私が就職した1977年から2000年頃までは「日中友好」が正しい時代だったと思います。しかし、日本の金融財政政策が失敗し続け、1995年以降は経済成長が停滞し、企業もチャレンジしなくなりました。21世紀に入り、アメリカの国力に陰りが見え、中国の覇権主義が次第にあからさまになりました。日本は考え方、やり方を変えなければなりませんが、日本の政官財学の大多数は、狭い自分の立場に閉じこもり続けているかのようです。こうしたことを受け、私の「中国ビジネス論」では、秦の始皇帝以来の国家の成り立ちから近年の経済成長の要因と見通し、ビジネス上のトラブル事例とリスク回避の方法など、幅広く学生に伝えています。
「医療と健康の経済学」では、医療保険財政の危機が招く医療と社会の衰退をテーマに扱います。脳外科医であり、経営者でもある北原茂実氏は持続可能な医療供給体制「八王子モデル」を立ち上げ、この問題の根本的解決を図っています。カンボジア、ベトナム、ラオスでも病院を運営し、東松島では小型複合施設を建設して、持続可能な未来型医療を創出しようとしている北原氏の理念と実践を学びます。
「世界の流通産業」では、縄文時代の黒曜石やシルクロード、大航海時代と植民地主義という交易の歴史からインターネット・プラットホームまでを追い、人間の欲求の歴史を学びます。
「地域企業経営論」では、IT化や他社・他業種との経営連携、従業員の一体感の形成などで賃上げに成功した企業の事例に学び、人生の場である地方の基礎的共同体を維持する方策を考えます。
授業ではつい話が長くなりがちですが、単に我慢して聴くのではなく、「なぜそれが重要だと思うのですか」とか「その話は2度目です」とか、学生のみなさんのツッコミをお待ちしています。ゼミにおいても時々のニュースやゼミ生の関心事をテーマに、みんなで話し、調べ、まとめようと考えています。しばしば、私がテーマを決めてしまうのですが…活発な提案や議論を期待しています。