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キラリ☆国際学科教員vol.2(2023年更新)

国際学部 国際学科 向後秀明 教授

2023/02/01

1.先生のご専門の分野、大学教員となるに至ったきっかけなどを教えてください!

専門分野は英語教育、英語科指導法、英語教育施策研究です。

私は大学卒業後、千葉県の公立高等学校3校で計22年間、英語の教員をしていました。その後、千葉県教育庁(千葉県教育委員会)で2年、文部科学省初等中等教育局教育課程課・国際教育課および国立教育政策研究所教育課程研究センターで7年の計9年間、行政の世界に身を置き、学習指導要領の周知・改訂を含む英語教育改革を中心に仕事をしてきました。特に行政の時代は、全国の都道府県・市町村教育委員会や多くの先生方に支えられながら、とても刺激的で充実した日々を過ごし、本当にたくさんのことを学ぶことができたと思っています。

同時に、訪問した各地の学校の教室で先生方や生徒さんたちとお会いするたび、自分の中で “Go back to teaching! Go back to English education itself!” という声が抑えきれないほど大きくなっていくことも感じていました。授業視察をしている時に、ペア・ワークやグループ・ワークに一生徒として完全に入り込んでしまっているようなことも少なからずありました。結局のところ生徒・学生、教室が大好きで、これからの日本や世界を担っていく人材育成に実際の場面で関わりたいという気持ちが強くなったということでしょうか。いろいろと考えた末に大学という新たなフィールドで、微力ながら英語教育に貢献していきたいと思った次第です。

2.これからの英語教育に求められることは何だと思いますか?

2020年度の学習指導要領改訂を機に、日本の英語教育システムは大きく変わりつつあります。小学校3年で「外国語活動」が始まり、5・6年で「外国語」が教科になりました。中学校の「外国語」では高等学校と同様に「授業は英語で行うことを基本とする」ことが規定され、さらに高等学校「外国語・英語」ではスピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションを含め、多様な言語活動が展開されていきます(そうなるはずです)。

大学入学者選抜についても、様々な改革が進められています。「大学入学共通テスト」では、リーディングとリスニングが同じ配点比率になるとともに、各大学の個別入試では4技能の総合的な測定が求められてきています。これらの変化が起きているのは、国内外において今後益々、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」および「書くこと」の総合的な英語力が必要になってくるためだと考えられます。

これまで、例えば高等学校では大学入試を、大学では学問の専門性や難度などを“言い訳”に英文読解型の授業が少なからず行われてきた実態があります。しかし、そのような状態は世界的にはレア中のレアで、もはや限界だと思います。世界で、そして他のアジア諸国でどのような英語教育が行われているのかを見ていくことも重要です。

今回の一連の改革によって、「話すこと」「書くこと」の発信力を含めたバランスの取れた指導・学習が必要になってくるため、教師も生徒も、大きな一歩を踏み出すことになります。特に教師は、自分の中だけで完結してしまわずに、常に外の世界を見て新たなものを吸収し、児童生徒・学生の可能性を引き出したり拓いたりすることに全力を注ぐ「英語教師としての人間力」と、それを可能にする「英語教師としての英語力」が求められていると思います。

3.敬愛大学の学生に期待することは何ですか?

大学生活はわずか4年間です。この4年間で英語を好きになってほしい(少なくとも嫌いにはならないでほしい)と思います。そのために次の点に留意していただきたいと考えています。

 

  • 自分の興味関⼼やレベルに応じた(とにかく楽しく、理解だけで四苦⼋苦しない)英語を、日常的にできるだけ多く聞いたり読んだりする。
  • 教室内で英語学習を完結させてしまうのではなく、留学などを通して、実際の場面で英語を用いて何かを達成するような機会を積極的に外に求める。
  • 各技能・領域をバラバラに学習するのではなく、例えば聞いたり読んだりして得た情報を、口頭で第三者に伝えたり英語で要約して書いたりするなど、複数の技能を統合させながら学習する。
  • 英語を日本語に置き換えるのではなく、未知語も文脈を手掛かりに推察するなどして、英語を英語のまま理解することに慣れる。その結果、大量の情報を高速処理できるようにする。
  • 英語に限らずどの外国語の学習においても完璧さを求めず、“モヤモヤ状態”(あいまいさ)に耐えながら学習を続ける。
  • 誤りなくして英語⼒の向上なし― “LOVE your mistakes!” の気持ちを忘れない。

 

勉学や研究、社会に出てからのビジネスでも、英語が得意ならチャンスはどんどん広がります。さらに、より根本的なところで大切なのは、英語によって国境を飛び越えたところで、人と人とのつながりができます。互いに学び合い、助け合うことも可能になります。

4.大学受験を志す方へメッセージがあればお願いします。

「グローバル化」という用語が頻繁に使われるようになっていますが、globalとは地球が球体として1つであるということです。例えば、自国以外で起こっている事象も自分たちのこととして捉え、様々な課題に協働して立ち向かっていこうとする姿勢や、実際に課題を解決することのできる力や行動力がより一層求められていくことになると思います。

このような時代を生きていく皆さんにとって、英語はもはや学校における勉強の対象というよりも、自分の可能性を広げるために“生涯お付き合いしていく”ものです。そして、英語の習得そのものがゴールになるわけではなく、英語を使って何ができるようになるかが問われる時代に突入しています。

大学入試が終わって、「これでもう英語を勉強しなくて済む」といった状態になることは避けなければなりません。テストでいい点を取るためだけではなく、自分の世界や可能性を大きく広げるために英語を実際に使いながら学んでいってほしいと思います。敬愛大学の英語教育では、皆さんがそのような力を効率的に身に付けることができるように授業を展開していきます。また、敬愛大学では教員と学生の距離が近く、温かい雰囲気の中で充実した学生生活を送ることができます。

5.向後先生が担当する科目一覧

※いずれの科目も授業は全て英語で行われます。

①『College English I・II』

日常生活や社会生活に関連した話題を題材とし、英語の6つのスキル(Listening,Speaking,Reading,Writing,Viewing,Presenting)を伸ばすために、各技能を統合的に用いた多様な言語活動を行います。このことにより、実際のコミュニケーションの場面において活用できる英語による総合的なコミュニケーション能力を身に付けることを目指します。

 

②『College English III・IV』

英語の5領域(Listening,Reading,Spoken Interaction,Spoken Production,Writing)における能力を総合的に伸ばすために、日常生活や社会生活における様々な話題や課題を題材として、各領域を統合的に結び付けた言語活動を行います。このことにより、実際のコミュニケーションの場面において活用できる英語による高度なコミュニケーション能力を身に付けるようにします。また、扱う話題や課題について、幅広い視点から多様な情報や考えなどを得たり発信したりすることを通して批判的思考力を身に付け、英語を用いて互いの意見や主張を伝え合ったり課題について議論したりすることができるようになることを目指します。

 

③『English Presentation I・II』

英語によるプレゼンテーション能力の向上を主目的に、日常的・社会的な話題や課題を題材として、意見や主張などのアウトプットを中心とした言語活動を行います。このことにより、グローバル社会で求められる英語を用いた高度なプレゼンテーション能力を身に付けるとともに、扱う話題や課題について、批判的思考力を高めながら幅広い視点から情報や考えなどを発信し、英語を用いて互いの意見や主張を伝え合ったり課題の解決策について提案したりすることができるようになることを目指します。

 

④『2・3・4年次専門研究 I・II』

日本の英語教育が抱えてきた課題を整理した上で今後育成すべき英語力を理解し、グローバルな視点を持って英語を指導できる人材を育成します。そのために、英語の指導者として求められる英語によるコミュニケーション能力、学習指導要領を十分に理解した上で言語活動を展開する授業実践力とともに、中・高等学校の教員候補者採用選考に対応するための資質・能力を育成します。

 

<担当科目に共通する事項>

授業は「聞く」ものではなく「参加する」ものなので、英語によるペア・ワークやグループ・ワークを通して、他者とインタラクションを図っていくことが中心となります。したがって、主体的に英語を用いて活動することを期待しています。

私自身の英語との出会い、英語教育に関心を持つようになった経緯、これまでの仕事や英語教育に対する考え方を「対談 日本人が英語を学ぶ理由」(プレジデント社 2017年)において、株式会社イーオンの三宅社長(当時)とのインタビューの中で述べていますので、御関心のある方はお読みいただけますと幸いです。

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