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ホンモノに近い起業体験を大学で——佐竹ゼミ「起業体験プログラム」の成果

経営学科 教授 佐竹 恒彦

2026/02/02

前回のあらすじ

経営学科の佐竹ゼミには、学生たちが実際に模擬会社を立ち上げる「KEIAI起業体験プログラム」というユニークな取り組みがあります。このプログラムは、学生が株券を発行して資金を集める段階から始まり、事業を通じて利益を上げ、株主総会において利益処分案などを審議し、会社を解散させるまで、経営の一連の流れをすべて実体験できる点が大きな特徴です。

 

2025年度の「KEIAI起業体験プログラム」では、「敬愛ファッションリンク株式会社」が設立されました。「ファッションを通じた温かなつながりを広げ、服の廃棄削減に貢献する」という経営理念のもと、アパレル事業を展開しました。

学生たちは「服を売らないアパレル事業」として、energy closet社のビジネスモデルを参考に、着なくなった服を3着持参すれば、他の学生が持ち込んだ服と交換できる仕組みを立ち上げました。energy closet社とは異なり、学内のデジタルサイネージを活用してスポンサー企業を学生に紹介することで協賛金を得る収益モデルを構築し、服を無料で交換できるようにしました。

  • 佐竹教授と議論しながら経営判断を進めていく

  • 重要な決定も学生自身で下す

地元企業への営業活動と「服の交換会」当日

学生たちは自ら地域企業へ足を運び営業活動に取り組み、3社から協賛広告を得ることができました。協賛企業は、稲毛区で自動車学校を運営する株式会社稲毛自動車教習所とSBS自動車学校株式会社、学生が制作するチラシやポスターなどの印刷物を手がける株式会社裕星グループです。

 

また、株式会社コナカからはハンガーラックなどのレンタルを、サントリービバレッジソリューション株式会社からは販促用ドリンクを提供いただき、「服の交換会」開催に向けた準備を着々と進めてきました。

 

12月17日(水)に開催された「服の交換会」には、34名(定員30名)の参加申込がありました。当初は集客に苦戦し、12月初旬の申込者はわずか8名。学生たちは緊急の経営会議を開き、迅速に販促用ドリンクやギフト券を提供する「インセンティブモデル」への転換を決断しました。

 

その結果、申込数が急増し、当日は敬愛学園高校から高校生の職業体験も受け入れるなど、活気あふれるイベントとなりました。来場者同士で服を当て合うなど会話も弾み、「ファッションを通じた温かなつながり」を生み出す場となっていたようです。

株主総会を経て会社を解散

1月28日(水)、事業の締めくくりとして行われた株主総会では、管理本部より売上高や税引き後利益などの決算内容が報告されました。この利益をもとに、1株あたり1,072.2円の配当を出す議案が可決され、会社は円満に解散しました。

 

総会の終わりに東京証券取引所の斎藤氏から、実社会の経営視点に基づく講評がありました。特に、今回の決算には含まれていない「自分たちの人件費」の重要性について指摘があり、メンバーの労働力を最低賃金で換算すれば利益はわずか10時間ほどで消えてしまうという事実は、学生たちに価値を創造する経営の厳しさを教えました。

活動を振り返り、代表取締役として協賛企業への営業に同行していたIさんは、「最初はイベントの説明とお願いをするだけで精一杯だった」と当時を振り返ります。転機となったのは、株式会社稲毛自動車教習所で受けた一言でした。「自分がどうしたいのか、その気持ちを前面に出した方が営業はうまくいく」。そのアドバイスをきっかけに、Iさんは単なる依頼ではなく、「なぜこの取り組みを実現したいのか」を自分の言葉で語るようになりました。

 

 

思いを込めて伝える姿勢が相手の心を動かし、最終的に3社から協賛を得ることにつながりました。Iさんは「KEIAI起業体験プログラムを通じて、自分自身が大きく成長できた」と語ります。

また、事業がうまく進むか不安を抱えた時期には、ゼミの仲間の存在が支えになったといいます。いつも相談に乗ってくれた学生、チラシやポスター制作などデザイン面で力を発揮した留学生などに感謝を述べるなど、多くのゼミの仲間と支え合いながらの道のりだったようです。

 

ゼロから企画し、実際のお金を動かしながら社会と向き合ったこの「ホンモノに近い経営体験」は、これからの学びや将来のキャリアを支える、ゆるぎない自信となっていくはずです。

代表取締役社長を務めたIさん

ゼミ生の感想
  • 何から何まで自分たちで成し遂げたり、営業をして協賛をいただいたりと、普通の大学生活では経験できないことを体験できてよかったです。
  • イベント準備や内容について、時間をあまり有効に活用できていなかった部分があったので、今後の改善点になると思いました。
  • 今回は協賛金をいただきましたが、お金を稼ぐことや人を集めるためにさまざまな工夫や改善を重ねていくことが、大変で難しいことだと体験を通して感じました。
  • 自分たちで協力しながら会社を立ち上げ、解散するまでの流れを実際に経験できたことは大きな学びになりました。また、普段あまり関わりの少ない人とも交流する機会があり、仲良くなれたことも含めてとても良い経験になりました。
  • 一人でこの規模の取り組みを進めるのは難しいため、仲間と協力して問題解決を図ることの大切さを知りました。また、自分にもまだできることがあったのではないかという反省点も残ったので、この経験をもとに今後改善していきたいと思います。
  • 今回のように団体で一つのことに取り組む際には、一人ひとりの行動がとても重要になり、責任感を持って行動するべきだと強く感じました。

【前回の記事】本気の起業に挑戦!佐竹ゼミから誕生した敬愛ファッションリンク株式会社