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フィリピン・スタディツアーで英語授業に挑戦!教育学部の学生たちの成長と発見

教育学部4年 O・Mさん、3年M・Yさん

2025/05/12

2月中旬、教育学部の学生4名が、引率教員とともにフィリピンのサンカルロス大学を訪問する5日間のスタディツアーへ行ってきました。現地の子どもや教育関係者と交流し、異文化理解を深めるだけでなく、フィリピンの小学生に日本の文化を伝える授業を英語で行いました。小学生への英語指導法を学んできた学生たちが英語を母国語とする子どもたちに対して授業を経験したら、いったいどんな発見をし、成長を見せてくれるのでしょうか。3年生のMさんと4年生のOさんに聞きました。

海外の児童に授業するのは初めてとのこと。不安はありませんでしたか?

Oさん
私は初めての海外にとてもワクワクしていた反面、海外での授業、しかも英語で行うということで、自分の英語力で伝わるのか不安がありました。でも、「これは絶対にいい経験になる」と思い、飛び込んでみました。

 

Mさん
正直、不安は全くなかったです。教育学部に入ったからには、ただ海外に行くだけでなく、自分の英語力や学んでいることを活かせる経験がしたいと思いました。小学校で授業もできるし、英語の模擬授業の経験も活かせるので、自分にとってベストな機会だと思いました。先輩方は教育実習を経験している分、いろいろと見えていることも多く、不安も大きかったようです。僕たち2年生はサークルで子どもと関わる活動はしていましたが、まだ子どもたちを前に授業をしたことはありませんでした。ですから、むしろ「授業ができる」というワクワク感の方が強かったです。

子どもたちにサインをねだられるMさん

授業準備はどのように進めましたか?

Mさん

日本の文化を話で伝えるだけでは面白くないので、「あっち向いてホイ」「福笑い」「折り紙」など、遊びをテーマにみんなでアイデアを出し合いました。2年生の僕たちは「これでいけるだろう」と思っていましたが、先輩たちは実習経験から授業内容の薄さを指摘してくれたり、慎重に英語の台本を作ってくれたりしました。最終的には先輩のアドバイスで軌道修正でき、「2年生だけでは成り立ってなかったな」と思いました。

 

Oさん

これで授業の準備は大丈夫だろうと想定していましたが、同行していた他大学の先生の授業の巧みさや子どもたちの反応を見て、「このままではダメだ」と思いました。特に子どもたちは日本のシャイな小学生像とは異なりとても元気で、みんな「発言したい」という気持ちがあふれていました。急遽、授業前日の深夜まで話し合いを重ね、子どもたちに答えさせるクイズ形式を多めにすることで、飽きさせない授業に変更しました。特に導入部分についてはMさんがとても良い提案をしてくれました。

日本の人気キャラクターで「福笑い」を体験

実際に現地の児童に授業をしてみて、どうでしたか?

Mさん

自分が想定していたよりも反応がとても素直で、気持ちよく授業ができました。授業中、子どもたちは常に笑顔で、テンションが高いのが伝わってきて、こんなに楽しいんだと、改めて教職にやりがいを感じました。初めての授業がフィリピンで本当に良かったです。

 

Oさん

とても勇気をもらえる授業でした。やはりオールイングリッシュで授業を行うと、文法を気にしてしまって、たどたどしくなってしまうこともありました。それでも、伝えたいという気持ちがあると身振り手振りで伝わります。今年度、中高英語科の教育実習がありますが、今回のスタディツアーを経験してとても自信がつきましたし、自分の力になったと思います。2回目の授業ではより改善でき、子どもたちからポロっと出た発言なども授業に取り入れることができ、私自身も楽しんで授業ができました。授業後には子どもたちから髪飾りをもらい、本当に感動しました。

授業の様子

これまでの大学での学びで役立ったことは?

Mさん

もともとは人前に立つことが苦手で、足が震えてしまうほどでしたが、大学に入ってからは喋りっぱなしの毎日です。人前での発表や、演劇を経験することで慣れていったと思います。サークルでも教育ボランティアの企画を経験し、先輩の姿を見て注意の惹き方や机間指導を学んできました。なにより、模擬授業の経験が一番役立ちました。最初は緊張しましたし、全くうまくいきませんでしたが、全教科合わせると10回以上経験し、人前でも臨機応変な受け答えができるようになったと思います。2年間やってきたことが生かされていると実感します。

 

Oさん

私は昨年(3年次)、教育実習に行ってきました。私のクラスには授業中に歩きまわってしまうような子が多く、難しいクラスでした。なるべく導入をしっかり行って、集中してもらおうとしましたが、かえって導入が長くなりすぎて時間配分がうまくいきませんでした。4週目には予めしっかり目星をつけておき、立ちあがったらすぐに「どこが分からなかった?」と個別対応することで、きちんと指導できるようになりました。この経験があったからこそ、今回もしっかりと子どもたちに向き合って堂々と授業できたのだと思います。

今回のスタディツアーに参加して、今後の目標にしたことはありますか?

Mさん

教育学部の授業で、親の日本赴任などをきっかけに、海外から来る児童・生徒が増えているという話を聞きました。異国の地で、しかも一人で学ぶことにはきっと大きな不安があるだろうと思い、そうした子どもたちに寄り添える教員になりたいと考えていました。今回フィリピンに行って、「異国で生活するのって大変だな」と身をもって実感しました。自分がフィリピンに来たときの気持ちを、日本に来た外国の子どもたちの立場に置き換えて考えることができたのは、教員を目指すうえでとても大切な経験だったと思います。これからもっと学んで、そうした子どもたちへの寄り添い方を明確にしていけたらと思います。

 

Oさん

今回のスタディツアーを通じて、日本とは異なる教育現場や子どもたちの生活に触れ、多様な価値観や背景を持つ子どもへの理解を深めたいという思いが強まりました。言葉や文化の壁を越えて心を通わせる難しさと大切さを実感し、将来自分が教員になった際は子どもたち一人ひとりの思いに丁寧に向き合える教員を目指したいと感じました。教員として現場に立った際には、子どもたちが言語や文化の違いも楽しみながら学べる、魅力ある授業づくりを目指していきます。

これから参加を考えている後輩へメッセージをください

Mさん

小学校教員を目指すにも、自分で英語を教えていく力が必要です。英語が母国語の国で実際に英語を使って授業をした経験は、今後に必ず生きてくるはずです。こういう経験は普通の海外旅行では絶対にできません。フィリピンに行っても、観光だけなら海を見て、マンゴーを食べて、セブ島のTシャツを買って終わり、という感じだと思います。でも今回のツアーは、大学生だからこそできる特別な体験でした。行ってみないと分からないことがたくさんあって、本当に価値のある時間だったと感じています。何より、最初の授業は「海外でしてきた」と自信を持って言えるのは、やっぱりちょっとかっこいいですよね。

 

Oさん

Mさんのように、教育実習の前に実際に授業に挑戦しておくことは、とても良い勉強になりますし、英語の授業の実践にもなります。子どもたちは教壇に立つ人を自然と「先生」として受け入れてくれます。「今日は何をやるんだろう?」と期待に満ちた目で見つめてくれるので、授業がとてもやりやすく感じます。子どもたちが楽しそうにしている姿を見ると、自分も嬉しくなり、授業をしていて本当に気持ちがよかったです。わずか4日間でしたが、アイドルになったような気分でした。海外に行く機会があるなら、発展途上国を訪れるのがおすすめです。日本に帰ってきてから、日常の当たり前のことがどれほど大切でありがたいものだったかを実感できるはずです。教員を目指してるならそういう経験があってもいいと思います。

  • もちろん旅行も楽しみました

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