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文学散歩「左千夫プロジェクト」~成東小学校への出前授業~

教育学部 教授 山口 政之

2025/09/10

9月8日(月)、山武市立成東小学校の5年生54名を対象に、4年山口ゼミの学生が成東文学散歩の出前授業を行いました。テキストは演習で作成した『左千夫ハンドブック』です。

今回の授業では持ち時間を一人5分として、自分が調べたことを5年生にわかりやすく伝えることが課題でした。伊藤左千夫の人物紹介に始まって、歌碑に彫られた短歌の紹介(音読と鑑賞)、『野菊の墓』の紹介、文学史における左千夫の位置、そして最後は歌碑に見る変体仮名を取り上げました。

  • 「これから授業だ!」と気合を込めるゼミ生たち

  • ゼミ生で作り上げた「左千夫ハンドブック」の目次

成東小学校の子供たちは左千夫の短歌を大きな声で音読し、グループワークや発表も活発でした。元気いっぱいの子供たちのおかげで授業を行った学生も力まず自然に授業を進めていくことができました。途中、脚を伸ばすストレッチを取り入れたことで、子供たちも集中して授業に取り組んでくれました。あっという間の45分。授業の終わりには代表の児童からお礼の言葉を受け、学生たちも胸が熱くなりました。手を振って子供たちと別れる時には、名残惜しい気持ちでいっぱいでした。

  • 成東中学校にある歌碑の拓本

  • 6月3日の文学散歩で訪れた成東駅前の歌碑

児童の感想
  • 大学生がくわしく説明してくれてわかりやすかった。左千夫さんのことがよく分かった。もっといろんなことを知れたらなと思った。(Oさん)
  • 歌碑がたくさん残されるぐらい左千夫がすごい人なことがわかった。変体仮名が読みづらいけどすごいと思った。(Iさん)
  • 成東駅に歌碑があることにびっくりしたし、見てみたい。野菊の墓というお話で、花を使ってはなしているのがびっくりしたし、すごいと思った。(Fさん)

 

子供達は、左千夫の歌碑が身近なところにあることに気づいたようです。この授業を通して子供達が左千夫の短歌に関心をもってくれることを願っています。
山口教授
山口教授

授業後の反省会

授業後に反省会を行いました。学生が振り返りを述べた後に、教頭のF先生からは学生一人一人に対してあたたかいコメントをいただきました。そして「子供に考えさせる時間を設けてから答えを言うという流れが定着しており、すごく良かった。」というお褒めの言葉をいただきました。また、教育委員会のU先生からは「全体的に、話し方や問いかけ、話すスピードがとても良かった。これからも子供たちとやり取りをしながら工夫できるようにしましょう。」とご指導いただきました。

反省会の様子

学生Mさんの振り返り

出前授業を行う前の私の問いは、「分かりやすい読み聞かせをするにはどうすべきか」という点にありました。弟に読み聞かせをしたところ政夫と民子のどっちが話しているか分からないと意見を貰ったので、落語のように自分の見ている向きによって演じ分けをしようと考えました。

今回の出前授業を行ったことで、私の課題は子供たちへの問いかけと読み聞かせにあると気付きました。子供たちは考える時間を置かず、すぐに答えを言ってしまっていました。読み聞かせでは、演技力がなく子供たちを惹きつける話し方をすることができていなかったとフィードバックを受け感じました。今後は、子供を惹きつける問いかけや演技をしていきたいと思いました。(Mさん)

 

Mさんは授業づくりという演習の中で生じた「問い」に対して、弟から助言をもらいながらも自分なりの答えを見つけて読み聞かせを行いました。そして課題も見つけました。この姿に私は「学び続ける教師」の姿勢を見た思いです。教師として成長していくためには自分で問いを見つけ、自分で解決方法を探りながら授業実践を重ねていくことです。卒業後のMさんの成長に期待しています。
山口教授
山口教授
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