敬愛大学教育学部の名物授業「演劇ワークショップ」の季節がやってきました。今年度も教育学部の1・2年生が合同チームを組み、冬の発表会に向けて演劇づくりに挑みます。10月9日(木)、1年生にとっては初めての、2年生にとっては1年ぶりの演劇ワークショップが始りました。講師は、劇団「うりんこ」で企画制作プロデューサーを務める小原ひろみ氏。今回はノンバーバル(非言語)コミュニケーションについて学んでいきます。
「なぜ教育学部で演劇を学ぶの?」と思う方もいるかもしれません。コミュニケーションは言葉だけで成り立つものではなく、ジェスチャーや表情、声のトーンといった“非言語表現”も大切な要素です。舞台で“伝わる演技”を磨く劇団員から非言語表現を学ぶことで、学生たちは教壇の上で子どもたちに伝わるコミュニケーション力を身につけていきます。
言葉を使わずに伝えることの難しさ
授業のはじめに、じゃんけんを使ったゲームで緊張をほぐした後、チームごとにジェスチャーだけでお題を伝える「伝達リレー」に挑戦しました。言葉を使えないだけで、簡単なお題でも思ったように伝わらないことに気づき、自らの非言語表現について課題を感じたことでしょう。
続いて、チームでジェスチャーを使って表現し、他のチームがそれを当てる活動へ。6人1組で意見を出し合い、「どうすればより伝わるか」を考えながら表現方法を工夫しました。チームで改善していくと、先ほどとは大きく表現方法が変わっていきます。同じお題でもチームによってアプローチが異なり、個性豊かな優れた演技を見せてくれました。
ジェットコースターの乗客の反応を表現したチーム
ジェットコースターをスピードで表現したチーム
表情だけで暖かさが伝わる「焚火」
雪だるま作りを豪快に表現
言葉を使っても“伝える”ことは簡単ではない
最後に、学生たちは寸劇に挑戦しました。しかし、配られた台本はわずかこれだけです。
A:こんにちは
B:あ、こんにちは
A:元気だった?
B:ええ、ジョンも元気
A:うん
B:あ、行かなきゃ
A:さようなら
B:さようなら
この短い台本をもとに、学生たちは自由に情景を想像しなければなりません。今回は言葉を使える代わりに、どんな場面で、どんな関係性なのか、二人の間にどんな感情が流れているのか。その背景を自分たちで考え、表現することが求められました。
発表を希望するチームを募ると、次々に手が挙がり、学生たちがこの授業を楽しんで学んでいる様子が伝わってきます。同じセリフでも、久しぶりに再会した友人として演じるチームもあれば、すれ違う恋人として表現するチームもありました。
中には「ジョン」を犬と解釈するユーモアある発表もあり、会場には笑いと拍手が広がりました。昨年度の発表会を経験している2年生は、表現の豊かさが見事で、会場を沸かせていました。
犬の散歩中にばったり
さっそく非言語表現も取り入れながら演技
授業の終わりに
教育学部1年のKさんは「今日学んだことを活かして、より良い演劇を創っていきたい」と意欲的に語ってくれました。セリフは同じでも、声のトーンや間の取り方、視線の向け方ひとつで印象が“大きく”変わることに、学生たちは再認識することができました。今年の1・2年生はどんな演劇を見せてくれるのでしょうか。発表会が楽しみです。

教育学部を代表して感想とお礼を述べる1年生のKさん