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英語教員の授業力向上を目指した研修会を開催しました

英語教育開発センター

2025/08/18

7月29日(火)、敬愛大学で英語科目を担当している教員が集まり、指導方法について学ぶとともに、指導上の課題を共有し解決策を考える「英語科目担当教員FD研修会」が開かれました。本学の英語教育開発センターが主催するこの研修の目的は、英語の指導力を高めて、学生により良い英語教育を届けることです。

 

※FD研修会:大学教員が教育力や授業改善のために学ぶ研修会のこと

 

冒頭に、英語教育開発センター長の向後教授があいさつを述べました。向後教授は、緊張した雰囲気の中では英語がなかなか身につかないことを指摘。間違った英語を話しても責められない安心感の中で授業を行うことの大切さを話しました。さらに、「英語が得意な学生を伸ばすことも重要だが、苦手な学生を引き上げることも同じく大切。日本の英語学習者は基本的なコミュニケーションでも苦労する層が大多数で、全員を引き上げる必要がある。倒れかかった学生、既に倒れてしまっている学生を再び立ち上がらせることができるかどうか、ここで私たちがプロフェッショナルであるかどうかが問われる」と向後教授は強調します。英語学習のモチベーションが下がってしまった学生がもう一度前向きになるようにするには、指導・評価の方法や学生との関わり方に工夫が必要なのです。

第1部:英語科目担当教員情報共有の部

第1部は「英語科目担当教員情報共有の部」で、学生の英語力の状況報告から始まりました。国際学部と教育学部の学生は入学前に実施されるプレイスメントテストでTOEIC® Bridge L&Rを受験しています。今年度の結果を見ると、両学部の平均スコアは昨年度より上昇し、満点を含め上位層が厚くなってきています。しかし、英語が得意な学生が増えた一方で、苦手な学生も多くいることがわかりました。そこで、入学当初は英語が苦手だった学生に適切に働きかけ、レベルに応じた指導を続けることで、1年生がわずか半年でTOEIC® L&Rのスコアを200点以上伸ばした例が少なからずあることも報告され、モチベーションを引き上げれば英語力を大きく向上させることができることが示されました。さらに向後教授は「学生個々の英語レベルを正しく把握しないと、一部の学生が授業についていけなくなる」と注意を呼びかけ、クラスの全員が充実感を得られるタスクと、学生が協力し合わないと達成できないタスクを組み合わせること(異なるタスクによって難易度のバランスを取ること)の必要性を語りました。

  • 国際学部の三幣 真理 准教授(中央)

  • カードに書かれた単語を、その言葉を使わずに説明し当ててもらうゲーム

続いて、英語教育開発センター所属員が、授業に取り入れている独自の言語活動を紹介し合いました。向後教授は「Memory Chain(メッセージのリレー)」というグループワークを紹介しました。この活動では4~5人のグループを作り、例えば「自由な時間が1か月あったらどこへ旅行に行きたいか、そこで何をしたいか」といったテーマについて、学生が順番に英語で話していきます。2番目の学生は最初の学生が話した内容を紹介した後で自分のことを話し、3番目の学生は自分のことを話す前に1番目と2番目の学生の内容を紹介する必要があります。このように順番に聞き取る内容が増えていくルールによって、聞き手は全ての話を集中して聴くこととなり、聴く力と話す力の両方が鍛えられるます。同時に、話し手も相手に確実に伝わるように話そうとする姿勢が身につきます。他の教員からも、カードを使って楽しみながら語彙を学べるゲーム形式の活動や、言葉を使わずにジャスチャーだけでコミュニケーションを取るゲームなど、ユニークな指導方法が紹介されました。

 

一風変わったセッションを行ったのはGeorge Whalley講師です。Whalley講師はいきなりスペイン語だけで授業を開始したため、英語教員たちは何を求められているのかを理解するのに苦労していました。ディクテーション(聞いた言語を書き取ること)がメインの活動でしたが、スペイン語で質問し、スペイン語で答えさせる授業を通して、外国語学習における学生の気持ちや戸惑いを学生の立場で体験することができました。

第2部:グループ・ディスカッションの部

第2部は「グループ・ディスカッションの部」で、授業を展開する上で何が課題になっているか、教員はそれらの課題に対してどう対応していくべきかについて、各グループでアイディアを出し合いました。言語活動の在り方にとどまらず、規律面を含めた授業の運営方法やテキストの扱い方、特別な支援を要する学生への接し方など、幅広い内容について各教員が自身の実践に基づいて様々な意見を交わしました。最後に、各グループからの報告によって、ディスカッションの内容を全体で共有しました。

 

英語科目を担当しているという同じ立場であっても、教員同士で情報交換を行ったり課題解決のために話し合ったりする機会を持つことはなかなかできないため、本学における英語教育のさらなる改善に向けて貴重な研修の場となりました。

英語教育開発センターの活動とは