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大学の学びは“問題発見”から始まる――基礎演習Ⅱ・廻クラス

情報マネジメント学部 廻 洋子 教授

2025/12/09

大学の授業では、答えを覚えることだけが学びではありません。「何が問題なのか」「なぜそれが問題なのか」を自分で見つけ、根拠をもとに考えを深め、他者に伝える力が求められます。情報マネジメント学部の初年次教育「基礎演習Ⅱ」は、大学の学び方の土台となる授業です。仲間と一緒に調べたり、意見を交わしたりする過程で、ひとりでは気づかなかった視点や問いに出会えることもこの授業の大きな特徴です。

 

情報マネジメント学部のゼミでは、学びの中心に「問題解決」を置いています。社会や日常の中にある課題を手がかりに、問題を見つけ、原因を探り、筋道立てて解決案を考える力を身につけます。

問題解決=ギャップを埋めること

授業の冒頭では、問題解決とは「あるべき姿」と「現実の姿」の間にあるギャップを埋めることだとの説明がありました。いきなり解決策を出すのではなく、まず現状を調査し、整理し、問題点がどこにあるのかをはっきりさせることが出発点になります。この回では、その考え方を頭で理解するだけでなく、実際にプロセスを体験することを目指しました。

情報収集から発表まで——問題解決プロセスを実践

この日の演習テーマは「ソーシャルメディアが大学生に与える影響とその対策」でした。学生たちはグループに分かれ、役割を分担しながらSNSの種類や利用時間、用途、大学生への影響などを調査して情報を集めました。次に、各種SNSの良い点と悪い点を整理し、そこから“どこに課題があるのか”を議論していきます。課題が見えてきた段階で「その問題を解決するにはどんな手立てがあるのか」を検討し、最後に一連のプロセスをまとめて発表しました。情報収集から課題発見、解決策の検討、表現までを通しで経験することで、問題解決の流れをつかみました。

学生の視点で見えた課題と解決策

発表では、同じテーマでも問題の捉え方がグループごとに異なり、議論の広がりが感じられました。あるグループは、SNS利用が増えることで起こりやすい時間管理の難しさとデマ情報の多さに注目しました。解決策として、スマートフォンのスクリーンタイム機能を活用し、自分で利用時間をコントロールすることを提案しました。また、一つの情報をそのまま信じるのではなく、複数の発信源を見比べて判断する姿勢が重要だとまとめていました。別のグループは、情報リテラシー不足や生活習慣の乱れ、誤情報の広がりに焦点を当てました。特にリテラシーの面では、情報の出どころを確かめること、複数のサイトで内容を検証すること、不用意な書き込みをしないことなど、日常の行動に結びつく具体的な対策を示しました。学生たちは、集めた情報を根拠に課題を言語化し、それぞれの視点から問題解決のための手立てを提案しました。

廻教授よりメッセージ

廻ゼミが重視しているのは、現状を調査し、情報を整理し、問題を見つけ、解決策を組み立て、表現・発表するというプロセスを修得し活用できるようになることです。この力は、大学で専門分野を学び、研究やプロジェクトに取り組むときにも必ず役立ちます。学生たちは「学びの進め方そのもの」を少しずつ自分のものにしていきます。