教育学部の阿部学准教授が開発に携わった小・中学生向け教材「いじめや人権、話し合おう・変えていこう。Changers(チェンジャーズ)」が、2024年10月末時点で累計24,050件のダウンロードを達成し、多くの教育現場で活用されています。「Changers」は、いじめや人権問題について子どもたちが考え、議論することを目的とした無料でダウンロードできるマンガ形式の教材です。
「Changers」は、阿部准教授らが中心となって監修・制作され、多くのクリエイターの協力により、子どもたちが身近に感じられるストーリーとキャラクターで構成されています。4~8コマのマンガをデジタル教材として提供しており、学校だけでなく家庭やオンライン授業など、さまざまな学習環境で活用できます。また、現場の教員にとっても利用しやすいようにモデル指導案も公開されています。
「Changers」開発の意図
阿部准教授は、従来の教科教育の授業開発だけでなく、現状の学校教育では取り上げられにくいテーマや、取り上げたとしてもこれまで十分な教育効果が生まれていない分野に関する授業の開発に取り組んできました。近年は、いじめや人権に関する授業開発に積極的に取り組んでいます。
いじめや人権について深く話し合うためには、善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな繊細な問題を取り上げ、子どもたちにリアリティのある議論をさせることが必要です。「Changers」では、マンガ家、イラストレーター、声優、編集者などクリエイターの協力のもと、描きづらい問題を丁寧に描くことに挑戦しています。マンガ形式で制作することにより、問題を2〜3分で子どもたちに伝えることができ、議論の時間を十分にとることもできます。
千葉県内の小学校でも活用
教材を活用された先生方の声
◆「SOSの出し方に関する教育」の一環として、授業を行いました。この授業では、事前に保護者からのアンケートを実施し、「もしこのようなことが自分の子どもに起こり、相談されたらどんな言葉をかけてあげたいですか?」という質問に回答してもらいました。授業では、登場人物の心情を丁寧に扱い、考え方は人それぞれ違うということを理解しながら、自分自身が苦しい状況をどのように変えることができるかについて考えました。授業の終盤では、保護者からのアンケートの一部を紹介し、相談することで解決の糸口を見つけることができることを児童たちに気づかせました。
◆「Changers」は、道徳科や学活の時間に活用しています。どの教材も子どもたちにとって身近な問題を扱っており、「今」、そして「これから」を生きる子どもたちに考えさせたい内容です。どこにでも起こりうるいじめ。自分ではそのつもりはないけれど、相手の立場になって考えることで「これっていじめかもしれない」ということに気付くことができます。また、短時間で見ることができ、話し合いの時間を十分とることができます。
小学校4年生を対象に行った授業風景
阿部准教授のコメント
本教材を通じて、固定化された集団や教室でつくられる理不尽な「当たり前」に、子どもたち自身が気づき、一人一人がチェンジャーズとなり、いじめや差別が起こる環境を変えていけるようになることを願っています。
教材は「Changers」公式サイトで無料公開されており、誰でも手軽に利用することができます。興味を持った方はぜひご覧ください。今後、新たな教材も追加していきます。