先生のように誰かを助けたり、応援したりできる人になりたいです。

 

最後に先生との出会いは私の日本での生活を明るくして、人生にも大きな影響を与えてくれました。いつも先生に感謝しています。これからも先生から学んだことを大切にして、もっと成長していきたいと思います。

優秀賞 国際学部1年 ダン・ディン・ホアンさん(仙台国際日本語学校 出身)

日本に来て私のここがかわった

今日は、「日本に来て私のここがかわった」というテーマで、私が日本でどのように成長したのかをお話しします。私が一番変わったと感じているのは、「言葉の使い方」と「考え方」です。日本に来たばかりのころ、日本語でのコミュニケーションがとれず、日本人が言ったことを理解できなかったため、その頃は一番大変な時期でした。自分で日本語の文法や単語を勉強していましたが、実際の会話を通して、それだけでは足りないとすぐに気づきました。

 

日本では、相手との関係や場面に合わせて、丁寧な言葉を使い分けることがとても大切です。たとえば、友だちと話すときと、先生や先輩と話す時では、同じ意味でも話し方が異なります。はじめは敬語がとてもむずかしくて、何度も失敗しましたが、間違えたときに「こう言った方がいいよ」と教えてくれる日本人のやさしさにふれ、もっと正しい言葉遣いを身につけたいと思うようになりました。例えば、私は日本語学校に通いながら、居酒屋でアルバイトをしていました。最初のころ、お客様に料理を運ぶとき、「どうぞ」とだけ言って渡していましたが、ある日、先輩スタッフに「『お待たせしました』の方がもっと丁寧だよ」と教えていただきました。そのとき初めて、「相手の気持ちを考えて言葉を使うこと」が大事だと気づきました。

 

また、お客様が帰るときに「ありがとうございました」と言うのを忘れたとき、店長に「お客様の立場になって、感謝の気持ちを伝えよう」と指導していただきました。それ以来、言葉だけではなく、気持ちも込めて接客するよう心がけています。毎日の積み重ねで、ただ日本語を話せるだけではなく、日本人の考え方や価値観を少しずつ理解できるようになり相手の立場を考えて言葉を選ぶことの大切さを学びました。

 

学校での勉強だけではなく、ニュースや新聞、アルバイト先での会話などを通して、日本の社会や文化について学ぶことができました。例えば、日本では「周りに迷惑をかけないようにする」という考え方が強くあります。電車の中で静かにすることや、ごみの分別など、わたしの国とは異なる習慣がたくさんありました。最初は不思議に思うこともありましたが、今ではその意味を理解し、自然に行動できるようになりました。

 

これらの経験を通して自分が一番感じたことは、心や知識が大きく成長したことです。特に「相手の立場になって考える」ということは、どんな国でも、どんな人とでも、よい関係をつくるためにとても大切なことだと思います。これからも、日本で学んだことを大切にしながら、もっと広い視野を持って行動し、自分自身を成長させていきたいと思っています。

 

最後に日本で生活している皆さんにお伝えしたいことがあります。何があってもあきらめずに、前に進んでください。私たちの成功や将来などは他の人が決して決められることではありません。自分自身の能力次第です。以上で私の発表を終わります。ありがとうございました。

  • 国際学部の先輩からのメッセージ

  • カタールからの留学生へ質問のコーナー