ゼミではどのような活動をしていますか
生産・労働の単位集団(経営体)としての世帯の歴史研究を行っています。ゼミの活動としては、その世帯活動の成果のひとつとして、世帯員の身体的成長(身長や体重の変化)をとらえます。そして、その成長の軌跡から、世帯が属し、対峙してきた社会のさまざまな変化と世帯との関係を考えようと思います。たとえば、小学生の体格の変化を歴史的に追跡する作業や、はたまた、スポーツ選手の長期的な体格の変化から、世帯と社会の関係を考えようとしています。身長変化をとらえるデータは意外にあります。そうしたデータを見つけ、単純な入力作業を積みあげていくような地味な作業を完遂できる人材を育てたいと思います。
どのような学生を求めていますか
こつこつと作業積み重ね、最終的な分析目標に到達できるような忍耐力のある学生に是非参加していただきたいと思います。仮説を作成する能力も大切ですが、同時に、その仮説を実証するデータ(量的・質的)を収集し、データベースを作成し、分析作業を地味に重ねていくことも大切です。こうした考えに共鳴していただける学生に参加していただきたいと思っています。
先生の専門分野について詳しく教えてください
大学院の修士課程に入学してから今日に至るまで、研究の目標は「長い日本の歴史の中を生き抜いてきた生産と労働の単位集団である世帯、とくにその経営体としての農家世帯の歴史的研究」です。組織のマネジメントを自らが行う経営体としての農家が日本の農村社会にどのように生まれ、複雑な社会状況のなかで、時の権力集団とどのように対峙・融和・反発しながら独立した生産労働の単位集団として、1970年代の高度成長期に至るまで、日本社会のなかにその地歩を築いてきたのかを研究しています。古代律令制の口分田、その後の荘園の展開、そして戦国末期の太閤検地、さらにそれと同時に展開した農家の独立、その苦闘の歴史を婚姻出生率、乳児死亡率や子どもの身長などの様々な身体的指標を通じて、エビデンスを提供し、実証的な歴史ストーリーを展開しています。
先生について教えてください
学部学生の最初の2年間はスポーツを通じて心身を鍛えました。その後は、自己転回を行い、図書館に入りびたり、社会で活躍する様々な人に出会い、対話し、自身に幅広い教養を身に着けるようにしました。大学院に入学以降は、研究を最優先する生活に切り替え、生産と労働の単位集団としての世帯の歴史研究にひたすらかかわってきました。勤務する大学も本学にたどり着くまでに4大学を転々としてきました。いずれの大学でも自分勝手な言い方かもしれませんが、「エンジョイ」できました。そのことについては、各大学に感謝しかありません。本学でも人生最高の「エンジョイ」を迎えたいと願っています。
