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北海道日本ハムファイターズ稲葉篤紀氏(元野球日本代表監督)による特別講演を開催

2026/02/04

2026年1月29日(木)、北海道日本ハムファイターズの稲葉篤紀氏(同球団ファーム監督)を招き、敬愛大学にて「侍ジャパン結成から五輪金メダル獲得までの軌跡」と題する特別講演を開催しました。稲葉氏は、2021年の東京オリンピックにおいて野球日本代表(侍ジャパン)の監督を務め、チームを金メダルへと導きました。講演では、代表チーム結成の過程や大会を通じたチームマネジメント、金メダル獲得に至るまでの舞台裏などについて、豊富なエピソードを交えながら語っていただきました。本学学生及び系列高校の生徒に加え、地域の方々など約400人が来場し、講演内容に熱心に耳を傾けました。

チームマネジメント

2017年に侍ジャパンの監督に就任した稲葉氏は、チームを1つにまとめ、選手のパフォーマンスを最大限に高めることに心を砕いたといいます。結束力を高めるため、理念や行動指針を明確にし、選手やコーチ、スタッフとのコミュニケーションを積み重ねてきました。一方、日本ハム球団における若手選手の育成では、「一対一の勝負に勝つ」ための自主性や自立心を重視し、選手が自ら成長できる力を育むことに注力しています。

 

各チームから集まった主力選手を束ねる侍ジャパン監督と、若手選手の育成を担うファーム監督という異なる役割の中で、チームを一番後ろから見守り、組織全体を支える姿勢を大切にしてきたそうです。また、金メダルを勝ち取るチームの条件として、次の5つを挙げています。これらの条件は、組織運営全般に通じる視点と言えます。

 

1 明確な目的が共有されている
2 個々の役割が機能している
3 本音で話し合うことができる
4 リーダーが最後に責任を取る
5 失敗を次につなげられる

経験をもとにチームマネジメントについて語る稲葉氏

稲葉氏への質問

本学経済学部経営学科の高岡英氣教授(専門: スポーツ哲学、スポーツビジネス論)から、参加者を代表して質問が出されました。

 

現役時代の北京オリンピック(2008年)のご経験は、その後にどのように繋がりましたか?

北京オリンピックでは、全勝で金メダルを取るという強い重圧を感じていました。その経験から、侍ジャパンの監督時代には「最後に金メダルを取ればよい」という姿勢で選手と向き合い、過度なプレッシャーを和らげることを意識しました。

 

これまでの指導者との出会いは、ご自身の監督としてのあり方にどのような影響がありましたか?

自主性を重んじる監督、選手の管理を重んじる監督など、個性豊かな先輩たちとの出会いは、自分の監督像を考える参考になりました。私は、監督に頼らず自立した選手の育成を目指しています。指導者からアドバイスを受けた際には、実際に試しながら自分に合った方法を考え、創意工夫することを奨励しています。

 

侍ジャパンの監督と球団の監督では、立場や役割はどのように変わりますか?

侍ジャパンは、勝利が至上命題である一方、ファーム監督には育成を含めた長期的な視点も求められます。ただし、選手は1年、1年が勝負なので、早く結果を出したいという気持ちも理解しています。若手の選手には、心・技・体のうち、まずは技と体を向上させることに取り組んでほしいと考えています。

 

社会に巣立つ学生に向けて、身につけとおくべきことなど、アドバイスはありますか?

数字にも目を向けて、それを理解する知識も身につける必要があります。ただし、数字にばかり捉われず、感性も大切にして欲しいです。感性は、心理・メンタルにも通じ、その土台には磨かれた技と体があります。

 

今後の目標や夢を教えてください。

競技人口の減少などで、プロ野球を取り巻く環境は厳しくなっていくと思います。そうした時代だからこそ、若手選手の育成は一層重要性を増しています。有望な選手を育てることで野球界の発展に貢献し、恩返しをしたいと考えています。

稲葉氏と高岡教授(右)のやり取りに耳を傾ける参加者

本講演の意義

今回の講演を通して、稲葉氏が大切にしてきたのは、個々の力を引き出しながらチームとして成果を生み出すマネジメントであることが伝わってきました。明確な目的の共有や役割分担、率直な対話、そして失敗を次につなげる姿勢は、スポーツの世界にとどまらず、これから社会に羽ばたく学生にとっても重要な示唆を与えるものでした。本講演は、参加者一人ひとりが自らの将来や組織の中での役割について考える貴重な機会となりました。

  • 監督としてのあり方を語る稲葉氏

  • 高岡教授がチームマネジメントについて質問

  • 在学生から記念の花束贈呈

  • 稲葉氏を囲んで在学生が記念撮影